第33回映画祭TAMA CINEMA FORUM

プログラム紹介

【D-7】ポルトガル映画特集Ⅱ リタ・アゼヴェード・ゴメス監督 -美しく、私らしく-

11/18[土] ベルブホール

協力:ポルトガル大使館
企画協力:小城大知(広島大学映画研究会)
字幕協力:木下眞穂、小城大知
提供:Basilisco Filmes、イメージフォーラム

チケット情報

チケット料金

一般
前売:1,800円 / 当日:1,900円
子ども(4歳~小学生)
前売:800円 / 当日:900円

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▼窓口で購入

多摩市立永山公民館(ベルブ永山 3階)

取扱時間:9:00〜17:00
※ただし、休館日および祝日の11/2、11/3、11/16、11/23は休止

多摩市立関戸公民館(ヴィータコミューネ 7階)

取扱時間:9:00〜17:00
※ただし、休館日および祝日の11/3、11/6、11/20、11/23は休止
会場アクセス

ベルブホール

〒206-0025 東京都多摩市永山1-5
小田急多摩線/京王相模原線「永山駅」より徒歩2分。ベルブ永山5階

ポルトガルの女

  • A Portuguesa
  • 2018年/ポルトガル/Basilisco Filmes配給/137分
  • 監督=リタ・アゼヴェード・ゴメス
  • 脚本=アグスティナ・ベッサ=ルイス
  • 撮影=アカシオ・デ・アルメイダ
  • 出演=クララ・リーデンシュタイン、マルセロ・ウルジェージェ、イングリット・カーフェン、リタ・ドゥラォン、ピエール・レオン

作品紹介

戦争に生きる夫と離れること10年余。北イタリアの古城で読書し、歌を唄い、踊り、森を散歩して過ごす若い公爵夫人。周囲はそんな彼女の孤独を憂い古城を墓場とみなす。しかし、この生活は選び取ったものなのだと彼女は譲らない。オーストリアの作家ロベルト・ムージルの小説を、マノエル・デ・オリヴェイラの盟友、アグスティナ・ベッサ=ルイスが脚色。フランドル派絵画のような映像が鮮烈な印象を残す、スタイリッシュな歴史劇。

小津や溝口を敬愛するリタ監督らしい、画面の隅々まで美意識が行き届いたシーンの連続にため息。どこか演劇的な歴史劇のなかに現代的な要素も見え隠れし、女性たちが戯れるシーンはジャック・リヴェットを彷彿とさせる。(ゆ)

変ホ長調のトリオ

  • O Trio em Mi Bémol
  • 2022年/ポルトガル、スペイン/ Basilisco Filmes配給/127分
  • 監督・脚本=リタ・アゼヴェード・ゴメス
  • 脚本=ルノー・ルグラン
  • 撮影=ジョルジェ・キンテラ
  • 出演=リタ・ドゥラォン、ピエール・レオン、アドルフォ・アリエッタ、オリビア・カベッサ

作品紹介

別れてから一年経つ男女、映画の撮影に苦悩する映画監督とアシスタント、そしてモーツァルトの「ケーゲルシュタット・トリオ(ピアノ、クラリネットとヴィオラのための三重奏曲変ホ長調 K.498)」。三つが複雑に交錯し、トリオ(三重奏曲)を奏でる。エリック・ロメールが唯一記した戯曲『変ホ長調三重奏曲』を映画化した、リタ・アゼヴェード・ゴメス監督の現時点での最新作。

撮影に使用された別荘はポルトガル随一の世界的な建築家アルヴァロ・シザのデザイン。その特徴的な構造や細部をじっくり見ることができるのも、この映画の魅力のひとつと言えるだろう。

コロナ禍の困難な状況でも、このような瑞々しい新作を届けてくれるリタ監督のバイタリティーは、映画に本当に必要なものは何かを教えてくれる。(ゆ)

リタ・アゼヴェート・ゴメス監督のインタビューより


愛とは何だろうか?集団的な情熱こそが、映画が存在するために必要なものである。可能性 という魔物が存在する。私は、自分の中に存在しない何か必要なものに突き動かされていた。 資金援助者からの答えを待つのは嫌だった(一度も待ちたくなかった。それは今でも可能なのだろうか?もしかしたら……)

とにかく映画を撮るつもりだった!

俳優たち、技術監督、メンバーの大半がすでに『ある女の復讐(A Vingança de uma Mulher)』『書簡集(Correspondências)』や『ポルトガルの女』などの私の 過去の作品で、すでに一緒に仕事をしていた人たちだった。皆「さあ、映画を作ろう!」と私に応えてくれた。

昨年11月、私たちはポルトガルの北部ミーニョ州のモレドへ、総勢12人で出発した。友人である幸運の持ち主、ゴンザロ・ガルシア・ペライヨの魔法のようなポケットにあったビットコインで、撮影のための基本的な費用を賄うことができた。

一方で新型コロナウイルス(covid)の検査という問題もあった!

モレドの空は撮影が待ちきれない程素晴らしく、またこの映画のために見つけた家は完璧だった。確固な固定観念にとらわれず、ギリギリになって気づき感じたものがそこにはあった。60年代にロメールによって書かれた唯一の戯曲であるLe trio en Mi Bémolを着想源として、出発前にZoomで何回かリハーサルを行った後、撮影へと旅立った。

これほどまでに集団制作によって、感動的で愛される映画があっただろうか。外は、閉ざされた世界だった。まるで、誰も死なず生まれ出づることのないデロス島のように、誰も外に出ることも中に入ることもできない。私たちは激烈に作業を行ったが、ある種の牧歌的な雰囲気の中で、つまり幸福な相互一致の下で行われた仕事だった。一種の感傷的な喜劇である。

歳をとって嗄れた私たちには、三週間は短い時間であったが、この映画が編集の終盤を迎えた今日では、三週間は広大なものである。

閉じてしまう扉/開きたい扉という一つの矛盾がそこにある。矛盾した存在である私は、その矛盾によって何かを暴くのではなく、むしろ矛盾をもたらすように運命づけられているのだ。私の大きな矛盾は、現実を前にして常に深く曖昧である方法をとる方向へと私自身を強いるのである。

私が信じているものは、行うことの中にある可能性である。

リタ・アゼヴェード・ゴメス監督
2021年5月(「カイエ・ドゥ・シネマ」インタビューより) 訳:小城大知

監督紹介:リタ・アゼヴェード・ゴメス

Rita Azevedo Gomes

1952年生まれ。現代ポルトガルの重要な作家としてこれまで『Frágil como o Mundo』(2001)や『Altar』(2002)、『A Vingança de Uma Mulher(ある女の復讐)』(2012)など多くの作品を制作。『ポルトガルの女』(2019)は、ラス・パルマス国際映画祭で最優秀賞を受賞するとともに、日本でもイメージフォーラム・フェスティバル2019、EUフィルムデーズ2021で上映され高い評価を得る。新作『変ホ長調のトリオ』(2022)はベルリン国際映画祭フォーラム部門でワールドプレミアされて以降、全州国際映画祭など数多くの映画祭で上映。日本では本年8月に広島大学映画研究会主催で初上映された。

ゲスト紹介

赤坂 太輔 氏

Akasaka Daisuke

映画批評家。2003年よりシネクラブ&ウェブサイトであるNew Century New Cinemaを立ち上げ、世界の日本未公開作品や作家の紹介上映活動をおこなう。著書「フレームの外へ──現代映画のメディア批判」(森話社) http://www.ncncine.com

プログラム一覧

藤原季節氏、内田健司氏、周本絵梨香氏
藤原季節氏、林知亜季監督、義山真司氏、柾賢志氏、佐藤考哲氏、浅沼ファティ氏、石原滉也氏、毎熊克哉氏
奥浜レイラ氏(映画・音楽パーソナリティ)、高橋芳朗氏(音楽ジャーナリスト)、村山章氏(映画ライター)
佐藤浩市氏、阪本順治監督、伊藤さとり氏(映画パーソナリティ)
上田誠氏、山口淳太監督、藤谷理子氏、石田剛太氏
永田芳弘プロデューサー、矢田部吉彦氏(前東京国際映画祭ディレクター)
福島良一氏(野球解説者、メジャーリーグアナリスト)、蛭間豊章氏(報知新聞社メジャー担当記者)、久保田市郎氏(SLUGGER編集長)
千原徹也監督、川上未映子氏(作家)
木村聡志監督、莉子氏、筧美和子氏、みらん氏、森直人氏(映画評論家)
石川梵監督
鈴木仁篤監督、赤坂太輔氏(映画批評家)
赤坂太輔氏(映画批評家)
大山顕氏、佐藤大氏、稲田豊史氏、速水健朗氏、妹尾朝子氏、山内マリコ氏
亀山睦木監督、小川深彩監督、森美春監督
菊地成孔氏(音楽家/文筆家)、佐々木敦氏(思考家/HEADZ主宰)、池城美菜子氏(音楽ライター/翻訳家)
小野峻志監督とご出演者のみなさま
福永壮志監督、中井圭氏(映画解説者)
アサダアツシ氏(脚本家)、金子鈴幸氏(脚本家)
堀井綾香監督、福地桃子氏、青木柚氏