第33回映画祭TAMA CINEMA FORUM

プログラム紹介

【A-1】第15回TAMA映画賞授賞式

11/25[土] パルテノン多摩大ホール
チケット情報

チケット料金

一般
3,000円

第15回TAMA映画賞授賞式チケットの購入方法・詳細についてはこちらのページでご確認ください。

会場アクセス

パルテノン多摩 大ホール

〒206-0033 東京都多摩市落合2-35
小田急多摩線/京王相模原線/多摩都市モノレール「多摩センター駅」より徒歩5分。(パルテノン大通りを直進)

雑魚どもよ、大志を抱け!

  • 2023年/映画「雑魚どもよ、大志を抱け!」製作委員会製作/東映ビデオ配給/145分
  • 監督・原作・脚本=足立紳
  • 脚本=松本稔
  • プロデューサー=佐藤現、坂井正徳、足立晃子
  • 撮影=猪本雅三、新里勝也
  • 美術=高橋俊秋
  • 音楽=海田庄吾
  • 編集=堀善介
  • 出演=池川侑希弥、田代輝、白石葵一、松藤史恩、岩田奏、蒼井旬、坂元愛登、臼田あさ美、浜野謙太、新津ちせ、河井青葉、永瀬正敏
12歳未満の方は保護者の同伴が適当です

ストーリー

1988年、地方の町に暮らす小学生の瞬(池川)は、乳がんを患う母の病状よりも学習塾に通わさせられることを心配していた。彼の周囲には犯罪歴のある父を持つ隆造(田代)や、いじめを受けながらも映画監督を目指す西野(岩田)など、問題を抱えながらも明日を夢見る仲間たちがいた。ある日、瞬はいじめを見て見ぬ振りをしてしまい……。

コメント

友達の家に遊びに行っても別々にゲームをやるような<個の時代>となった今、学校が終われば仲間の家を巡って皆でたむろしている少年たちの姿は、似たような日常に明け暮れていた自分の少年期がリフレインして懐かしく思い返された。なんだかんだあっても固い絆で結ばれた少年たちの社会のなかで起こる出来事は、今の時代に失われた大切なものを思い起こさせてくれる。いや、それは時代による変化ではなく、単に自分が大人になる過程で置き去りにしてしまった思いなのかもしれない。そう思うと、少年たちがその後どんな大人になったのだろうかと、とても気になった。

一方で、瞬たちを温かく見守る両親(臼田・浜野)の生活感や生きざまもとても魅力的に描かれている。家族や大人たちとのかかわりを経て、この少年たちも自らが作り出した社会から巣立っていくので、周囲の大人たちの個性が際立っていることにより作品がさらにスケールアップしている。

雑魚どもの未来に幸あれ!(淳)

怪物

  • 2023年/東宝、フジテレビジョン、ギャガ、AOI Pro.、分福製作/東宝、ギャガ配給/125分
  • 監督=是枝裕和
  • 脚本=坂元裕二
  • 企画・プロデュース=川村元気、山田兼司
  • プロデューサー=伴瀬萌、伊藤太一、田口聖
  • 撮影=近藤龍人
  • 美術=三ツ松けいこ
  • 音楽=坂本龍一
  • 出演=安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、高畑充希、角田晃広、中村獅童、田中裕子

ストーリー

大きな湖のある郊外の町。息子の麦野湊(黒川)を愛するシングルマザーの早織(安藤)、生徒思いの教師の保利(永山)、そして無邪気な湊と依里(柊木)。それは、よくある子供同士のケンカに見えたが、食い違う主張は次第にメディアを巻き込み、大事になっていく。そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した――。

コメント

母親、教師、子供たちの三者三様の視点から同じ出来事を描き、登場人物の行動の意図、発言の真意などが立体的に浮かび上がっていく。緻密な伏線の回収に、驚きと心地よさを感じながら、どんどん引き込まれていった。

登場人物それぞれの「怪物」によって、複雑な現代の生きづらさを、リアルに感じられる一方で、ラストシーンの陽光に包まれて、生い茂った草木の中を走る子供たちの姿には、それまでに感じていた暗さ、重苦しさがすべて払拭されるほどの爽快感があった。

坂本龍一の音楽、カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した坂元裕二の脚本、俳優の演技などはどれも素晴らしく、そのなかでも特に、子供たちの演技の瑞々しさに心が洗われた。本作は『怪物』というタイトルだが、湊と依里との無垢で、儚く、尊い関係性が一番印象的で、鑑賞後は喜怒哀楽のどれでもない、初めての不思議な感情に包まれ、今後も繰り返して何度も観たいと思った。(新)

受賞者プロフィール

是枝 裕和 監督

Koreeda Hirokazu

1962年生まれ、東京都出身。早稲田大学卒業後、テレビマンユニオンにて主にドキュメンタリーを演出。95年『幻の光』で映画監督デビュー。『誰も知らない』(2004年)『歩いても 歩いても』(08年)『奇跡』(11年)『海街diary』(15年)などで高い評価を得る。カンヌ国際映画祭では『そして父になる』(13年)で審査員賞、『万引き家族』(18年)でパルムドールを受賞。また、19年にカトリーヌ・ドヌーヴ主演の日仏合作映画『真実』、22年には韓国映画『ベイビー・ブローカー』を監督し、海外での活躍も目覚ましい。

足立 紳 監督

Adachi Shin

1972年生まれ、鳥取県出身。相米慎二監督に師事。助監督、演劇活動を経て脚本を書き始め、『百円の恋』が2014年に映画化。ほか映画脚本作品として『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(17年)『こどもしょくどう』(19年)『アンダードッグ 前編・後編』(20年)など。テレビドラマに「拾われた男」、放映中のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」など。監督としては16年に『14の夜』でデビュー。20年に『喜劇 愛妻物語』を監督。

宮﨑 駿 監督

Miyazaki Hayao

アニメーション映画監督。1941年東京生まれ。1963年東映動画(現・東映アニメーション)入社。1985年にスタジオジブリの設立に参加。代表作は『風の谷のナウシカ』(1984)『天空の城ラピュタ』(1986)『となりのトトロ』(1988)『もののけ姫』(1997)『千と千尋の神隠し』(2001)『ハウルの動く城』(2004)『風立ちぬ』(2013)など。最新監督作は現在公開中の『君たちはどう生きるか』。『千と千尋の神隠し』で第52回ベルリン国際映画祭金熊賞、第75回アカデミー賞長編アニメーション映画部門賞を受賞。2005年に第62回ベネチア国際映画祭栄誉金獅子賞、2014年に米アカデミー名誉賞を受賞している。

上田 誠 氏

Ueda Makoto

1979年生まれ、京都府出身。ヨーロッパ企画代表で、すべての本公演の脚本・演出を担当。2017年に舞台「来てけつかるべき新世界」で第61回岸田國士戯曲賞受賞。近年の主な映画参加作として、原案・脚本の『ドロステのはてで僕ら』、脚本の『前田建設ファンタジー営業部』(いずれも20年)、原案・脚本の『四畳半タイムマシンブルース』(22年)、日本語吹き替え版脚本の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(23年)などがある。

山口 淳太 監督

Yamaguchi Junta

1987年生まれ、大阪府出身。2005年にヨーロッパ企画に参加。映画やドラマ、CM、ドキュメンタリーなど、映像コンテンツの演出・撮影・編集まですべて行うオールインワンタイプのディレクターとして幅広く活躍。『ドロステのはてで僕ら』(20年)は多数の海外映画祭で各賞を受賞し、多くの国で配給された。その他の監督作に、『たぶん杉沢村』(23年)、クリープハイプのMV「イト」や連続ドラマ「あいつが上手で下手が僕で」「時をかけるな、恋人たち」などがある。

佐藤 浩市 氏

Sato Koichi

1960年生まれ、東京都出身。ドラマ「続・続事件 月の景色」(80年)でデビューし、『青春の門』(81年)でブルーリボン賞新人賞を受賞した。『忠臣蔵外伝 四谷怪談』(94年)、『64-ロクヨン- 前編』(2016年)では日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を、『雪に願うこと』(06年)では東京国際映画祭最優秀男優賞を受賞。ほかに『KT』(02年)、『ザ・マジックアワー』(08年)、『Fukushima 50』(20年)などがある。

鈴木 亮平 氏

Suzuki Ryohei

1983年生まれ、兵庫県出身。2007年『椿三十郎』にて映画初出演。その後、13年公開の『HK/変態仮面』で主演を務め、14年にNHK連続テレビ小説「花子とアン」にてヒロインの夫役で出演し知名度を高める。『俺物語!!』(15年)では高校生の主人公を演じ、18年にはNHK大河ドラマ「西郷どん」で主人公の西郷隆盛役を演じた。『孤狼の血 LEVEL2』(21年)では第45回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞をはじめ、多くの賞を受賞した。近年の主な出演作に『ひとよ』(19年)、『燃えよ剣』『土竜の唄 FINAL』(いずれも21年)など。24年にNetflix映画『シティーハンター』が配信予定。

菊地 凛子 氏

Kikuchi Rinko

1981年生まれ、神奈川県出身。新藤兼人監督作『生きたい』(99年)で映画デビュー。『バベル』(2006年)で米アカデミー賞助演女優賞にノミネート。以降、『ノルウェイの森』(10年)、『パシフィック・リム』シリーズなど、国内外の映画、ドラマで活躍している。主演作品に『ナイト・トーキョー・デイ』(10年)、『トレジャーハンター・クミコ』(14年)『ハイヒール~こだわりが生んだおとぎ話』(17年)。本年『658km、陽子の旅』で日本映画単独初主演を飾った。Netflix製作『クレイジークルーズ』が今後配信予定。

黒木 華 氏

Kuroki Haru

1990年生まれ、大阪府出身。2010年NODA・MAP番外公演「表に出ろいっ!」で本格デビュー。13年に第5回TAMA映画賞最優秀新進女優賞受賞。『小さいおうち』(14年)でベルリン国際映画祭銀熊賞、『浅田家!』(20年)で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞。主な映画出演作に『リップヴァンウィンクルの花嫁』(16年)、『日日是好日』(18年)、『先生、私の隣に座っていただけませんか?』(21年)など。本年は『イチケイのカラス』『#マンホール』『ヴィレッジ』『せかいのおきく』『ほつれる』『キリエのうた』などに出演。

福永 壮志 監督

Fukunaga Takeshi

2015年に初⻑編映画『リベリアの白い血』がベルリン国際映画祭パノラマ部門正式出品、ロサンゼルス映画祭で最高賞受賞、16年にインディペンデント・スピリットアワードでジョン・カサヴェテス賞にノミネートされる。20年、⻑編二作目の『アイヌモシㇼ』がトライベッカ映画祭の国際ナラティブ・コンペティション部門で審査員特別賞、グアナファト国際映画祭で最優秀作品賞を受賞。TAMA映画賞受賞作『山女』が長編三作目となる。

金子 由里奈 監督

Kaneko Yurina

1995年生まれ、東京都出身。立命館大学映像学部在学中に映画制作を開始。山戸結希 企画・プロデュース『21世紀の女の子』(2018年)公募枠に約200名の中から選出され、伊藤沙莉を主演に迎えて『projection』を監督。また、自主映画『散歩する植物』(19年)がPFFアワード2019に入選し、香港フレッシュ・ウェーブ短編映画祭でも上映される。初長編作品『眠る虫』(20年)は、MOOSIC LAB2019においてグランプリに輝き、自主配給ながら各地での劇場公開を果たした。「チェンマイのヤンキー」というユニットで音楽活動も行っている。

目黒 蓮 氏

Meguro Ren

1997年生まれ、東京都出身。2020年1月にSnow Manとしてデビュー。同年公開の『滝沢歌舞伎 ZERO 2020 The Movie』では、Snow Manとしてグループで映画初主演を飾る。その他の出演作に、ドラマ「教場Ⅱ」「消えた初恋」(いずれも21年)、NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」「silent」(いずれも22年)など。22年に公開された『映画『おそ松さん』』『月の満ち欠け』で、第96回キネマ旬報ベスト・テン新人男優賞を受賞した。

奥平 大兼 氏

Okudaira Daiken

2003年生まれ、東京都出身。『MOTHER マザー』(20年)で演技未経験ながらメインキャストに抜擢され俳優デビュー。この作品で第44回日本アカデミー賞新人俳優賞、第94回キネマ旬報ベスト・テン新人男優賞、ほか多数の新人賞を受賞し、一躍脚光を浴びる。その他主な出演作として『マイスモールランド』(22年)、TVドラマ「最高の教師」(23年)、今後の待機作としてディズニープラス配信ドラマ「ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-」(23年冬)、映画『PLAY!』(24年春)などがある。

山田 杏奈 氏

Yamada Anna

2001年生まれ、埼玉県出身。2011年「ちゃおガール2011☆オーディション」でグランプリを受賞しデビュー。18年『ミスミソウ』で映画初主演。19年『小さな恋のうた』で第41回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞受賞。その後、『ひらいて』『彼女が好きなものは』(ともに21年)、ドラマ「未来への10カウント」「17才の帝国」「新・信長公記~クラスメイトは戦国武将~」(いずれも22年)など、多数出演。10月より放送のドラマ「ゼイチョー〜「払えない」にはワケがある〜」に出演、来年1月公開の『ゴールデンカムイ』が待機している。

髙石 あかり 氏

Takaishi Akari

2002年生まれ、宮崎県出身。19年より俳優活動を本格化させ、映画、ドラマ、舞台など幅広く活躍。21年の映画初主演作『ベイビーわるきゅーれ』が大ヒット。主な出演作に『終末の探偵』『追想ジャーニー』(いずれも22年)など。本年は『わたしの幸せな結婚』『Single8』『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』『セフレの品格 決意』に出演し、ドラマでは「墜落JKと廃人教師」でヒロインを務め、「わたしの一番最悪なともだち」にも出演。また、2024年の公開待機作に映画『ベイビーわるきゅーれ3』(仮)がある。

プログラム一覧

藤原季節氏、内田健司氏、周本絵梨香氏
藤原季節氏、林知亜季監督、義山真司氏、柾賢志氏、佐藤考哲氏、浅沼ファティ氏、石原滉也氏、毎熊克哉氏
奥浜レイラ氏(映画・音楽パーソナリティ)、高橋芳朗氏(音楽ジャーナリスト)、村山章氏(映画ライター)
佐藤浩市氏、阪本順治監督、伊藤さとり氏(映画パーソナリティ)
上田誠氏、山口淳太監督、藤谷理子氏、石田剛太氏
永田芳弘プロデューサー、矢田部吉彦氏(前東京国際映画祭ディレクター)
福島良一氏(野球解説者、メジャーリーグアナリスト)、蛭間豊章氏(報知新聞社メジャー担当記者)、久保田市郎氏(SLUGGER編集長)
千原徹也監督、川上未映子氏(作家)
木村聡志監督、莉子氏、筧美和子氏、みらん氏、森直人氏(映画評論家)
石川梵監督
鈴木仁篤監督、赤坂太輔氏(映画批評家)
赤坂太輔氏(映画批評家)
大山顕氏、佐藤大氏、稲田豊史氏、速水健朗氏、妹尾朝子氏、山内マリコ氏
亀山睦木監督、小川深彩監督、森美春監督
菊地成孔氏(音楽家/文筆家)、佐々木敦氏(思考家/HEADZ主宰)、池城美菜子氏(音楽ライター/翻訳家)
小野峻志監督とご出演者のみなさま
福永壮志監督、中井圭氏(映画解説者)
アサダアツシ氏(脚本家)、金子鈴幸氏(脚本家)
堀井綾香監督、福地桃子氏、青木柚氏