第28回映画祭TAMA CINEMA FORUM

プログラム紹介

【C-1】作品を豊かにする個性派俳優 ―祝!新進俳優賞・伊藤沙莉、吉村界人―

11/17[土] ベルブホール

チケット料金

一般
前売:1,200円 / 当日:1,400円

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獣道

  • 2017年/日本・イギリス合作/Third Window Films、Libertas、MOVE製作/ Third Window Films配給/94分
  • 監督・脚本=内田英治
  • プロデューサー=アダム・トレル
  • coプロデューサー=藤井宏二、山口幹雄
  • 撮影=伊藤麻樹
  • 音楽=小野川浩幸
  • 編集=小美野昌史
  • 出演=伊藤沙莉、須賀健太、アントニー、吉村界人、韓英恵、冨手麻妙、松本花奈、毎熊克哉、矢部太郎、近藤芳正
この作品は15歳未満の方のご鑑賞はできません

ストーリー

とある地方都市に生まれた愛衣(伊藤)は、母親に入れられた宗教施設で世間から隔離されて育つ。教団摘発を機に家に戻るも居場所はなく、ヤンキー一家や中流家庭を転々、やがて風俗の世界へ。そして、唯一の理解者である亮太(須賀)もまた、居場所を求めて半グレたちとつるみ……。獣道をゆく若者たちの運命はいかに。

コメント

第10回TAMA映画賞で最優秀新進女優賞を受賞した伊藤沙莉と最優秀新進男優賞を受賞した吉村界人の共演作。

伊藤演じる愛衣は、生活環境に応じて清楚なお姉さんからヤンキー、風俗嬢、純真無垢な子どもまで、実にさまざまなキャラクターになりきる。一見すると別人のようだが、その根底には居場所がなく愛に飢えた1人の少女の姿がある。作品を通して伊藤の人物造形の豊かさと演技の幅広さを実感、バイプレイヤーとしての活躍著しい所以を知ることとなる。

一方の吉村は、いわゆるステレオタイプな“金髪”の役。吉村がこれまで多く演じてきた金髪の不良や劣等生とは一線を画す発狂ぶりながら、仲間の変化に対する反発や焦燥といった機微も感じさせる。徐々に狂気に侵されていく様子やMAXクレイジーなシーンの緊張感もすさまじいが、虚勢が一気に崩れ去った瞬間の脆弱さには胸を締め付けられる。

その他出演陣のキャラクターも魅力あふれ、異色の青春映画をギラつかせる。(妃)

榎田貿易堂

  • 2017年/映画「榎田貿易堂」製作委員会製作/アルゴ・ピクチャーズ配給/110分
  • 監督・脚本・編集=飯塚健
  • 撮影=山崎裕典
  • 美術=吉田敬
  • 編集=木村悦子
  • 音楽=海田庄吾
  • 出演=渋川清彦、森岡龍、伊藤沙莉、滝藤賢一、宮本なつ、渡邊蒼、諏訪太朗、片岡礼子、根岸季衣、余貴美子
この作品は15歳未満の方のご鑑賞はできません

ストーリー

リサイクルショップ「榎田貿易堂」の店主・榎田洋二郎(渋川)のもとには、店の商品同様にさまざまな人間が集う。従業員の千秋(伊藤)と清春(森岡)、終活中のヨーコ(余)、東京から出戻った丈(滝藤)。各々が小さな秘密を抱えながらも穏やかな日々を送っていたが、ある日を境にそれぞれの悩みや問題が動き出す……。

コメント

舞台は群馬県渋川市の地方のどこにでもあるようなリサイクルショップ。そこに集う人々がこれまでに、そして今生きているなかで抱え込んでしまったさまざまな秘密や悩みに向き合う姿を、時に生々しく、時に正面から、時にコミカルに描き、明日もこのままでいいのかと考えさせる。

下ネタやコメディー的なシーンに目を奪われがちだが、登場人物たちはみな明日を探し、悩み、戸惑っている。なかでも、夫との性生活に悩む千秋が旦那を誘って行く珍宝館のシーンはコミカルでありながら、生々しく真に迫っている。この映画にはいくつかの性描写があるが、生きていくうえで避けられない「性」がいろいろな形で描かれ印象に残る。

作中の「このままじゃだめだってことだけはわかる」というセリフ。明日に向かってどうにかしたい。しかし、なかなか道が見つけられない。それでも今を何とかして生きてゆく人々の姿を通して、この映画を観る人は自身の明日を見つめるきっかけを見出すかもしれない。(健)

ゲスト紹介

伊藤 沙莉 氏

Ito Sairi

1994年生まれ、千葉県出身。2003年、9歳の時にテレビドラマ「14か月~妻が子供に還っていく~」でデビュー。17年、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」の演技で注目を集める。本年は『榎田貿易堂』『寝ても覚めても』『パンとバスと2度目のハツコイ』『blank 13』やテレビ版「この世界の片隅に」に出演。そのほかラジオ番組「伊藤沙莉のsaireek channel」を9月から務めるなど多方面で活躍している。

渋川 清彦 氏

Shibukawa Kiyohiko

1974年生まれ、群馬県渋川市出身。KEEとしてモデル活動後、1998年に豊田利晃監督作『ポルノスター』で映画デビュー。その後も『青い春』(02)、『ナインソウルズ』(03)、『蘇りの血』(09)など豊田組に多数出演。他『せかいのおわり』(04/風間志織監督)、『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(08/若松孝二監督)、『フィッシュストーリー』(09/中村義洋監督)、『ゴールデンスランバー』(10/中村義洋監督)、『生きてるものはいないのか』(12/石井聰亙監督)、『11・25 自決の日 三島由紀夫と若者たち』(12/若松孝二監督)など出演作品は多岐に渡る。主演作に『そして泥船はゆく』(渡辺紘文監督)、『お盆の弟』(15/大崎章監督)、『モーターズ』(15/渡辺大知監督)、『下衆の愛』(16/内田瑛治監督)等。今年の主な公開作に『菊とギロチン』(瀬々敬久監督)、『高崎グラフィティ。』(川島直人監督)、『泣き虫しょったんの奇跡』(豊田利晃監督)、『ルームロンダリング』(片桐健滋監督)、『パンク侍、斬られて候』(石井岳龍監督)がある。

飯塚 健 監督

Iizuka Ken

1979年生まれ、群馬県出身。2003年、沖縄・石垣島を舞台にした群像劇『Summer Nude』で映画監督デビューし、大きな反響を呼んだ。以降、『荒川アンダーザブリッジ』シリーズ(ドラマ:11/MBS、映画:12)、「放課後グルーヴ」(13/TBS)、『風俗行ったら人生変わった www』(13)、『大人ドロップ』(14)、ドラマ「REPLAY&DESTROY」(15/MBS)、ドラマ「神奈川県厚木市 ランドリー茅ヶ崎」(16/MBS)、『ブルーハーツが聴こえる』(17)、『笑う招き猫』シリーズ(ドラマ:17/MBS、映画:17)など、話題作を次々と監督する。最新作は 『虹色デイズ』。

プログラム一覧

今泉力哉監督、三宅唱監督
東出昌大氏、金原由佳氏(映画ジャーナリスト)
望月衣塑子氏(東京新聞社会部記者)
大九明子監督、菊地健雄監督、白石裕菜企画プロデューサー、八尾香澄プロデューサー
伊藤沙莉氏、渋川清彦氏、飯塚健監督
高橋隆大氏、長尾理世氏、石丸将吾氏、唐鎌将仁氏、飯野舞耶氏、律子氏(以上出演者)、石川貴雄氏(助監督)
清原惟監督、佐々木敦氏(批評家/HEADZ)、長尾理世氏(『ゾンからのメッセージ』出演)、律子氏(『ゾンからのメッセージ』、『わたしたちの家』出演)
ベルトラン・マンディコ監督、エリナ・レーヴェンソン氏(女優)、五所純子氏(文筆家)
有坂塁氏(移動映画館「キノ・イグルー」代表)
原一男監督
遠藤麻衣子監督、夏目深雪氏(批評家、編集者)
村川透監督
団地団
(大山顕氏、佐藤大氏、速水健朗氏、稲田豊史氏、山内マリコ氏)
細川徹監督、三宅弘城氏
菊地健雄監督、片桐はいり氏
カメ止めチーム
中野ダンキチ氏(サメンテイター)、藤田みさ氏(ラジオパーソナリティ)、中野将樹氏(芸術家)ほか
深川麻衣氏、志田彩良氏
枝優花監督、穂志もえか(保紫 萌香)氏、金原由佳氏(映画ジャーナリスト)