第32回映画祭TAMA CINEMA FORUM

プログラムレポート

【B-2】『流浪の月』

11/19[土] パルテノン多摩小ホール
  • 16:00-18:30
    流浪の月
  • 18:40-19:20
    トーク
    ゲスト:白鳥玉季氏、李相日監督

2019年8月に凪良ゆうさんのベストセラー小説としてその年の本屋大賞を受賞した『流浪の月』。“誘拐犯”の文と“被害者女児”の更紗が偶然再会し、二人の真実を巧妙かつ繊細に描く物語として、話題を呼びました。そして2022年5月に映画化。映画祭では、2022年を代表する傑作として上映するとともに、幼い頃の更紗を演じた白鳥玉季さんと物語の世界を紡いだ李相日監督をお招きし、撮影エピソードなど語っていただきました。二人のお話は、撮影時のような温かみのある会話と穏やかな雰囲気に包まれながらのトークになりました。

まず、お二人の出会いとなったオーディション時の涙を流す演技などのエピソードを披露。監督は白鳥さんについて広瀬すずさんに似ているとは思っていなかったが、映画を観た方から二人が同じ人にすごく見えると言われたことを受けて、白鳥さんは広瀬さんに似ているなんて!とびっくりしたけれど、きっと「更紗」になろうとしたことが伝わったのではないかと。

最初、更紗は暗い感じの子と思っていた白鳥さんでしたが、監督との会話の中で明るい子なんだと気づき、撮影しながら徐々に理解を深めていったようです。文役の松坂桃李さんには頼れるお兄さんとして接していて、お弁当のこととか何でもない話しをしたりして心地よい時間を過ごせたそうです。

撮影では最初の方は20テイク以上も重ねていたこともあったけれど、ブランコのシーンでは数テイクでできて飛び上がって喜んだことなど明るい白鳥さんの一面も。本作については、観終わったとき、(思いが溢れすぎて)何もないという稀有な気持ちになったことやもう一度観たいと思ったことなど率直に語っていただき、監督は会場のお客様にぜひ白鳥さんを今後も観続けていただきたいと述べて締めとなりました。

この作品を企画し感じたのは、ひとは複雑であり美しいということです。善意や悪意を越え、苦しい道のりを歩もうともひとはそれでも何かを求めて生き続けることで求めていた景色へと行き着くことができるのだと感じました。更紗と文のようにもがきながらも二人で、それでも生きようとする姿を忘れてはならないのだと思います。

トークゲストである白鳥さんと李監督、また本作を制作したキャストやスタッフの方々に感謝し、今後の映画制作に期待したいと思います。映画が作り手のために、観客のためにあり続けますように…。ありがとうございました。

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