JAPANESE FRESH FILMS

11月27日 「JAPANESE FRESH FILMS」 (パルテノン多摩小ホール)

●Time Table●
12:00−13:52
13:52−14:22
15:00−16:35
16:35−17:15
17:40−19:20
アドレナリンドライブ
トーク 矢口史靖監督、司会:内海陽子氏(映画評論家)
avec mon mari/アベックモンマリ
トーク 大谷健太郎監督、板谷由夏氏、司会:内海陽子氏
ワンダフルライフ

アドレナリンドライブ
1999年/「アドレナリンドライブ製作委員会」製作/ゼアリズエンタープライズ、日本出版販売配給/1時間52分
 
監督・脚本・編集=矢口史靖
撮影=浜田毅
音楽=山田精一、羅針盤
美術=山田好男
出演=安藤政信、石田ひかり、ジョビジョバ、上田耕一、徳井優、諏訪太朗
 
[ストーリー]
 レンタカー会社に勤める鈴木(安藤)は、ある日ヤクザの黒岩の乗った車に追突してしまう。ヤクザの事務所に連れて行かれ、法外な金を請求されてピンチに陥るが、突然のガス爆発。事務所は焼けこげ、ヤクザも血まみれになり倒れている。そこを偶然通りかかった看護婦佐藤(石田)は、崩壊したヤクザの事務所に駆けつける。そこで目にするのは奇跡的に助かった鈴木とノミ金2億円だった。2人に突然舞い込んだ2億円。それを取り返そうとするヤクザ黒岩とチンピラ6人組(ジョビジョバ)。2人は逃げきることが出来るのか?
 
[コメント]
 上映した映画館の単館入場者記録を塗り替える大ヒットを飛ばした本作品。平日の昼間に観に行ったにも関わらず、客席はいっぱいだった。隣に座っていたおじさんがドッカンドッカン笑っていたのを思い出す。そうこの映画は故意に笑わせようとするところは一切ないが笑えるのである。
 主人公2人はいたって平凡。主人公の名前は鈴木さんと佐藤さん。日本人のごくごく一般的な名前である。つまりどこにでもいるような人として描かれているところが細かい。この平凡な2人に突然起こるハプニング。なんと2億円が舞い込んでくるのである。この2億円を手にしてからの2人が面白い。
 佐藤静子はいたって真面目な看護婦。一生懸命にやっているが報われないタイプ。後輩の看護婦にまるめこまれコンビニに買い物へ行っている始末。そんなモテなさそうなキャラクターの静子であるが、お金を手にして変わっていく。いきいきとしてくるのである。お金をコインランドリーで乾かしているシーンなんて最高にかわいい。
 ガス爆発に2億円、次々起こるハプニングは非現実的なものばかりだ。しかし淡々と小気味よく流れていくストーリー展開は観ていて気持ちがいい。きっとこの映画を観終わったら誰しも顔の筋肉がゆるんでいるはずです。 (裕美子)

avec mon mari/アベックモンマリ
1999年/SHOOTシネマ企画製作/武藤起一事務所配給/1時間35分
 
監督・脚本=大谷健太郎
撮影=鈴木一博
音楽=Reinaldo Pineda
美術=貝賀香織
出演=小林宏史、板谷由夏、辻緒里、大杉漣、大谷健太郎、寺島まゆみ
 
[ストーリー]
 出版社で雑誌編集の仕事をしている美都子(板谷)と売れないフリーカメラマンのタモツ(小林)は結婚3年目。仕事はバリバリこなすが家事は全くやる気がない気の強い美都子と、仕事はまったくないが料理から裁縫までなんでもこなす気の優しいタモツの二人は、普通とは違うがバランスのとれた夫婦だった。
 ある日、美都子はタモツがモデルのマユ(辻)と浮気をしていると勘違い。離婚届に無理やり判を押させ、一方的に離婚を宣言する。家を追い出されたタモツは仕方なくマユの部屋に転がり込む。マユはアートディレクターの中崎(大杉)と不倫状態だったが、「たまにしか来ないから。」と快諾。
 そこへ中崎がマユの部屋を訪ねてくる。あくまで友達関係だと言い張るマユに中崎は「夫婦として一度きちんと話し合おう」という。実は中崎とマユは夫婦だった。中崎は二人を引き離すため美都子とタモツを仲直りさせようと鎌倉の別宅に呼び出すが……。
 
[コメント]
 タイトルの『avec mon mari/アベックモンマリ』はフランス語で“夫と一緒に”という意味です。新しい夫婦のカタチを描いた、おしゃべりな恋愛映画です
 浮気した、しないの些細な痴話ゲンカが離婚の危機を招いた若い夫婦と中年男性と若くて可愛い女の子の年の差カップルの四角関係のお話ですが、“離婚”、“不倫”のドラマにありがちな悲壮感なんて全くありません。観終わった後の足どりも軽やかです。秘密は劇中、飛び交う夫婦間の会話です。登場人物は本当に良くしゃべります。“夫婦はこういうもの”というような従来の考え方や世間体にとらわれない、自由でユーモラスな日常会話は見ていて気持ちいい。お気軽に “夫婦とは何か?”と考えさせられる普段着感覚の映画です。若いカップルだけじゃもったいない、熟年夫婦にも見てもらいたい1本です。 (宮)

ワンダフルライフ
1999年/テレビマンユニオン、エンジンフィルム製作・配給/1時間58分
 
監督・脚本・編集=是枝裕和
撮影=山崎裕
音楽=笠松泰洋
美術=磯見俊裕、郡司英雄
出演=ARATA、小田エリカ、寺島進、内藤剛志、谷啓
 
[ストーリー]
 霧に包まれた古い建物に人々が吸い込まれていく。「あなたは昨日お亡くなりになりました。あなたの人生の中から大切な思い出をひとつだけ選んで下さい。いつを選びますか。」職員は死者たちから思い出を聞き出し、映像化する。死者たちは7日目にその映像を見届け天国へと旅立つ。職員の望月(ARATA)と助手のしおり(小田)は着々と準備を進めていく。担当する死者の一人は、「どうせなら自分が生きた証が分かるような出来事を選びたい。」となかなか思い出を選べない。こうして職員と死者との天国までの7日間が始まる。
 
[コメント]
 デビュー作『幻の光』でヴェネチア映画祭・オゼッラ賞を受賞した是枝監督。待望の2作目は「淡々とした……」という言葉がふさわしい、そんな映画だ。この作品には死者しか登場しない。天国へいく死者と天国へ送る死者(職員)、そんなフィクションの世界でありながら、古びた施設の中で起こる出来事は非常に現実的である。その不可思議な感覚の映像は監督のドキュメンタリータッチ故だろう。
 思い出を選び、その思い出の映像を目に焼き付け、胸に抱いて天国へと旅立つシーンは、静かで優しい気持ちになる。「思い出をひとつ選ぶなら、どの思い出を選びますか。」この作品を観た誰もが自分にこの台詞を当てはめ、人生を振り返ると思う。その時、私はどの思い出を選ぶのか、それともこれからの人生に選ぶ思い出が待っているのか……。いずれにしても死を迎える時「すばらしい人生だった(ワンダフルライフ)」と思えるよう、ワンシーン、ワンシーンを大切に感じとって生きていきたい。 (裕美)