アクション&サスペンス

11月27日 「アクション&サスペンス」 (パルテノン多摩大ホール)

●Time Table●
10:30−12:42
13:20−15:13
15:30−17:09
17:30−20:00
エネミー・オブ・アメリカ
エントラップメント
スネーク・アイズ
アルマゲドン

エネミー・オブ・アメリカ
ENEMY OF THE STATE
1998年/アメリカ/タッチストーン・ピクチャーズ製作/ブエナビスタ配給/2時間12分
 
監督=トニー・スコット
脚本=デビッド・マルコーニ
撮影=ダン・ミンデル
音楽=トレバー・ラビン、ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
美術=ベンジャミン・フェルナンデス
編集=クリス・リベンソン
出演=ウィル・スミス、ジーン・ハックマン、ジョン・ボイト、リサ・ボネット
 
[ストーリー]
 若手弁護士のロバート・クレイトン・ディーン(W・スミス)は、ある偶然から下院議員暗殺事件の証拠を握るが、自分ではそのことにまったく気づいていなかった。事件の首謀者であるNBA(国家安全保障局)の行政官レイノルズ(J・ボイト)は、NBAの膨大な情報とスタッフ、そして最新鋭のテクノロジーを駆使してディーンを抹殺しようとする。すべてを失い、殺人の汚名まで着せられ、孤立無援となった逃亡者ディーンは、元NBAの情報アナリストであった情報ブローカーのブリル(G・ハックマン)に協力を頼み、理由も解らず姿も見えない敵に反撃を試みる——。
 
[コメント]
 肌身も凍る、とはこういうことを言うのだろうか。いわれのないスキャンダルがある日新聞の第1面を飾る。捏造される疑惑、破壊される社会的信用、妻も子も失い、クレジットカードすら使用できなくなる。これらすべてがコンピューター上の情報操作によって簡単に捏造されてしまうのだ。同じような恐怖を描いた映画にサンドラ・ロック主演の『ザ・インターネット』があったが、ウィル・スミスはさらに、どこに逃げようとも最新鋭の監視・追跡システムによって瞬時に発見されてしまうのだから手も足も出ないではないか。地上80センチをモニタリングする衛星カメラという追っ手をどうかわせるのだろう!?
 映画に登場する監視カメラを始め、3D復元ソフトなどさまざまな技術はすべて本物。日本でも、衛星カメラが捉えた画像はすでに民間で販売されているし、政府機関による盗聴合法化法案も新聞をにぎわせたばかり。嬉々としてコンピューター機器を操作するオタクっぽいスタッフの姿も身近にいそうだ。ちなみに、『カンバセーション……盗聴』(74)でプロの盗聴屋を演じていたG・ハックマンをブリル役にもってくるなど、味な趣向もこらされている。 (輝)

エントラップメント
ENTRAPMENT
1999年/アメリカ/20世紀FOX配給/1時間53分
 
監督=ジョン・アミエル
脚本=ロン・バス、ウィリアム・ブロイルズ
撮影=フィル・メヒュー
音楽=クリストファー・ヤング
美術=ノーマン・ガーウッド
編集=テリー・ローリングス
出演=ショーン・コネリー、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ビング・レイムス
 
[ストーリー]
 ミレニアム=2000年1月1日まであと僅かと迫った深夜のニューヨーク摩天楼で、大胆かつ繊細な手口によるレンブラントの絵画盗難事件が起こる。保険会社の優秀な女性調査員ジンことバージニア(K・ジョーンズ)は、この犯行が世界最高の美術品泥棒マックことロバート・マクドゥーガル(S・コネリー)に因るものとし、二人の追いつ追われつ、互いに罠にはめる(エントラップ)の関係が始まった。高価な壷や中国の黄金マスクを巡って、信頼と疑惑、プロ意識とストイックな恋心が交錯するなか、やがて二人は2000年問題にからんだ80億ドルの銀行預金強奪作戦を計画し、クアラルンプールの超高層ビルに挑むのだが……。
 
[コメント]
 御年69才のショーン・コネリーが『ザ・ロック』に引き続き、プロデューサーとしてもかかわって作り上げたアクション・ミステリー大作。彼は、本作ではさすがに超のつくアクション・シーンは減り、視線や語気に鋭さも消えたが、代わりに今までに無かったマイルドな雰囲気でそれがまたセクシーだ。さすがイギリス紳士!
 舞台も、無機質な美しさに煌めく摩天楼の夜景から始まり、スコットランドの古城、クアラルンプールの下町と巡り、その世界一のツインタワー・ビルでクライマックスを迎え、2000年問題もからむとなれば、新鮮で迫力十分である。そしてそれがこの作品の目玉かと言えば、<否>なのだ。
 キャサリン・ゼタ=ジョーンズ。コネリーの相手役ジンを演じるこの新進女優が、今後を期待させるに充分な収穫だ。ゴージャスな美貌は『マスク・オブ・ゾロ』の時から注目していたが、これ程モダンでシャープな役がこなせるとは思ってもいなかった。しかも、コネリーのむこうを張って余りある鮮烈な強さ、知性、しなやかさの演技である。これだけの存在感の二人がロマンスの香りまで漂わせるのだから、まずは堪能して下さいと言うほかない。(夏)

スネーク・アイズ
SNAKE EYES
1998年/アメリカ/タッチストーン・ピクチャーズ、パラマント・ピクチャーズ製作/ブエナビスタ配給/1時間59分
 
監督=ブライアン・デ・パルマ
脚本=デビッド・コープ
撮影=スティーブン・H・ブルーム
音楽=坂本龍一
美術=アン・プリチャード
編集=ビル・パンコウ
出演=ニコラス・ケイジ、ゲイリー・シニーズ、ジョン・ハード、カーラ・クジーノ
 
[ストーリー]
 国防長官が観戦するなか、アトランティックシティのアリーナでヘビー級チャンピオンのタイトルマッチが行われる。当日の警備に当たったのは、ギャンブル好きの刑事(N・ケイジ)とその親友の海軍中佐(G・シニーズ)。ところが衆人環視のなか、国防長官が暗殺され、現場から謎の女が逃走する。試合に大金を賭けていた刑事はチャンピオンが負けた原因の追求に情熱を傾けるうちに組織的犯罪であることに気付く。
 
[コメント]
 この映画、いたるところでテレビカメラが登場する。冒頭からテレビの中継シーンで始まり、陰謀解明の糸口や謎の女の追跡シーンで登場するモニターテレビなど、ストーリー展開の鍵はテレビカメラが握っていると言っても良いほどだ。でも、テレビ中継を小道具で利用するだけじゃなくて、ちゃんとマスコミへの風刺を盛り込んでいる。テレビ出演で知名度を稼ぎ、いずれは市長になろうと目論んでいる主人公、国防長官暗殺の独占中継でキャリアアップを狙うキャスター、この2人が利用しあう関係など、マスコミと情報提供者との現実の関係を感じさせる設定だ。
 また、主人公と悪役との善悪の違いがはっきりしていないところも、この映画の特徴だろう。なにしろ主人公は汚職警官だし、主人公と対決する組織的陰謀の首謀者にも、ちゃんと言い分がある。結局、この映画で善悪を決めるのは大義名分でなくて、人間的モラルの問題となるのは、事件の善悪が簡単に割り切れない現実を反映しているのだろうか。
 さらに、この映画はカメラワークが面白い。冒頭、10分近い1カットの中で複数のシーンが続くのには驚かされる。その他、ホテルの場面でカメラが壁の上を越えて天井を移動するカットなど、撮影上の工夫をスクリーンから発見することが出来る。 (濱)

アルマゲドン
ARMAGEDDON
1998年/アメリカ/ジェリー・ブラッカイマー・プロ製作/ブエナビスタ配給/2時間30分
 
監督=マイケル・ベイ
脚本=ジョナサン・ヘンスレー、J・J・エイブラムス
撮影=ジョン・シュワルツマン
音楽=トレバー・ラビン
美術=マイケル・ホワイト
編集=マーク・ゴールドブラット、クリス・リベンソン、グレン・スキャントゥルベリー
出演=ブルース・ウィリス、ビリー・ボブ・ソーントン、ベン・アフレック、リブ・タイラー、キース・デイビッド
 
[ストーリー]
 テキサス州と同じ大きさのアステロイド(小惑星)が、時速35,000kmのスピードで地球に接近している。衝突すれば、確実に人類滅亡。衝突を回避する唯一の方法は、小惑星の地中深くで核爆発を起こし、軌道を変えること。
 このミッション遂行に選ばれたのは、石油採掘のプロ、ハリー・スタンパー(B・ウィリス)とその仲間たち。彼らは、6人の宇宙飛行士とともに地球を救うため、愛する者を守るため、宇宙へ飛び立つ。
 
[コメント]
 石油採掘の職業に就いている普通の人々が、「地球を救う」という人生最大級の、これ以上の使命はないという使命を与えられるのですが、アステロイド破壊に至るまでの過程、男たちが勇敢にたくましくヒーローになっていく様子は、男のロマンを感じます。
 「地球を守る」「愛する者を守る」という重みを背負った男たち、それぞれの思いを胸に、迷い戸惑う姿は、なぜだか親近感を覚えます。愛する娘を思う父、父と恋人を同時に失うかもしれない娘、男たちの友情など、切なささえ、込み上げてきます。
 テンポの良いストーリー展開と豪華キャスティングは、まさしくハリウッド映画といえるのではないでしょうか。 (稲)