ファミリー・デー 映画はみんなの友達

11月25日 「ファミリー・デー 映画はみんなの友達」 (パルテノン多摩大ホール)

学校の怪談
1995年/東宝、サンダンス・カンパニー/1時間40分
 
監督=平山秀幸
原作=常光徹、日本民話の会
脚本=奥寺佐渡子
撮影=柴崎幸三
音楽=Fuji-Yama
美術=中澤克巳
編集=川島章正
出演=野村宏伸、杉山亜矢子、佐藤正宏、遠山真澄、岡本綾
 
[ストーリー]
 80年代半ば頃から全国の子供たちの間で噂の広まつた<口裂け女>、<人面犬>、<トイレの花子さん>などの学校の怪談を扱ったベストセラー、常光徹の「学校の怪談」と日本民話の会の「学校の怪談シリーズ」をベースにし、ひと夏の子供たちの成長を描くファンタジー。あしたから夏休みという1学期の終業式の日、もう使われていない小学校の木造旧校舎に引き寄せるように集められ、閉じ込められた子供たち。そこで信じられないような光景に次々と出くわすが、力を合わせて乗り越えていく。
 
[コメント]
 昔から(日本の)ホラーものと言うと“暗い”‘悲しい”‘怖い”の3Kが定番だが、大体はやたら暗くて悲しいだけで怖くないのが普通だった。この「学校の怪談」はそういった和製ホラーの域を飛び越えてスピルパークがアンブリンで製作した「グーニーズ」(もしくは黒沢清監督の「スウイートホーム」)みたいな軽いスリルと「スタンド・パイ・ミー」(もしくは「ラジオ・フライヤー」)の少年少女の泣かせる友情みたいなティストがうまく1つになつていて子供たちはもちろん、子供の心を忘れた大人も大いに楽しめる作品になっている。さらにこの作品の見所として演出と特撮が挙げられる。監督の平山秀幸は92年に「ザ・中学教師」を撮っており、子供たちを等身大で描き出す確かな演出力と抜群の映像感覚がこの作品でも見事に発揮されている。特撮はハリウッドのSFX技術を日本に紹介したことで知られる中子真治をSFXプロデューサーに迎えてCG(コンピューターグラフィックス)を極力抑え、フィルム合成を多用することによって独特のライブ感を溢れる空間(とオパケ)を創りだすのに成功している。 (舟)

耳をすませば
1995年/徳間書店、日本テレビ放送網、博報堂、スタジオジブリ/1時間50分
 
監督=近藤喜文
原作=柊あおい
プロデューサー・脚本・絵コンテ=宮埼駿
作画=高坂希太郎
撮影=奥井敦
音楽=野見祐二
美術=黒田聴、井上直久(「バロンのくれた物語」)
声の出演=本名陽子、高橋一生、立花隆、室井滋、露口茂、小林桂樹
 
[ストーリー]
 向原中学・三年生の雫(本名)は大の読書家で、いつも図書館からたくさん本を借りていた。やがて、雫は自分より先に本を読んでいる聖司(高橋)という男の子がいることに気付く。顔も年齢も雫には想像すら出来なかったが、聖司という名前は雫の心の中で密かに育つていく。そんなある日のこと、雫は父(立花)に昼食を届ける途中の電車内で偶然出会った怪猫(ムーン)に導かれて、聖司の祖父(小林)が営む「アトリエ・地球屋」にたどりつく。そしてあこがれの聖司と念願の対面をはたした雫は、一流のバイオリン職人になるためにイタリアで修行をすることを聖司から聞かされる。雫は自分自身の才能を試すため、その店内にあった猫の置物をモデルにした「パロンのくれた物語」を書こうと決意する。
 
[コメント]
 この作品は昨年劇場公開され、今回同時上映の「平成狸合戦ぽんぽこ」に引き続いてこの多摩市内が物語の舞台のモデルになつている。しかし、「平成狸合戦ぽんぽこ」やこの「耳をすませば」以前のスタジオジブリ作品でもジブリのスタッフが多摩市内をロケハンの場所としてたびたび訪れていたという事実はあまりひろく知られてはいない。「となりのトトロ」を例にとるとサツキとメイの姉妹が都会から引っ越してきた松郷の風景も実は、ここ多摩市内の風景がモデルになっている。サツキの同級生のカンタとやさしいおばあちゃんが住むわらぶきの農家がとても印象深かったが、この家のモデルとなった家も同市内にあり、そこは高畑勲・宮崎駿の両監督が以前に勤めていたアニメーション制作会社の近くに実在している。また、「おもひでぽろぽろ」でも多摩市内と多摩市の周辺で必要なシーンのロケハンをしていたという。これからも多摩市内の風景は、スタジオジブリの作品にたぴたび登場していくことだろう。 (鴨)

平成狸合戦ぽんぽこ
1994年/徳間書店、日本テレビ放送網、博報堂、スタジオジブリ/1時間59分
 
原作・脚本・監督=高畑勲
作画監督=大塚伸治、賀川愛
撮影=奥井敦
音楽=紅龍ほか
美術=男鹿和雄
声の出演=野々村真、石田ゆり子、三木のり平、清川虹子、古今亭志ん朝
 
[ストーリー]
 時は、ぽんぽこ31年。実り多き多摩丘陵で多摩のタヌキたちは、えさ場の取り合いという、些細ないざこざを起こしつつも、相も変らぬ平和な生活を送っていた。しかし、やがてこのえさ場の取り合いの原因が、人間たちによる都市開発によるものだったと知ったタヌキたち(野々村・石田・三木他)は、「人間研究」の作業と平行して鶴亀和尚やおろく婆(清川)からタヌキの十八番である「化け学」を伝授され、多摩丘陵からの人間の追い出しにかかった。そして、時を同じくして全国のタヌキの長老たちにこの危機に対しての支援のための使者が派派遣され、その結果、四国から六代目金長、大三郎禿狸、隠神刑部の三長老が到着する。三長老は多摩のタヌキたちに、人間たちの横暴を懲らしめるため「秘術・妖怪大作戦」を提案する。
 
[コメント]
 この作品を監督した高畑勲監督は、本作の企画書でもあり、アニメーションの飛翔シーンの第一人者でもある宮崎駿監督と「おもひでぽろぽろ」以来4年ぷりに二人三脚で製作に挑んでいる。公開時には高畑勲監督自身初の完全オリジナル作品として話題を集めた。この作品で高畑勲監督は自然と人間の共生を開発者たる我々人間の視点からではなく、あえて開発によって住み慣れた野山や河川などから引き離された動物たちを代表して行動したタヌキたちの視点から描こうと試みている。本来こういう堅いテーマは実写のドキュメンタリーで扱うのが普通で、長編アニメーションには不向きのはずである。しかし、完成したフィルムを観るとそうした危惧は何処かに飛んで行ってしまった。これは映画製作のスタート時、宮崎駿監督が先輩の高畑勲監督に「狸に敬意を込めて描いてほしい。それと、久しく絶えた『哄笑』が欲しい」と注文したためだという。作品自体かなり深刻なのに結果的にそうならなかったのは、もしかしたら我々観客の深層心理を知り尽くした宮崎駿監督の「粋なはからい」だったのかもしれない。 (鴨)