ありがとうやまばとホール

11月30日 「ありがとうやまばとホール」 (やまばとホール)

●Time Table●
11:00−12:54
13:40−14:20

14:35−16:33
16:50−18:46
歩いても 歩いても
トーク 「歩いても 歩いても」をめぐって
 原田芳雄氏(予定)、是枝裕和監督、司会:篠崎誠監督
たみおのしあわせ
オリヲン座からの招待状

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歩いても 歩いても
2007年/「歩いても 歩いても」製作委員会製作/シネカノン配給/1時間54分
 
監督・原作・脚本・編集=是枝裕和
製作=川城和実、重延浩、久松猛朗、李鳳宇
撮影=山崎裕
音楽=ゴンチチ
美術=磯見俊裕、三ツ松けいこ
出演=阿部寛、夏川結衣、YOU、高橋和也、田中祥平、樹木希林、原田芳雄
 
歩いても 歩いても
© 2008「歩いても歩いても」製作委員会
 
[ストーリー]
 ある夏の終わり。横山良多(阿部)は妻・ゆかり(夏川)とその連れ子・あつし(田中)を連れて実家を訪れた。開業医だった父(原田)と昔からそりの合わない良多は現在失業中ということもあり、気の重い帰郷だ。姉・ちなみ(YOU)の一家も来て、楽しく語らいながら、母(樹木)は料理の準備に余念がない。その一方で、相変わらず家長としての威厳にこだわる父。この日は、15年前に不慮の事故で亡くなった長男の命日だった……。
 
[コメント]
 「これは私の家族の物語だ」この映画を見た何人の人がそう思ったことだろう。もちろん、私もそのひとり。個人的な話になるが父が開業医であったため、横山家の風景は幼い頃の記憶と重なる。かつての仕事場だった診察室でひとり佇む原田芳雄の後姿は、仕事一筋だった父の晩年の姿と重なり、切なくなった。
 しかし、そんな共通項が無くともこの映画のなかには多くの人が抱く「実家」のイメージが集約されている。誰もが、この家族のなかの誰かの感情をかつて味わったことがあるはずだ。
 家族であることの煩わしさ、愛おしさ、照れくささ、そんなものがごっちゃになった思いが鏡のように自分の中にも表れ、なんてことない時間が実はかけがえのないものだと気付かされた。
 「人生は、いつもちょっとだけ間に合わない」映画を観終わってその言葉の意味をかみしめた。 (黒)

たみおのしあわせ
2007年/スタイルジャム、メディアファクトリー、ビーワールド製作/スタイルジャム配給/1時間58分
 
監督・脚本=岩松了
撮影=山崎裕
美術=松尾文子
編集=大重裕二
出演=オダギリジョー、原田芳雄、麻生久美子、大竹しのぶ、小林薫、忌野清志郎、石田えり、富士真奈美、三木聡
 
たみおのしあわせ
© 2007『たみおのしあわせ』フィルムパートナーズ
 
[ストーリー]
 神埼民男(オダギリ)は父の伸男(原田)と2人暮らし。民男は恋愛にオクテのだが、伸男の勧めでお見合いした瞳(麻生)とは順調で結婚を目前に控えていた。一方、伸男は民男の目を気にして部下の宮地(大竹)と交際していることを隠している。そんななか、伸男の義兄の透(小林)がニューヨークから帰ってきたことを期に民男の周辺は騒がしくなり、人間関係は意外な方向に。
 
[コメント]
 TV「時効警察」シリーズを筆頭に俳優として活躍することが多かった岩松了氏の14年ぶりの映画最新作。演劇界の大御所ならではセリフや間の取り方からは、ごく普通の人の生活とユーモアがにじみ出ていている。「あるある、そうそう」とニヤけた瞬間、岩松ワールドの住人になっていることでしょう。
 新旧いい男、オダギリジョーと原田芳雄のコンビが最高! 民男の「いかにも真面目でいい人」の典型的なファッションと自信なさげな仕草が笑える。伸男は息子思いの普通の父親そのもの。息子が連れて来るお見合い相手を待つ間に、掃除をして出前を頼んでそわそわと待つ姿が微笑ましい。そんな父と息子の暮らしぶりや、何気ない会話に潜む面白さが見逃せない。また清楚だけど何かがズレてる瞳も魅力的だ。ほぼ全員の登場人物たちにヒトクセあり、彼らが織り成す人間関係がまた絶妙。ゆるゆる感に浸りつつ民男と一緒に「しあわせ」について考えてみよう。 (亜)

オリヲン座からの招待状
2007年/「オリヲン座からの招待状」製作委員会製作/東映配給/1時間56分
 
監督=三枝健起
原作=浅田次郎
脚本=いながききよたか
撮影=柳田裕男
音楽=村松崇継
出演=宮沢りえ、加瀬亮、宇崎竜童、田口トモロヲ、中原ひとみ、樋口可南子、原田芳雄
 
オリヲン座からの招待状
© 2007「オリヲン座からの招待状」製作委員会
 
[ストーリー]
 昭和30年代、オリヲン座の館主を務めてきた豊田松蔵(宇崎)が病に倒れ、その弟子だった留吉(加瀬)が志を引き継ぎ、先代の妻トヨ(宮沢)と映画館を守ることになった。映画産業が斜陽になっても2人は映画を愛し、互いを思いやり続けながら昭和25年の開館以来の、映画館を守り続けたが……。
 
[コメント]
 このところ昭和30年代を舞台にした作品が続けて公開されている。『ALWAYS 続三丁目の夕日』『カーテンコール』『地下鉄(メトロ)に乗って』、『フラガール』などなど。これらは日本映画復活の火付け役となったのかもしれない。
 さて、昭和30年代後半から映画が斜陽産業となりつつあった。テレビの普及に伴い映画館への客足がめっきり減少した上、日本独自の配給システムである「五社協定」で業界自身が自分の足を引っ張るような状況にあった。この作品のなかにも、留吉の最後の挨拶で「ピンク映画も考えましたが子供たちのことを考えるとそれはできなかった」と言わせているが、そのことを物語っている。しかし、そのような状況にも関わらず、シネコンが登場するまでは、この作品のように昔ながらの映画館を守り続けた人たちは日本全国にいた。シネコンの登場とレンタルビデオの普及によって名画座も殆どなくなってしまったが、この作品は古き良き時代の映画館を愛するすべての人に捧げる遺言のようなものかもしれない。また、我が映画祭の18年間のメイン会場であったやまばとホールの閉館に伴う最後として最も相応しい作品であろう。 (和)

●ゲスト紹介
是枝 裕和 監督(Koreeda Hirokazu)

 1962年生まれ、東京都出身。早稲田大学卒業後、テレビマンユニオンに参加、主にドキュメンタリー番組を演出、現在に至る。95年に監督した『幻の光』がヴェネツィア国際映画祭で金のオゼッラ賞などを受賞。99年『ワンダフルライフ』、2001年『ディスタンス』が高い評価を得た後、『誰も知らない』(04年)がカンヌ国際映画祭で本映画祭史上最年少の最優秀男優賞(柳楽優弥)を受賞。国内外で大きな話題を呼んだ。ほか監督作品に『花よりもなほ』(06年)がある。
 
原田 芳雄 氏(Harada Yoshio)(予定)

 1940年生まれ、東京都出身。俳優座養成所を卒業後、68年に『復讐の歌が聞こえる』で映画デビュー。90年に『われに撃つ準備あり』、『浪人街』でブルーリボン賞主演男優賞、97年『鬼火』で毎日映画コンクール主演男優賞、2000年『スリ』などでキネマ旬報主演男優賞、04年『父と暮らせば』などで報知映画賞最優秀助演男優賞など多数受賞。このほか近年の出演作に『亡国のイージス』(05年)、『花よりもなほ』(06年)、『どろろ』(07年)などがある。03年紫綬褒章を受章。

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