第35回映画祭TAMA CINEMA FORUM

第17回TAMA映画賞

明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる<いきのいい>作品・監督・俳優を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰します。

選考対象
2024年10月から2025年9月に一般劇場で公開された作品及び監督・キャスト・スタッフ
選考方法
TAMA映画フォーラム実行委員(市民ボランティア)の合議により選考
過去受賞一覧
TAMA映画賞受賞一覧

最優秀作品賞

本年度最も活力溢れる作品の監督及びスタッフ・キャストに対し表彰

『国宝』
李相日監督、及びスタッフ・キャスト一同

李相日監督ご登壇決定 !

スクリーンに宿る圧倒的な熱量は、監督の揺るぎない眼差しと役に魂を込めた俳優たちの覚悟の賜物。逃れられない血筋と抗えない才能に翻弄される二人の激動の半生を重厚に描き、観客を深い感動と余韻で包み込む稀有な映画体験をもたらした。

『ルノワール』
早川千絵監督、及びスタッフ・キャスト一同

早川千絵監督ご登壇決定 !

11歳の少女が過ごす特別なひと夏を、繊細に研ぎ澄まされた感性で描いた。社会の光と闇、その裏側にある孤独や痛みに触れながら大人になっていく姿を通して、‟生きる”ことをしなやかに肯定した。

特別賞

映画ファンを魅了した事象に対し表彰

平和なようで事件だらけの毎日に体当たりでぶつかる子どもたちの世界を描いた『ふつうの子ども』に対して
呉美保監督及びスタッフ・キャスト一同

呉美保監督ご登壇決定 !

子どもたちの日常や小さな冒険が思いがけない展開へと進み、戸惑いや成長が描かれるなかで、その真っすぐで生き生きとした姿がスクリーンに躍動した。大人たちも自身の記憶と重ねて共感できる心温まる作品となり、観客を魅了した。

人を好きになることの痛みを溢れ出る言葉に込めて、心に深く突き刺した『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』に対して
大九明子監督及びスタッフ・キャスト一同

大九明子監督ご登壇決定 !

繊細で未熟な若者たちの心の叫びを、圧巻の告白シーンの数々によって胸に響かせた。人を好きになることの痛みと、泣きたくなる気持ちに寄り添い、雨上がりの空が青く澄み渡るような再生の瞬間を描き出した。

最優秀男優賞

本年度最も心に残った男優を表彰

長塚京三

『敵』
ご登壇決定 !

老いを静かに受け入れ、威厳と清潔さを保つ気高さを繊細に表現した。やがて現実と幻想の狭間において見せたくない老いの姿をさらけ出し、観客に深い共感と老いに立ち向かう覚悟を与えてくれた。

吉沢亮

『国宝』『ババンババンバンバンパイア』
ご登壇決定 !

『国宝』において、崩れた化粧のまま「悪魔に魂を売ってでも歌舞伎を極めたい」と屋上で舞う喜久雄の姿は、命を削るように役と向き合う吉沢亮本人の覚悟と重なった。もはや演技とは思えない高みへ達しており、そのあまりの美しさに息を呑んだ。

最優秀女優賞

本年度最も心に残った女優を表彰

瀧内公美

『レイブンズ』『敵』『奇麗な、悪』『ゆきてかへらぬ』『国宝』『ふつうの子ども』『宝島』
ビデオメッセージ上映

『レイブンズ』では、熱を帯びた時代を生きた洋子をエネルギッシュかつ繊細に体現し、『敵』では、靖子を美しい幻想にとどめず、欲望をあぶり出す象徴的な存在として創出した。どの作品にもスパイスを効かせ、観客を惹きつける俳優としての確かな表現力と造形力が際立った。

広瀬すず

『遠い山なみの光』『アット・ザ・ベンチ』『ゆきてかへらぬ』『片思い世界』『宝島』
ご登壇(予定)

『遠い山なみの光』において、1950年代戦後復興期の長崎で、変化をいとわず希望をもって生きた主人公・悦子を、時に襲う不安・苦しみを繊細に表現しつつ、その美しい立ち居振る舞いと卓越した心情表現で見事に演じた。

最優秀新進監督賞

本年度最も飛躍した監督、もしくは顕著な活躍をした新人監督を表彰

平一紘

『木の上の軍隊』『STEP OUT にーにーのニライカナイ』
ご登壇決定 !

『木の上の軍隊』において、正面から沖縄戦と向き合い、悲惨さだけでなくユーモアも交え幅広い世代の心に届く作品に仕上げた。さまざまな困難と葛藤を乗り越える二人の兵士を丁寧に描き、沖縄に伝わる「命どぅ宝(命こそ宝)」の意味を教えてくれた。

山元環

『この夏の星を見る』

コロナ禍で葛藤する中高生の感情を、マスク越しの会話劇と印象的なカメラワークで描き出した。リアルと幻想が重なる夜空から星を捉えるアクションは、閉塞感のなかで希望を求めていた頃の私たちをも照らし出した。

最優秀新進男優賞

本年度最も飛躍した男優、もしくは顕著な活躍をした新人男優を表彰

萩原利久

『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』『世界征服やめた』
ビデオメッセージ上映

『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』において、鋭い感受性を持ち偶然の恋に一喜一憂する主人公を、光と影を巧みに織り交ぜた演技で表現した。率直に無様に感情をぶつけ合い、受け止めきれない悲しみに泣き崩れる懸命な姿に、心を動かされた。

黒川想矢

『国宝』『この夏の星を見る』
ご登壇決定 !

『国宝』では、喜久雄の少年期を抑えた表情のなかに複雑な感情をにじませて演じ、『この夏の星を見る』では、純粋さと心の葛藤を併せ持つ思春期の姿を自然体で演じた。リアリティ溢れる演技と画面に惹きつける吸引力で観客を魅了した。

最優秀新進女優賞

本年度最も飛躍した女優、もしくは顕著な活躍をした新人女優を表彰

桜田ひより

『この夏の星を見る』『大きな玉ねぎの下で』
ご登壇(予定)

 『この夏の星を見る』において、いつもの日常が失われた世界で、それぞれの場所で宙(そら)を見上げる人々をつなぐ道標となる役を、強い眼差しと心を掴む行動力で演じきった。その真っすぐな瞳と誠実な演技は、今後さまざまな作品を光り照らすことを期待させる。

中野有紗

『この夏の星を見る』
ご登壇決定 !

登場人物の胸の内の思いをしっかりと受け止める豊かな感受性と、その溢れんばかりの思いを表情のみならず体のすみずみまで使って表現する高い感性は、これから演じるであろう幅広い役柄のなかでどう発揮されるか今から楽しみでならない。

※ご登壇情報のない受賞者は調整中です。