【B-5】最新台湾映画傑作選

11月23日(祝・月)
パルテノン多摩 小ホール
協力:大阪アジアン映画祭

チケット料金

一般
前売:1,200円 / 当日:1,400円
子ども(4歳~小学生)
前売:800円 / 当日:900円

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『藍色夏恋』のイー・ツーイェン監督最新作『コードネームは孫中山』、『悲情城市』のホウ・シャオシェン監督最新作『黒衣の刺客』の2 本立て。『コードネームは孫中山』は大阪アジアン映画祭においてグランプリ(最優秀作品賞)に輝きました

黒衣の刺客

  • 2015年/台湾、中国、香港、フランス/松竹配給/1時間48分
  • 監督=ホウ・シャオシェン
  • 原作=ハイ・ケイ
  • 脚本=チョン・アーチョン、チュー・ティエンウェン、シェ・ハイモン
  • 撮影=リー・ピンビン
  • 音楽=リン・チャン
  • 編集=リャオ・チンソン、ホワン・チイジャー
  • 出演=スー・チー、チャン・チェン、シュー・ファンイー、妻夫木聡、忽那汐里、ニー・ダーホン、チョウ・ユン、ヨン・メイ、レイ・チェンユイ

ストーリー

13年の時を経て隱娘(スー・チー)が両親の元に戻ってきた。凄腕の刺客として成長した彼女の標的は、かつて彼女の許嫁だった田季安(チャン・チェン)。しかし季安や隱娘自身の一族の争いに翻弄されるなか、遣唐使として日本から渡来してきた青年(妻夫木)との出会いが彼女の人生を変えていく……。

コメント

命令でかつて許嫁だった男を殺せと言われたら、あなたならどうしますか。本作では孤独な女刺客が直面した残酷な運命をいかに受け入れるのかを見事に描いている。

本作の魅力は、最小限に抑えられた台詞と、登場人物の視線や動きのみで語られる物語である。そのため、事前情報なしで鑑賞すると話を理解しづらい部分があるかもしれないが、ぜひ注目してもらいたいシーンが2か所ある。1つ目は、元許嫁に殺されかけた男が女刺客について語る場面である。通常、そのような状況では憎いとか恐怖を感じるのが普通ではないかと思うが、彼の言葉と表情には愛おしさしか見えない。2つ目は、剣と剣のぶつかり合う音が林の中に静かに響き渡り、女刺客同士の華やかな服の裾がひらひらとひるがえるシーンである。ここまで美しいアクションは観たことがない。ぜひ大きなスクリーンで静と動が織りなす世界観を味わってもらいたい。(赤)

『藍色夏恋』イー・ツーイェン監督最新作・東京初上映

コードネームは孫中山

  • 2014年/台湾/大阪アジアン映画祭上映協力/1時間34分
  • 監督・脚本=イー・ツーイェン
  • 撮影=チェン・ダープー
  • 音楽=クリス・ホウ
  • 出演=ジャン・ファイユン、ウェイ・ハンディン

ストーリー

学費が払えない貧乏学生のアツォ(ジャン・ファイユン)は、一案を講じて友達を巻き込み、学校の倉庫に放置された孫中山(孫文)の銅像を盗み、それを売り払って学費を捻出する計画をたてる。しかし、ひょんなことから、同じ学校の学生のシャオティエン(ウェイ・ハンディン)も同じような計画を練っていることを知る。2組の学生グループの銅像争奪戦のゆくえは……。

コメント

イー・ツーイェン監督の『コードネームは孫中山』は、前作の『藍色夏恋』から12年振りの長編作品です。昔から台湾映画を観続けてきましたが『藍色夏恋』は、特に愛着のある作品でした。映画のなかのような体験をしている訳ではありませんが、あの頃に感じていた未来への漠然とした不安と期待が鏡を合わせたように、スクリーンに投影されていました。

そして、今回12年振りの新作が『コードネームは孫中山』です。前作とは異なり、もう少し軽いコメディ仕立ての作品です。といってもコメディ要素だけではなく貧困、育児放棄などの現在の台湾の抱える問題も出て来ます。これは、自ら脚本を書くイー・ツーイェン監督の優れた特色だと思います。

『コードネームは孫中山』は、前作に迫る素晴らしい作品です。一言で言えば『藍色夏恋』は、青空の下の友情を描き、『コードネームは孫中山』は夜の街で結ばれる友情を描いた映画と言えます。(彰)

監督紹介

ホウ・シャオシェン

1947年中国生まれ。72年国立芸術学院映画・演劇科卒業。80年『ステキな彼女』でデビュー。『風櫃の少年』(83年)『冬冬の夏休み』(84年)がナント三大陸映画祭でグランプリ受賞。その後も『童年往時/時の流れ』(85年)『恋恋風塵』(87年)で国際的な評価を高め、『悲情城市』(89年)でヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞。その後も『戯夢人生』(93年)『好男好女』(95年)『憂鬱な楽園』(96年)『フラワーズ・オブ・シャンハイ』(98年)『ミレニアム・マンボ』(2001年)『百年恋歌』(05年)を発表。04年には小津安二郎生誕100年記念作品として『珈琲時光』を監督するなど話題になる。『黒衣の刺客』(15年)でカンヌ国際映画祭最優秀監督賞を受賞した。

イー・ツーイェン

1959年台湾生まれ。アメリカ・UCLA映画学科卒業。95年『寂寞芳心倶楽部』でデビュー。『藍色夏恋』(2002年)で一躍脚光を浴びる。その後オムニバス作品『about love アバウト・ラブ/関於愛 台北篇』(04年)監督後、テレビ制作に移り「危険心霊」を制作。12年振りの長編作品『コードネームは孫中山』(14年)で大阪アジアン映画祭グランプリ、観客賞をW受賞。