●9/3(土)『無常素描』上映と大宮浩一監督トーク・Q&Aレポート

昨日9月3日(土)は、台風が本州・四国に接近・上陸する情勢のなか、『無常素描』(大宮浩一監督)上映会にご来場ありがとうございました。東日本大震災の被災地の様子、そこで生きる人びとの姿をとらえた映画として最も速く製作・公開された本作を多くの方と共有できたことをうれしく思います。大宮浩一監督トーク・Q&Aにより、さらに深く理解することができ、貴重な時間を過ごすことができました。

▲被災地に立った感覚を伝えようと、思ったまま感じたままを率直に語る大宮浩一監督
大宮浩一監督は、「非日常の空間で、出口がないという感じだった」、「『こんなはずはない、こんははずではない』と思いながら、カメラというフィルターを通してしか見られないような風景が広がっていました」、「市町村の境界線など意識させなくしてしまうような、大規模な津波の被害を目の当たりにしました。一方で、津波が到達した場所とそうでない場所で、街並みがまるで違うんです」など、被災地をまわっての印象を語りました。

▲ホール内の雰囲気は大宮浩一監督の語りにひきつけられて引き締まっていました
また、『無常素描』の製作のいきさつについてや東日本大震災で象徴的に表れた日本社会の制度の疲弊や課題についても語られました。なかでも『無常素描』ではナレーションもテロップも使用していないことについて、「私にとっては、それがどこで、誰が話していてという情報を伝えるということよりも、映し出される人の表情や、そこに現われる風景から何を観るか、観る人に考えてほしいと思っています」と語りました。「被災地に立ったとき、人の話す声や生活音はほとんど聞こえませんでした。風や波の音が聞こえてきて、重機の音もそれほど大きく聞こえませんでした」、「私はある答えが見えていて、そのために映画をつくるということができないタイプです。メッセージ性の強いドキュメンタリーが世の中にたくさんあります。それもドキュメンタリー映画として大切だと思いますが、私は観る方に判断していただけるきっかけになる作品をつくっていきます」と話されました。

▲Q&Aも活発に
質疑応答では、昨年8月28日(土)に開催した『ただいま それぞれの居場所』上映会に参加されたという方から発言があり、大宮浩一監督も「3年連続をめざして、新作を製作しています」とにこやかに応じる場面もありました。

▲パンフレット「無常素描 帳」を販売し、大宮浩一監督にはサインをしていただきました
東日本大震災の発生から半年となるいま、あらためて多くのみなさんと『無常素描』を共有し、大宮浩一監督からもさまざまな気づきを得られるお話を伺うことができました。この出来事を風化させず、これからどこをめざしていくのか、地域のなかでも話し合われアクションが広がっていくことに期待したいと思います。
大宮浩一監督をはじめ、『無常素描』上映会に参加いただいたみなさん、チケット販売・宣伝・準備などにご協力いただいたみなさんなど、関わりのあるすべてのみなさん、ありがとうございました。(山口渉/TAMA映画フォーラム実行委員)

(C)大宮映像製作所
TAMA映画フォーラム実行委員会/特別上映
『無常素描』(大宮浩一監督)
■開催日・会場
2011年9月3日(土)
会場:ベルブホール(多摩市立永山公民館/ベルブ永山5F)
京王・小田急線永山駅下車徒歩2分
■上映スケジュール
10:30―11:45 第1回上映
13:00―14:15 第2回上映
14:15―15:00 大宮浩一監督トーク・Q&A
15:30―16:45 第3回上映
18:30―19:45 第4回上映
■作品情報
◎『無常素描』予告編
東日本大震災発生から一か月あまり、被災地にカメラは入った。津波によって何もかもなぎ倒され、瓦礫が山となり、表面が露わになって荒れた土地の、土の色。そこを吹く風や海の音、潮の匂い……。それらを次々に収めていく。
失ったのは、大きくかけがえのないもの。カメラの前で話す人びとが発することばをひとつひとつ受け止めながら、この震災が私たちの社会にもたらすべきものについて、考えずにはいられない。
私たちの生をどう考えるのか? すべてが移ろう時間の経過のなかで、何を大切にして生きていくのか? 私たちは何処へゆくのか?
福島県三春町・福聚寺の住職で小説家の玄侑宗久の語りとともに向き合っていく……。
■ゲスト情報
大宮浩一監督
1958年生まれ。映画監督、企画、プロデューサー。
日本大学芸術学部映画学科在学中より、映像制作に参加。『ゆきゆきて、神軍』(87/原一男監督)などで助監督を務める。その後、フリーの演出家として民族博物館等の展示映像をはじめ、CM、VP、教育映画などを制作。93年、有限会社 大宮映像製作所を設立。主な企画・プロデュース作品に、『よいお年を』(96/宮崎政記監督)、『JUNK FOOD』(98/山本政志監督)、『DOGS』(99/長崎俊一監督)、『青葉のころ よいお年を2』(99/宮崎政記監督)『踊る男 大蔵村』(99/鈴木敏明監督)など。
2010年、ドキュメンタリー映画『ただいま それぞれの居場所』を企画・製作・監督。同作は、介護保険制度導入から10年を経た介護福祉の実状と、自らの理想とする介護を実現するため施設・事業所を立ち上げた若い介護スタッフたちの取り組みを描き、平成22年度文化庁映画賞文化記録映画大賞を受賞。同年、若い介護スタッフたちが主催したトークライブと彼らの日常を記録した『9月11日』を企画・製作・監督。『ただいま〜』の続編が完成間近。

(C)大宮映像製作所
■主催
TAMA映画フォーラム実行委員会
http://www.tamaeiga.org/