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2009年04月18日

●「大丈夫であるように―Cocco 終らない旅―」上映会に寄せて

―「想い事」書くことから始めてみませんか。

 TAMA映画フォーラムは「映画をきっかけとした市民の広場づくり」をコンセプトとして掲げています。映画「大丈夫であるように」のなかでCoccoが全国で集めた短冊を辺野古の浜に届けるシーンがでてきますが、これをヒントに感想やコメント、メッセージなどを自由に書いてもらい、つなげることはできないかと考えたのが今回の「想い事」企画です。集まったことばは実際に沖縄・辺野古まで届けます。この映画をきっかけにひととひとのつながりが生まれることを期待しています。

 この映画を観てくださった方は、普段の生活では目を向けることが少ない沖縄や青森・六ヶ所村などに関心をもち、あるいは問題意識と出会うかも知れない。視野を拡げ、私たちの「普段のくらし」が世界中のどこかの誰かに強いている「状況」があるということに想像力を働かせるかもしれない。それぞれがそういった感覚を静かに持ち帰るのではなく、自分のことばとして自らの手で短冊に表し、自分自身にしっかり刻みつけて帰っていただくようにしたい…。その機会を提供するなら具体的にメッセージを届けてくる相手が提示されている方がいいのではないか、というのが企画者の考えたことです。

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(c)2008「大丈夫であるように」製作委員会

 会場での呼びかけ文にも書きましたが、今回集める「想い事」の内容は問いません。映画を観て浮かんだ「想い事」であることだけが条件です。辺野古は米軍ヘリポート移設をめぐって今も反対の座り込みが続いている場所ですが、この企画を実現するTAMA映画フォーラムは「賛成」や「反対」を表明し、実際に運動するというような性格の団体ではありません。映画・映像表現を通じてさまざまな考え方やものの見方を多くの方々に提示するところまでを、しっかりと多摩という地域に立脚して担うというのが、TAMA映画フォーラムの役割です。その姿勢にこだわって、真面目に取り組むべきだと僕は考えました。

 会場で集めた「想い事」の取扱いについて、当初は沖縄在住のどなたかにお願いして東京・多摩から沖縄・辺野古にメッセージをリレーしようと考えていました。あるいは、会場で感想を連ねてみる、それだけでも大きな意義があります。しかし今回はTAMA映画フォーラムとして責任をもって沖縄・辺野古に届けるのがベストだろうという結論に至りました。そして、僕自身が来場者のみなさんの「想い事」を沖縄まで届けに行くことにしました。そういう意志が上映会の準備を進めるなかでどんどん大きくなっていったから。とても不思議ですが、「大丈夫であるように」との出会いが僕に多くのことを気づかせ、実際に行動するようにと背中を押してくれたのだと思っています。

 Coccoは「知らないことは罪だ」といいます。彼女は実際に行動を起こせない現実を知っているからこそ、知らずに何かに加担してしまうことへの警戒心がとても強い。僕は「大丈夫であるように」で、Coccoが語る姿を初めて観ましたが、最初は自分の胸が締め付けられるようで痛々しく、ちゃんと観られるか本気で心配になりました。「自分はこれまでの人生でどこまで“生きている責任”を意識しただろうか」と。でも一方で彼女の姿から「僕たちは泣き叫んでもいいんだ」とも感じていて、観終わったときには不思議と「自分も何かしたい」という気持ちが芽生えていました。「Coccoが歌で何かをしようとするなら、自分は何ができるかな」ということで。Coccoは進みゆく破壊や失われつつあるものに素直にこころを寄せる感性を持っていて、すべてを自分のこととして抱えようとします。その姿勢はひとを惹きつける要素であることは間違いないですが、自分を苦しめることだって多いはずです。彼女だって、ひとは完全でないと知っているし考えるけれども、それは何かをしない理由ではなくて、何かしたくてもできないときにぶち当たる壁なんだから。歌に自信がなくなるときだってあるのです。それでも諦めないまっすぐさが、ひとの強さ・弱さを意識させて、観る者のこころを打つのではないでしょうか。

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(c)2008「大丈夫であるように」製作委員会

 「大丈夫であるように」はたくさんのメッセージで溢れています。例えば「生きろ」という叫び。これがどういう意味を持つのかということに、僕たちはたくさんの想像をめぐらすことができます。きっと観る者それぞれで受けるイメージ・解釈はさまざまになるでしょう。だからこそ、みなさんのこの映画を観ての「想い事」がどういうふうにつながっていくのかが楽しみです。僕はその過程と真剣に向き合いながら、沖縄に行ってできることについて、また少し考えてみたいと思っています。

(文/山口渉)
TAMA CINEMA FORUM会報「TxCxFxxk(2009.APR)」掲載


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「大丈夫であるように―Cocco 終らない旅―」(監督:是枝裕和/107分)上映会
2009年4月18(土) 会場:ベルブホール(多摩市立永山公民館・ベルブ永山5F)

◎スケジュール
 11:00-12:47  第1回上映
 14:00-15:47  第2回上映
 15:55-16:30  是枝裕和監督ティーチ・イン
 17:00-18:47  第3回上映
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