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2006年09月24日

●「夜のピクニック」試写会感想

第2回本屋大賞に輝くベストセラー、恩田陸原作の「夜のピクニック」を見てきた。

24時間かけて80キロを1000人一緒に歩く学校行事「歩行祭」を舞台に、様々な人間模様が交錯する青春のひとコマを切り取った映画。
「ただ歩くだけなのに、なんでこんなに特別なんだろう」
高校3年生なのでこれが終わったら受験一色となる。
そんな高校最後の行事に寄せる複雑な思いは参加者それぞれの心の中にある。

甲田貴子(多部未華子)は今まで同じクラスメートだが話しかけることができなかった男子に話しかける、という賭けを自分の中でしていた。
その男子は西脇透(石田卓也)。
彼は貴子と異母兄妹だった。
貴子の母が西脇の父親の愛人だったのだ。
そんなこともあり貴子は西脇に遠慮をして学校生活を送り、西脇とはひとことも言葉を交わしたことがなかった。
西脇も貴子を避けるようにしていた。
しかし、そんな事情はクラスメートの誰も知らない。
西脇を意識する貴子のことを、周囲は「貴子が西脇を好きなのだ」と勘違いするからまたややこしくなる。

言いたかったけどなかなか言葉にできない。
そんな思いを胸に貴子は歩行祭のスタートを切った・・・。

多彩なキャラクターの登場人物たち。
だが、彼らが決して現実の枠から飛び出ていない。
リアルで等身大な彼らの青春を見ていると、それが他人事とは思えず昔の自分の姿と重ねてしまう。
そんな登場人物がひとりはこの中にいる。

他愛も無い話が続くが、そこはかとない笑いと爽やかで決して重苦しくない等身大の青春が描かれており好感が持てる。
「ただ歩くだけ」
意味のないことかもしれないが、それが青春時代は特別な意味をもっている。
そこに意味を見出すのは、青春時代を送っている本人だ。


今青春真っ只中のひとはこの中に現在の自分の姿を重ね、既に青春を過ぎてしまったひとは過去の自分に重ね合わせる。
映画を見終わった後、一緒に見た友人らと自分の青春時代について語り合いたくなってしまう。
そんな映画だ。
とても素朴で自然なつくりの映画だが、見た人の心を動かし更に広がりをもたらすという意味で、実は良くできている良質の青春映画。
この映画を完結させるのは、映画を鑑賞した自分自身なのかもしれない。


多彩な登場人物が出てくるが、そんな中で特に光っていたのが実は嶋田久作だったりする。
教師役として、ちょっとユーモラスな味のある演技で会場の笑いを誘っていた。
DVDで既に発売されているこの映画の前日談「ピクニックの準備」でも嶋田久作はギラリと輝くすごい姿を見せているのでぜひ注目していただきたい。

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