INDIES in TAMA Vol.15 レポート

INDIES in TAMA vol.15 ドキュメンタリストDNA

~原一男と20代監督がファインダーの中に見た家族~


「微妙なバランス」

上映後のトークで自分の家族について質問された小林・大野両監督は、そろってこの表現を使った。
小林「バラバラだけど微妙なバランスがある。バラバラであることで家族として成り立っている部分もある。」
大野「家族は実はバラバラではなく、微妙なバランスを保っている。家族はいろいろな感情の中で成り立っている。」

家族を撮る。外から見れば今にも崩壊しそうな自分家族を、自らファインダー越しに見つめなおす。
小林監督の「home」では、監督と潔癖症のお兄さんが何度もぶつかりあい、そして信頼を築いていく様子がリアルに表現されている。映画を見た方からの質問で最も多いのは、「あれからご家族はお元気ですか?」というもの。映画を見た人はどうにも気になるところ。
しかし、上映会当日にはなんとそのお兄さんがご来場されました。現在はアルバイトをしながら生活しているそうで、スクリーンに映る自分の姿を冷静に受けとめていらっしゃいました。
大野監督の「団地酒」。静かに酒を造り、絵を描き続ける父と、その父との馴れ初めを語る母。
映画では父親との対話はほとんどない。実際には、撮影中は父親との対話は多かったそうで、
編集の際に全てカット。「酒を造る父親の表情や手の動きに内面が表れていると思った。」

トークは家族についてだけではなく、制作に関することにも及んだ。原監督は二人の監督のカメラワークの違いに触れた。大野監督の作品は、ショットとショットのつなぎが巧みで、途中に度々入る、米が浮いたり沈んだりするどぶろくのカットが映像的だ。それに対して、小林監督の映像はブレる。小型カメラを使用している。兄との距離を考えてのことだったと言うが、兄の部屋の扉を開く瞬間は、見ている者の心も緊張させる。

来場者の方からこんな質問が出た。
「どうしてカメラだったんですか?お二人にとってカメラとは何ですか?」
小林「(カメラは)武器。ファインダーを覗くことによって別人格になれる。
兄に向かって本音でぶつかり合えた。」
大野「(カメラは)コミュニケーションの道具。カメラがあったから本音で聞けた。」
ファインダー越しに自分の家族を見つめなおした監督たち。
家族のあり方は家族の数だけ存在する。この日の作品を観て、私の家族にも、他の誰かではきっとわからない「微妙なバランス」があるのだろうと思った。

レポート:深川彩香