GO! GO! ROCK MOVIES

11月28日 「GO! GO! ROCK MOVIES」 (やまばとホール)

●Time Table●
11:00−11:10
11:10−12:59
13:30−15:18
15:40−17:44
オープニング
バンディッツ
ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ
ベルベット・ゴールドマイン

バンディッツ
BANDITS
1998年/ドイツ/オルガ・フィルム製作/シティ出版配給/1時間49分
 
監督・脚本=カーチャ・フォン・ガルニエ
脚本=ウヴェ・ウィルヘルム
撮影=トルスタン・ブロイアー
音楽=ペ−ター・ワイヘ、ウド・アーント、フォルヤー・グリペンストロー
出演=カーチャ・リーマン、ヤスミン・タバタバイ、ニコレッテ・クレビッツ、ユッタ・ホフマン
 
[ストーリー]
 囚人の社会復帰の一貫として、刑務所内でロックバンドが結成される。エマ(リーマン)、ルナ(タバタバイ)、マリー(ホフマン)、エンジェル(クレビッツ)の4人で、それぞれ個性豊かで求めるものも皆違う。ある日、警察のパーティで演奏することになるが、その会場への護送中に脱獄する。4人そろっての逃亡劇が始まる。それがバンドの宣伝にもなり、彼女たちのCDは売れ出す。神出鬼没のライブを行ったりして、彼女たちは一躍スターとなる。有名人になった彼女たちを警察は必死に追い詰めていく。次第に4人は深い絆で結ばれていくのだが……。
 
[コメント]
 すごい。ワンカットごとに、そのままいつまでも見つめていたくなるような、大切に取っておきたくなるような、すばらしい映像の連続である。私は、この映画のすごさの最初に、統一された色彩感覚ときっちり決まったカメラワークによる映像のすばらしさを取り上げたい。そして、次には、それが見事に音楽と融合していること。
 冒頭、エマが初めて刑務所に入ってくるシーンで、静寂を思わせるなか、鍵の音や鉄格子の扉を開ける音が響き渡る。それが、ルナたちがドラマーを次々テストしている音楽シーンと見事に重なってくるのだ。このオープニングで観る者すべての心をたちまち掌握してしまう。このシーンだけで彼女たちの運命的なストーリーを予感させ、4人の性格や癖まで見せてしまう、心にくい演出である。  ストーリーはシンプルに展開していくのに、4人の女優の持ち味が良く生かされ、それぞれの個性の違いが見事に描き出されている。
 追い詰められた橋の上の車の中でマリーは死んでしまうのだが、残された3人が最後にやりたかったことは、やっぱり、LIVE。港にあるビルの屋根の上で演奏が始まるラストシーンは思わず身を正してしまうほど美しい。
 そして、シンプルであったはずのストーリーは最後になって、観ている者に無限の可能性を感じさせてくれるのである。 (Kazu)

ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ
LOCK, STOCK AND TWO SMOKING BARRELES
1998年/イギリス/マシュー・ボーンプロダクション製作/ソニー・ピクチャーズ配給/1時間48分
 
監督・脚本=ガイ・リッチー
撮影=ティム・モーリス・ジョーンズ
音楽=デビッド・A・ヒューズ
美術=イアン・アンドリュー、イブ・マブラキス
編集=ニーブン・ハウイ
出演=ジェイソン・フレミング、デクスター・フレッチャー、ニック・モーラン、スティング
 
[ストーリー]
 ロンドン下町で生きるエディ(N・モーラン)はカードに自信のあるハスラー。彼と若い3人の仲間は、ギャングの八百長カード賭博にだまされ、50万ポンドの巨額の借金を抱え込んでしまう。頭を痛めた末に、彼らはマリファナ工場の襲撃を思いつく。何とか大金を得るが、逆に麻薬王や売人、借金取りに追われることになり……。
 
[コメント]
 『ロック、ストック&トゥー・スモーキング……』 えぇー長いっ!(笑)。という訳で多分、最近でタイトルが一番長いこの映画(他に『私が死んだら私の事なんて誰も思い出さないだろう』なんてスペイン映画があったっけ。)タイトルはともかく、内容は最高です。一言で言えば“スタイリッシュな娯楽映画”。かの『パルフ・フィクション』に『バウンド』の気分を足したような作品になっていて、まぁ小じゃれていますが、ノリとハラハラドキドキで一気に楽しめて、夏の夜にビールでも飲みながらガンガン楽しむには打ってつけの映画と言えるでしょう。まぁ、色々な雑誌で“スタイリッシュな傑作”とか書かれてますけど、個人的には単純でテンポの良い(センスも良い)快作だと思います。
 あと、サントラも抜群に良いのでUKロック好きは「マスト!」でしょう。(今年のベストサントラは、これと『リトル・ヴォイス』に決まり!!) (舟)

ベルベット・ゴールドマイン
VELVET GOLDMINE
1998年/イギリス/ゼニス・プロ、キラー・フィルムズ−シングル・セル・ピクチャーズ製作/日本ヘラルド配給/2時間4分
 
監督・脚本・原案=トッド・ヘインズ
原案=ジェームズ・ライオンズ
撮影=マリーヌ・アルベルティ
音楽=カーター・パーウェル
美術=クリストファー・ホッブス
編集=ジェイムズ・ライオンズ
出演=ジョナサン・リース・マイヤーズ、ユアン・マクレガー、クリスチャン・ベール、トニー・コレット
 
[ストーリー]
 1984年、ニューヨーク。新聞記者のアーサー(C・ベール)は、ある事件の調査を依頼される。その事件とは、1973年ロンドンで起きたロック界のカリスマ、ブライアン・スレイド(J・R・マイヤーズ)のライブ中における偽装殺人とその後の失踪についてだった。自らブライアン・スレイドの熱狂的ファンだったアーサーは、調べていくうちに「その時代」に入り込んでいくのだが……。
 
[コメント]
 98年は“ファッション映画”の当たり年だった。60'Sや70'Sのファッションや音楽をネタに、それもオールドファッション的ではなく90年代のフィルターを通した新しい視点(タランティーノ以降、音楽の使い方なら『トレ・スポ』前後といったところか)の映画が多かったと思う。
 例えば『シューティング・フィッシュ』(60'Sのコメディと90'Sカルチャーの合体)『ブギー・ナイツ』(裏『サタデーナイト・フィーバー』)『ジャッキー・ブラウン』(70'Sブラックシネマの王道)、作品名だけ挙げるなら『ラブ・ジョーンズ』、『オースティン・パワーズ』等々。そしてなかでも極め付きなのがこの『ベルベット・ゴールドマイン』である。70'Sの雑誌からサンプリングしたようなタイトルバック、あまりにも完璧なファッション、そしてグラム・ロック。勿論ジョナサン・リース・マイヤーとユアン・マクレガーも良い。今まで挙げたこのような映画は“真の映画好き”というよりは、昔のファッションやロックやソウルやポップスが好きな人にこそ観て欲しいと思う。 (舟)