ファミリー・デー

11月29日 「ファミリー・デー」 (パルテノン多摩大ホール)

●Time Table●
10:00−12:13
12:45−14:25
14:45−16:35
17:00−19:13
もののけ姫
劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲
アンドロメディア
もののけ姫

もののけ姫
1997年/東宝/2時間13分
 
監督・原作・脚色=宮崎駿
作画=安藤雅司、高坂希太郎、近藤喜文
色彩=保田道世
撮影=奥井敦
音楽=久石譲
主題歌=米良美一(「もののけ姫」詞:宮崎駿)
美術=山本二三、田中直哉、武重洋二、黒田聡、黒鹿和雄
編集=瀬山武司
声の出演=松田洋治、石田ゆり子、田中裕子、美輪明宏、森繁久彌
 
もののけ姫
 
[ストーリー]
 北の山奥深く平和なエミシ一族の隠れ里に、ある日突然西国からタタリ神が現れた!
 数少ない王家の末裔で里の長老たちから将来を期待されていた青年・アシタカ(松田)は、里の安全のためやむなくこのタタリ神に弓を引くことで、タタリ神の怒りにふれ、死の天罰を受ける。アシタカは掟に従い里を離れ、相棒の大カモシカのヤックルと旅に出る。旅の途中でジゴ坊と名乗るなぞの坊主から西の果てにすべての生物の命を司るシシ神という神がすむ森の存在を教えられ、早速その森にむかう。そして、たどり着いたそのシシ神の森のなかでアシタカはタタラ場の住人を助け、メス犬神モロの君(美輪)と<もののけ姫>と呼ばれ、おそれられている少女・サン(石田)という奇妙な親子づれと出会うことになるが……。
 
[コメント]
 この作品が公開されてまず驚いたのは、作品としての評価が賛否両論真っ二つに分かれたことだ。無論、過去にも映画の作品内容で論議が巻き起こった映画作品は数多くあったが、その多くが狭い視野での議論に終始していた。しかし、『もののけ姫』は、さまざまな視点からの幅広い作品論を巻き起こしたおそらく最初の作品ではないだろうか。私自身は、今回宮崎駿監督が過去の一連の作品(『風の谷のナウシカ』など)の呪縛に捕らわれずに自分の思いの丈をそのままに映像化したこと(例:アシタカの放った矢で武士の首がとぶシーンなど)が、大いに評価できると思う。
 そして来年には、いよいよディズニー配給による日本アニメ史上初の全世界公開が(英語版ではあるが)実現する。全世界の人々がこの作品を観てどう受け止めるか今から楽しみである。 (鴨)

劇場版・ポケットモンスター ミューツーの逆襲
ピカチュウのなつやすみ
1998年/東宝/1時間40分
 
原案=田尻智
監督=湯山邦彦
脚本=首藤剛志(ミューツーの逆襲)、園田英機(ピカチュウのなつやすみ)
撮影=白井久男
美術=金森勝義
編集=辺見俊夫
音楽=宮崎慎二(ミューツーの逆襲)、たなかひろかず(ミューツーの逆襲・ピカチュウのなつやすみ)
声の出演=松本利香、大谷育江、市村正親、佐藤藍子
 
ミューツーの逆襲
 
[ストーリー]
 『ピカチュウのなつやすみ』
 サトシ(松本)たちと離れ、ピカチュウ(大谷)は他のポケモンたちと久しぶりの夏休みをポケモン広場ですごそうとしたが……。普段のテレビシリーズでは、決してみせないポケモンたちの素顔が覗けるミュージックファンタジー。
 『ミューツーの逆襲』
 最強のポケモンマスターを目指し修行の旅を続けるサトシたちの所に、我こそが最強のポケモンマスターだと名乗る謎の人物からの招待状が届く。早速町に出るサトシたち。そこでポケモンたちの主治医ジョーイが行方不明であることを知る。そしてサトシたちは指定されたある島へと向かうが、彼らを出迎えたのは、謎のポケモン・ミューツー(市村)に操られたジョーイだった。サトシたちはピカチュウたちと共にミューツーに立ち向かう。
 
[コメント]
 去年の暮れから今年の初めにかけ、「ポケモン騒動」でピカチュウたちにとっては受難の日々だった。普通だったら事件発生と同時に親たちの反発を買い、即刻放映打ち切りになっていたはず。だが、今回のケースはちょっと違っていた。そう、あんなに人的被害があったにもかかわらず、「ピカチュウは悪くないのに……」と、放送したテレビ東京には全国の多くの親子から「カムバック、ポケモン!!」の声が殺到して、さまざまな経緯を経て現在も放送は続いている。というのだから時代は変わったなーとしみじみ思う。
 当然「もう子供にアニメは二度と見せません」という古典的な態度をとる親もなかにはいたのだろうが、そうした過剰反応もいかがなものかとも思ってしまう。事件のことについて、これ以上あれこれ詮索したり議論するつもりはまったく無いのだけれど、この映画を観ていて私はピカチュウや他のポケモンたちに「いろいろ、大変だったね……」と、そっと声をかけてやりたい心境になった。 (鴨)

アンドロメディア
1997年/松竹/1時間50分
 
監督=三池崇史
原作=渡辺浩弐
脚色=キサラギクリオ
撮影=山本英夫
音楽=伊秩弘将
美術=稲垣尚夫、石毛朗
編集=島村泰司
出演=島袋寛子、上原多香子、今井絵理子、新垣仁絵、渡瀬恒彦
 
[ストーリー]
 舞(島袋)は友達と遊んでいる時が一番楽しいどこにでもいる女子高生。だが不幸なことに交通事故に遇い、不慮の死を遂げる。しかし天才プログラマーの彼女の父(渡瀬)によって彼女はバーチャルな姿として蘇ったのだが……。
 渡辺浩弐の原作を今、乗りに乗っている三池崇史監督がティーン・アーティストのSPEEDを主演に映画化。
 
[コメント]
 アイドル映画というと少し軽く観られがちだが、百惠ちゃんや薬師丸ひろ子の映画がそうであったように、実はその時の日本映画のかなりなパワー(製作費、技術、宣伝、話題性etc)を結集したものである。そういう意味でアイドル映画の定番がない今の状況は寂しさを感じるが、その思いを一掃してくれる作品がこのSPEED演じる『アンドロメディア』だ。
 まず、人物設定がいい。グループだと並列的な設定にしがちだが、本作では4人それぞれしっかりした役柄設定をしており、なかでも主人公・舞が死んだ時、初めて彼女と対面するのが電子メール友達なんて、なんと今っぽいんだろうと思ってしまった!
 また脇役陣の配役がすごい! 悪の結社の会長になんとクリストファー・ドイル、その手下に竹中直人、会長を陰で操る謎の中国人に椎名桔平。映画ファンにとっては垂涎もの。そして特筆すべきはCGを含めた美術の素晴しさ。日本映画もここまで来たかと感嘆させられる。特に高校の部室でのラストシーンは圧巻! それだけで展覧会が開けてしまうと思ってしまう。
 話自体はありがちな勧善懲悪調で進むが、悪の結社から逃れていく主人公たちの人間関係のビミョーな綾がうまく描かれていて、なんともいえない清涼感溢れる映画です。 (セ)