アクション&サスペンス

11月28日 「アクション&サスペンス」 (パルテノン多摩大ホール)

●Time Table●
11:00−13:01
13:30−15:42
16:05−18:04
18:30−20:31
ディープ・インパクト
仮面の男
007 トゥモロー・ネバー・ダイ
ディープ・インパクト

ディープ・インパクト
DEEP INPACT
1998年/アメリカ/ザナックーブラウン・プロ/UIP配給/2時間1分
 
監督=ミミ・レーダー
脚本=マイケル・トルキン、ブルース・ジェエル・ルービン
撮影=ディートリッヒ・ローマン
音楽=ジェームズ・ホーナー
美術=レスリー・ディリー
編集=ディヴィッド・ローゼンブルーム
出演=ロバート・デュヴァル、ティア・レオーニ、イライジャ・ウッド
 
ディープ・インパクト
 
[ストーリー]
 1年後に巨大彗星が地球に激突することを米政府が発表。宇宙船による彗星軌道回避計画は失敗し、無作為に選ばれた人々は地下都市に避難した。そして選ばれなかった人たちはパニックに陥りやがて運命の時が訪れる。
 
[コメント]
 今年最も話題を呼んだ映画の一つ。この映画を観た人なら、あの極限状況で私はどうするか、と考えたに違いない。自然の驚異を目前に、個人レベルで生きるか死ぬか、人類レベルで生き長らえるのか滅びるのか。著しい人為的環境破壊により地球上に多くの異常が起きている昨今ゆえ、いつか(この映画のような)人類存続の危機的情景を現実とする日が来るかもしれない、と予感させられる。
 今年3月、小惑星が30年後に地球に衝突するというニュースが全世界で報道された。NASAはこれを否定したが、同時に危機が去ったわけでもないことを認めた。そしてその予測は誰にもできない。だが実際にそれが起きたなら果たしてどうなるのか。これは現実に起こり得る数々の出来事をシミュレーション体験し、いずれ訪れる大異変に私たちが目を向け心の準備をすべき映画である。
 本作はSF映画の名作『地球最後の日』(51年)を下敷きにしている。最新の特殊視覚効果による圧倒的かつ驚異的なスペクタクル映像で生まれ変わっただけでなく、絶滅の危機から必死に逃れようと奮闘し一人一人が人生の意味と目的を見つけようとする、感動的な人間ドラマも描かれている点で注目を集めた。また、この映画を作るのに携わった技術人の顔ぶれは素晴らしく、ハリウッドきっての才人たちがスタッフとして集結。ハードもソフトもしっかりとした保証付きの映画である。 (阪)

仮面の男
THE MAN IN THE IRON MASK
1998年/アメリカ/UIP配給/2時間12分
 
監督・脚本=ランダル・ウォレス
撮影=ピーター・サシツキー
音楽=ニック・グレニー=スミス
衣装=ジェームズ・エイクソン
美術=アンソニー・プラット
編集=ウィリアム・ホイ
出演=レオナルド・ディカプリオ、ジェレミー・アイアンズ、ジョン・マルコヴィッチ
 
仮面の男
 
[ストーリー]
 18世紀フランス。若き国王ルイ14世(L・ディカプリオ)は傲慢で冷酷、その私生活は家来たちの、施政は民衆の、犠牲の上に成り立っていた。ルイ13世にかつて仕えた三銃士の面々は、中年となり表舞台から退きそれぞれの道を歩んでいたが、このままではフランスの未来は暗いと、一計を案じる。それは、ルイとは双子で生まれたが、長いことバスチーユの地下牢に幽閉されているという噂の青年を助け出し、王とすり替えようという作戦である。その青年こそ、“仮面の男”。鉄仮面を被せられ、わずかな食料と天窓からの陽の光を仰ぐことで、孤独の中に生きるフィリップ(ディカプリオ二役)だった。
 さて、困難の末、三銃士はフィリップを救出し、仮面を取った彼の顔がルイに瓜二つで、純粋無垢で清らかな彼の性格がルイと対照的であることを奇跡のような思いで発見する。そして、すり替え作戦も、上手くいったかに思えたのだが……。
 
[コメント]
 ディカプリオ初の、本格的コスチューム・プレイへの挑戦、そして一人二役である。彼はこれまで、底辺の生活で悩む少年や、そこから抜けだそうと野心を持つ個性的な青年の役が多かった。だからそんな彼に、ルイ14世の威厳と横柄さ、逆にフィリップのあくまで優しく控え目な性格がどう演じられるか、疑問であった。だが、それは見事に裏切られた。きつい表情のルイと穏やかなフィリップでは、明らかに動作・せりふの言い回しまで違っていて、ディカプリオの演じ分け方は鮮やか、彼のファン必見の作品だ。
 また、四銃士役に、ジェラール・デパルデュー、ジェレミー・アイアンズら、個性派俳優を揃え、このおじさんたちの活躍がスカッと爽やかだ。時代物ならではの撮影のトーンも、雰囲気たっぷりだ。 (夏)

トゥモロー・ネバー・ダイ
TOMORROW NEVER DIES
1997年/アメリカ、イギリス/ユナイテッド・アーティスツ/UIP配給/1時間59分
 
監督=ロジャー・スポティスウッド
脚本=ブルース・フィアステイン
撮影=ロバート・エルスウィット
音楽=デイヴィッド・アーノルド
美術=アラン・キャメロン
編集=ドミニク・フォーティン、マイケル・アーカンド
出演=ピアース・プロズナン、ジョナサン・プライス、ミシェル・ヨー
 
トゥモロー・ネバー・ダイ
 
[ストーリー]
 ニュー・ジェームズ・ボンドことピアーズ・プロズナンが再び活躍するシリーズ最新作。今回の敵は、第三次世界大戦を画策するメディアの帝王(J・プライス)。毎回お楽しみの新兵器を携え、超タフなボンド・ガールのミシェル・ヨーを相棒に007が世界を駆けめぐる。ヨーのカンフー・アクションも一見の価値あり。
 
[コメント]
 このシリーズも18作目。大人のためのアクション娯楽大作としてりっぱな定番商品です。私が最初に会ったボンド氏は、もちろんショーン・コネリーでしたが、さて中学生だったか高校の時か? 作品は『殺しの番号』だったと思うけど記憶が曖昧です。一番印象深い作品は『ロシアより愛をこめて』ですかねえ。
 ボンド役はこの間何度か変遷しましたが、それぞれ好みの分かれるところでしょう。まあコネリーは別格として、ティモシー・ダルトンは重々しすぎたと思いませんか? 私はピアーズ・プロズナンの、渋さの中に軽みが漂う感じ、好きですね。若きコネリーの磨かれた銃身のような、ギラリとした生々しさに比べると、少し枯れていて、その分“凄み”というか危険な魅力は薄まっていますが、ボンド氏も観客と一緒に年を重ねてきたように思えてなんだかいいのです。がんばれ! プロズナン。
 華を添えるボンド・ガールのほうは、これはもうどんどん強くなっております。ミシェル・ヨーはまさしく歴代最強です。ボンド・ガールはやっぱり紅毛碧眼の肉体派じゃないと、という方もおありでしょうが、ヨーの凛とした美しさ、東洋系のさっぱりした味わいもなかなか良いと思います。ちなみに、初代東洋系は浜美枝でした。
 最後にケッサクなシーンを一つ。悪玉のメディア王が米国大統領に浮気の証拠ビデオを使って圧力をかけようとする場面があるんです。現実の米国では下院司法委員会が問題のビデオを公表しました。スパイが暗躍する冷戦の時代は終わっても、国際政治という舞台に幕が降りることはないのですね。 (苅)