スティーブン・スピルバーグ監督特集

11月20日 「スティーブン・スピルバーグ監督特集」 (やまばとホール)

ジュラシック・パーク
JURASSICPARK
1993年/アメリカ/アンプリン・エンターテイメントプロダクション/UIP配給/2時間7分
 
監督=スティーブン・スピルバーク
原作=マイクル・クライトン
脚本=マイクル・クライトン & デビット・コープ
撮影=ディーン・カンディ
音楽=ジョン・ウィリアムズ
特殊視覚効果=I.L.M.
出演=サム・二一ル、ローラ・ダン、ジェフ・ゴールドブラム
 
[ストーリー]
 古生物学者のグラント博士(サム・二一ル)は、恐竜の化石の発掘の援助をしてもらっている、ハモンド財団から、ある島の視察ツアーの誘いを受ける。その島で、ブラント博士一行が見たものは本物の恐竜だった……。
 
[コメント]
 本だったか何か忘れたが、恐竜の皮膚の色は何色だろうという質問が出ていた。子供がピンク色の恐竜を書いたのを見て、「恐竜はそんな色じゃないわよ。」と言った母親の意見を発端に出た疑問らしい。結局、実際に見たものはいない訳だから、色は別に好みの色でいいということになった。世の中の常識というのは自分で見たもの、多くの人々が認めるものに左右される。「そんな事は無い。」「ありえない。」と、口にする事でも、事実であることのほうが多い。普段の、時間に追われる生活の中では、常識がある部分で固定化されてしまう。人間は考える葦である筈なのに、夢を考えることを忘れてしまっている。普段は白か黒かで決めている事でも、赤とか緑なんかで決めたほうが、面白いときもあるのではないか? 今回のスピルバーグはその常識で縛られない夢を、恐竜達と共に楽しんでいるのだろう。 (菅)

シンドラーのリスト
SCHINDLER'S LIST
1993年/アメリカ/アンプリン・エンターテイメント・プロダクション/UIP配給/3時間15分
 
監督=スティーブン・スピルバーク
原作=トーマス・キニーリー
脚本=スティーブン・ザイリアン
撮影=ヤヌス・カミンスキー
音楽=ジョン・ウィリアムズ
美術=アラン・スタースキー
出演=リーアム・ニーソン、ベン・キングズレー、ラルフ・ファインズ
 
[ストーリー]
 1993年、第2次世界大戦はドイツのポーランド侵攻で幕を開け、同国南部の都市クラクフにもナチスの施風が吹き始めた。その中、この街で一旗揚げようとやってきたドイツ人実業家オスカー・シンドラー(L・ニーソン)は、ユダヤ人会計士シュテルン(B・キングズレー)を雇い、彼のユダヤ人社会のつてを利用してホーロー容器工場の経営をはじめる。ドイツ軍をうまく取り込むことによって彼の事業は拡大していくが、一方ユダヤ人弾圧は強まっていく。城壁に囲まれたゲットーから強制収容所に移されたユダヤ人はゲームの一部のように殺され、死体が山のように積み重ねられていく。見かねたシンドラーは工場を付属した私設収容所を作り、自分の工場で働く者だけでも守ろうとする。
 
[コメント]
 よく映画の役割を「時代を映す鏡」と評する人がいるが、この言葉には「映画製作者が我々の社会に発する一種の警告」という意味が込められている。映画『シンドラーのリスト』は、その意味で、久々に成功した数少ない作品のひとつと言えるだろう。ところでスピルバーク監督が今回アカデミー賞を受賞したことに関して、同賞の受賞前後からさなざまな批判がなされていたが、これに関して当のスピルバーク監督は公開前のあるインタビューでこう答えている。「ナチス統治下で600万人のユダヤ人の身に降りかかった運命を思えば、映画監督1人の名声など取るに足りないものだ」と。さらにスピルバーク監督は最近の世界情勢について、「今でも地球のどこかで同じようなことが繰り返されている。どうして人間は、歴史から教訓を読み取れないのだろう」と悲しげに語る。これらの言葉を裏返して考えると、この映画『シンドラーのリスト』はスピルバーク監督が自身のルーツをいかに深く認識しているか、ということを端的に示している作品だと言える。 (鴨)