第1部 玉川上水から四次元へ
第2部 ヘヴンズ ストーリー

11月23日 (ベルブホール)

●Time Table●
第1部
11:00−12:37
12:37−13:20
第2部
14:30−19:28
19:40−20:20

これで、いーのかしら。(井の頭)怒る西行
トーク ゲスト:沖島勲監督、坂口恭平氏(建築家・作家)、司会:九龍ジョー氏

ヘヴンズ ストーリー(PG12)
トーク ゲスト:瀬々敬久監督、忍成修吾氏、山崎ハコ氏

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第1部 玉川上水から四次元へ

これで、いーのかしら。(井の頭)怒る西行
2009年/YYKプロダクション製作・配給/1時間37分
 
監督・出演=沖島勲
撮影=四宮秀俊
録音=川井崇満
制作進行=鈴木紳介
出演・編集=石山友美
 
これで、いーのかしら。(井の頭)怒る西行
 
[ストーリー]
 沖島勲監督が久我山から井の頭公園までの玉川上水沿いの散歩道を歩きながら、同行する女性にその風景を解説する。
 
[コメント]
 初老の男性が散歩しながら解説するだけの作品。それだけである。しかし、それが滅法面白い。「自分の立っている"時代"といったもの」が「ドンドン溶解していっているように思えてならない」と述べる沖島監督が一度語り始めると、何気ない風景が異次元空間に変貌してしまう。沖島監督は魔法使いなのか? 否、映画監督である。カメラで現実を切り取りながら現実ではないものを創造することがすなわち映画であるとするならば、本作は非常に根源的な映画であると言えよう。
 冗談みたいな世界。沖島監督は、余計なものに満たされた現代の生活をそう表現する。花が散って青葉が茂る桜の樹に、ふと現代を越えた遠い時間を感じ取る。現在なんてちゃちなもの。でも、われわれはこの一種の現代を生きていかなくてはならない。本作は最後、沖島監督の脱力必至のダジャレによってあっさりと終わる。それは、ふっと、冗談みたいな世界を吹き飛ばしてしまうかのように。
 われわれは、何を求め何を失うのか。沖島監督の散歩は、そんな途方もないことをそっと考える機会を与えてくれる。(佐友)

●ゲストの紹介
沖島 勲監督(Okishima Isao)

 1940年生まれ。日本大学芸術学部映画学科在学中より足立正生らと『椀』、『鎖陰』を製作。若松孝二や吉田喜重の助監督を務める。若松プロから『ニュー・ジャック・アンド・ヴェティ モダン夫婦生活讀本』(1969年)で監督デビュー後、TVアニメ『まんが日本昔ばなし』のメインシナリオライターとして約1400本の脚本を担当。他、監督映画は寡作ながら、いずれも独特の異彩を放ち、2005年にそれまでの全映画作品4本をまとめたDVD-BOXが「沖島勲全集」としてリリースされている。
 
坂口 恭平氏(Sakaguchi Kyohei)

 1978年熊本生まれ。建築家/作家。早稲田大学理工学部建築学科卒業後、2004年に日本の路上生活者の住居を収めた写真集「0円ハウス」(リトルモア)を刊行。著書に、「TOKYO 0円ハウス 0円生活」(大和書房刊)、「隅田川のエジソン」(青山出版社)、「TOKYO一坪遺産」(春秋社)。2010年に、新刊「ゼロから始める都市型狩猟採集生活」(太田出版)を出版。

第2部 ヘヴンズ ストーリー

ヘヴンズ ストーリー
2010年/ヘヴンズ プロジェクト製作/ムヴィオラ配給/4時間38分
 
監督=瀬々敬久
脚本=佐藤有記
撮影=鍋島淳裕、斉藤幸一、花村也寸志
音楽=安川午朗
出演=寉岡萌希、長谷川朝晴、忍成修吾、村上淳、山崎ハコ、菜葉菜、江口のりこ、佐藤浩市、柄本明、吹越満、片岡礼子、嶋田久作
 
ヘヴンズ ストーリー
© 2010 ヘヴンズ プロジェクト
 
[ストーリー]
 8歳のサトが友達と海で遊んでいると、近所のおばさんが慌てて車で彼女を迎えに来る。サトの両親と姉がトラブルに巻き込まれて殺害されたため、彼女はひとり暮らしの祖父(柄本)に引き取られることになったのだ。同じころ、トモキ(長谷川)は見知らぬ少年(忍成)に妻と幼い娘を殺され……。
 
[コメント]
 事件を扱う映画は多くある。たいていは、ひとつの事件を中心にその前後のドラマチックな部分を切り取って、何かが始まり、終わった気分にさせられる。それに違和感を感じないのは、現実においても事件は報道される部分しか知らないから。しかし、本当の人生は事件が起こった後も続いていく。それを渾身の力で描ききったのがこの作品だ。今までも実際に起きた事件を題材に映画を作り続けてきた瀬々監督が、試行錯誤の末、「落とし前」としてこの映画を作ったというだけあって、並々ならぬ決意と覚悟を感じる。それは自主映画の体制で制作されたことや、1年以上の撮影期間をかけて妥協を許さぬ映画作りをしたことからもうかがえる。
 登場人物ひとりひとりの実存感に圧倒され(特に山崎ハコは素晴らしい!)、4時間38分はあっという間に過ぎ去る。中盤、どこに向かっていくかわからない物語に身をまかせているとき、映画を「体験している」という新鮮な感覚を味わった。何度でも観直したい。(黒)

●ゲストの紹介
瀬々 敬久監督(Zeze Takahisa)

 1960年生まれ。京都大学文学部哲学学科在学中に『ギャングよ 向こうは晴れているか』を自主制作、注目を浴びる。89年、『課外授業 暴行』で商業映画監督デビュー。以降も、原発ジプシー、湾岸戦争など時代に結びついた題材を果敢に取り込み、〈ピンク映画四天王〉として日本映画界に一大ムーブメントを巻き起こす。一般映画を手がけてからは、メジャー作品を含む劇映画、ドキュメンタリー、テレビ、ビデオ作品までジャンルを超えた活動を展開。思想的・社会的視点を取り入れた刺激的な作品を次々と発表し、国内外で高く評価されている。
 
寉岡 萌希氏(Tsuruoka Moeki)

 神奈川県出身。1997年、フジテレビ系列テレビドラマ「結婚させない女」で子役としてデビュー。以降、佐藤浩市の娘役を演じた「天気予報の恋人」、「ちゅらさん3」をはじめ数々のテレビドラマやCMなどで活躍。近年は映画を中心とした活動で、主な出演作に、『地球でたったふたり』(主演/内田英治監督・2007)、『Lost&Found』(三宅伸行監督・2007)、『僕らのワンダフルデイズ』(星田良子監督・2009)、川端康成原作の4話オムニバス『掌の小説』(主演/三宅伸行監督編・2010)など。
 
山崎 ハコ氏(Yamasaki Hako)

 大分県出身。中学卒業後、横浜へ移る。高校在学中、コンテスト出場がきっかけで1975年にアルバム「飛・び・ま・す」で歌手デビュー。パワフルな歌声と深い表現力、独特の世界観を持つ歌詞で一世を風靡。ラジオDJとしても人気を誇った。79年、映画『地獄』の主題歌・挿入歌を担当。81年には『青春の門』の映画音楽を担当。91年に「劇団300(さんじゅうまる)」公演「クレヨンの島」で女優として初舞台を踏んで以降、舞台にも出演するが、本格的な映画出演は本作が初めて。2010年デビュー35周年を迎え、アルバム「未・発・表」をリリース。
 
忍成 修吾氏(Oshinari Shugo)

 千葉県出身。岩井俊二監督『リリィ・シュシュのすべて』(2001)での忘れがたい存在感と演技で一躍注目を浴びる。以降、映画、テレビドラマなどで活躍。主な映画出演作品は、『青い春』(豊田利晃監督・2002)、『バトルロワイヤル2〜鎮魂歌』(深作欣二、深作健太監督・2003)、『北の零年』(行定勲監督・2005)、『ローレライ』(橋口真嗣監督・2005)、『スクールデイズ』(守屋健太郎監督・2005)、『人のセックスを笑うな』(井口奈己監督・2008)、『笑う警官』(角川春樹監督・2009)など。

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