第2回TAMA映画賞授賞式

11月27日 (パルテノン多摩小ホール)

●Time Table●
11:00−13:06
13:50−15:29
15:50−17:20
17:40−19:26
孤高のメス
さんかく
授賞式
告白(R15+)

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第2回TAMA映画賞授賞式

孤高のメス
2010年/「孤高のメス」製作委員会製作/東映配給/2時間6分
 
監督=成島出
原作=大鐘稔彦「孤高のメス」
脚本=加藤正人
撮影=藤澤順一
音楽=安川午朗
出演=堤真一、夏川結衣、余貴美子、生瀬勝久、吉沢悠、成宮寛貴、平田満、松重豊
 
孤高のメス
© 2010「孤高のメス」製作委員会
 
[ストーリー]
 見栄えや体裁ばかり気にして外科手術すらロクに出来ない地方の市民病院に、外科医・当麻鉄彦(堤)が赴任する。彼の患者の命を救いたいという信念と鮮やかなメス捌きは周囲の心を動かし、病院のよどんだ空気を一変させる。そんなとき、日本の法律で認められていない、脳死状態の少年から生体肝臓移植を行わなければ救えない事態が発生した。決断を迫られた当麻はーー。
 
[コメント]
 堤真一演じる外科医・当麻鉄彦の人物像がなんともチャーミングだ。外科医として患者の命を何より貴び、鮮やかな腕前を発揮する一方、オペには都はるみをバックミュージックで流すのが一番と言ってはばからず、地位や名誉にもまったくもって無頓着。「白い巨塔」などで描かれる病院の裏側の権力闘争が既成概念として植えつけられているので、当麻の医師としての生き様がより一層清清しく映る。
 物語は、チームの一員として彼を支えた看護士・浪子(夏川)の遺した日記を、20年後の現在、新米医師となった息子(成宮)が読み進める形で回想される。当麻の医師としての生き様を親から子へと継承していくことで、信頼と命の尊さを次の世代へと紡いでいく語り口が実に爽やかである。
 堤真一は、外科医・当麻鉄彦の生き様に見事に息吹を吹き込み、代表作の一本となった。(淳)

さんかく
2010年/「さんかく」製作委員会製作/日活配給/1時間39分
 
監督・脚本・照明=吉田恵輔
撮影=志田貴之
美術=藤田徹
出演=高岡蒼甫、小野恵令奈(AKB48)、田畑智子、矢沢心、大島優子(AKB48)
 
さんかく
© 2010「さんかく」製作委員会
 
[ストーリー]
 カスタムカーが趣味で釣具ショップに勤めている30歳の百瀬(高岡)と、29歳化粧品販売員の佳代(田畑)は、同棲して2年経っている。つきあいたてのラブラブ感はなく、特に百瀬は、佳代との関係にマンネリ感を感じていて、態度や言葉の節々が無愛想になっていた。夏のある日、そんな2人の元に、佳代の15歳の妹で中学3年生の桃(小野)が、学校の夏休みを利用して転がり込んできた。天真爛漫な桃に翻弄される百瀬、百瀬への愛情がエスカレートする佳代、それぞれの想いを抱えた3人の、奇妙なさんかく関係の行方は……?
 
[コメント]
 夏休みに女子中学生が田舎から都会へでてくる、その無防備な足や腕をねめまわすようなカットで映画は始まる。角度といい、長さといい、どこをどうとっても変態的なのに、この時点で、桃の可愛さにノックアウトされない人はいるのだろうか。そんな子が、お互いのイタさにも無頓着になっているアラサーカップルの部屋にやってくるのである。危険極まりない。百瀬の口はだらしなく半開き、佳代の眉間には皺がより、桃の無邪気さに拍車がかかる。案の定、矢印は動きだし、壊れ、あげく暴走。少女へのフェティッシュな視線からはじまった映画は、桃の、百瀬の、そして佳代の、と次々に視線をうつしていく。だから私たちは、百瀬がだらしないだけでないことも、佳代がイタイだけないことも、桃がかわいいだけでないことも、知っている。すべてが○な人はいないし、すべてが×な人もいない、でも△なりに相手のことを思いやることができたら充分な気がしてくる。
 それにしても桃のキャミソールの肩ひもが奇跡的にずりおちるのは夏でなくてはならないし、佳代のあの笑顔はちょっと寒くなった季節にちょうどいい、と心から納得。(麻)

告白
2010年/「告白」製作委員会製作/東宝配給/1時間46分
 
監督・脚本=中島哲也
原作=湊かなえ
撮影・照明=阿藤正一、尾澤篤史、高倉進
美術=桑島十和子
出演=松たか子、岡田将生、木村佳乃、橋本愛
 
告白
© 2010「告白」製作委員会
 
[ストーリー]
 ある中学校の教室、1年B組。37人の生徒とひとりの教師。シングルマザーで担任教師の森口(松)は学校のプールで愛娘を事故で失ったばかりだった。しかし森口は終業式の日に、愛娘の死は殺人によるもので、犯人はこのクラスにいると告げる。少年AとB、その家族……さまざまな人間の告白が事件の全体像を浮かび上がらせてゆく。
 
[コメント]
 2009年本屋大賞の湊かなえの小説「告白」を『嫌われ松子の一生』の中島哲也監督が映画化した。
 まず衝撃的な最初のシーン。青みを帯びどこか冷たく感じる映像、松たか子演じる担任教師・森口の長い長い告白。けれど生徒はどこか白けていて、教卓と生徒の机の群れの間にはなにか大きな断絶があるように感じられる。『告白』というタイトル通り、事件に関係した人間たちの告白ーーつまりは独白ーーで話が進んでゆく。それはあくまでその人物の主観である、主観だけで形作られた物語はどこか噛み合わず物悲しい。けれど告白する彼らの根底にあるのは愛や愛するが故にひっくり返ってしまった憎しみだというのがまた複雑な気分を喚起させる。
 この物語を少年法や今の社会が抱える問題を扱った作品とみるか、サスペンスとみるか、さまざまな視点から見ること・考えることのできる素晴らしく自由な映画だ。(橘)

●受賞者の紹介
最優秀作品賞:中島 哲也監督(Nakashima Tetsuya)

 1959年生まれ、福岡県出身。映画監督、CMディレクター。大学在学中に制作した『はの字忘れて』(82年)がぴあフィルムフェスティバル入選。88年『バカヤロー! 私、怒ってます』第2話「遠くてフラれるなんて」で劇場映画監督デビュー。CMディレクターとしても多数のヒットCMを世に送り出しCM界の巨匠として知られる。映画監督としては『下妻物語』(2004年)で一躍注目を集め、その後も『嫌われ松子の一生』(06年)、『パコと魔法の絵本』(08年)とヒット作・話題作を作り続けている。
 
最優秀作品賞:吉田 恵輔監督(Yoshida Keisuke)

 1975年生まれ、埼玉県出身。東京ビジュアルアーツ卒業。在学中から自主映画を制作し、同時に憧れでもあった塚本晋也監督の作品に参加して照明を担当。2006年に『なま夏』で映画監督デビュー、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭・ファンタスティック・オフシアター・コンペティション部門でグランプリを獲得。ホラー映画界の巨匠トビー・フーパー監督から絶賛される。08年小説「純喫茶磯辺」を発表し、自ら映画化する。30代の次世代を担う監督の1人として注目されている。
 
特別賞:若松 孝二監督(Wakamatsu Koji)

 1936年、宮城県生まれ。63年にピンク映画『甘い罠』で映画監督としてデビュー。「ピンク映画の黒澤明」などと形容されヒット作を量産する。2007年公開の連合赤軍をテーマにした作品『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』は第20回東京国際映画祭で「日本映画・ある視点 作品賞」を受賞のほか、毎日映画コンクールで監督賞、日本映画評論家大賞で作品賞など多数受賞。そのほか主な作品に『天使の恍惚』(72年)、『水のないプール』(82年)、『われに撃つ用意あり』(90年)など。
 
最優秀男優賞:堤 真一(Tsutsumi Shinichi)

 1964年生まれ、兵庫県西宮市出身。坂東玉三郎の舞台「天守物語」への出演をきっかけに本格的に役者を志す。その後はテレビドラマ、映画、舞台と幅広く活躍。山崎貴監督の映画『ALWAYS 三丁目の夕日』(07年)で国内の主な映画賞の助演男優賞を多数獲得。『クライマーズ・ハイ』、『容疑者Xの献身』(08年)で第30回報知映画賞最優秀主演男優賞受賞。最新作は『SP 野望篇』(10年)。
 
最優秀女優賞:寺島 しのぶ(Terajima Shinobu)

 1972年、京都生まれ。大学在学中に女優を志し、文学座に入団。退団後、蜷川幸雄、江守徹、久世光彦といった演劇界の大御所に度々起用され、着実に演技の幅を広げる。2000年『シベリア超特急2』で映画デビュー。03年『赤目四十八瀧心中未遂』『ヴァイブレータ』での演技が認められ、第27回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を始め、日本国内外で10以上の映画賞を受賞した。そして本年『キャタピラー』の演技が認められ、ベルリン国際映画祭で銀熊賞最優秀主演女優賞を受賞し、世界的な注目を浴びた。
 
最優秀新進監督賞:川口 浩史監督(Kawaguchi Hirofumi)

 1970年生まれ。日本映画学校脚本科卒業後、篠田正浩、行定勲、奥田瑛二など名だたる監督の作品で助監督を務め、本作品で監督デビューを果たす。テレビドラマ「チェオクの剣」のキム・ミンジュン、テレビドラマ「春のワルツ」のソ・ドヨンを迎えて、全編韓国ロケを敢行した監督2作品目『チョルラの詩』も6月に公開された。
 
最優秀新進監督賞:山本 寛監督(Yamamoto Yutaka)

 1974年生まれ。京都大学文学部卒業。アニメーション演出家・監督。京都アニメーションに入社後、アニメーションDoに移籍。2007年にアニメ制作会社Ordetを設立。“ヤマカン”の愛称で親しまれる。「POWERSTONE」(99年)で演出家デビューを果たし、「週刊ストーリーランド」(00〜01年)の演出で独自性が高く評価され、注目を浴びる。主な作品として「涼宮ハルヒの憂鬱」(演出)、「らき☆すた」、「かんなぎ」(共に監督)がある。『私の優しくない先輩』が初の実写映画作品となる。
 
最優秀新進男優賞:大西 信満(Onishi Shima)

 1975年生まれ、神奈川県出身。2003年、映画初出演ながら主役を務めた『赤目四十八瀧心中未遂』で、第58回毎日映画コンクール・スポニチグランプリ新人賞、第13回日本映画批評家大賞・新人賞を受賞。以後、『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(08年)、『ランニング・オン・エンプティ』(10年)に出演。『実録・連合赤軍〜』に続く若松監督作品への出演となる『キャタピラー』では、四肢を失った軍人という難役を熱演した。テレビや映画などを中心に活躍している注目の俳優である。
 
最優秀新進男優賞:金田 哲(Kanada Satoshi)

 1986年生まれ、愛知県出身。2005年、東京NSC10期の同期であった川島章良とお笑いコンビ"はんにゃ"を結成。現在、テレビ東京系「ピラメキーノ」など、数多くのバラエティ番組のレギュラーを持つ。俳優としては、映画『フレフレ少女』(08年)、『お墓に泊まろう!』(10年)などに出演し、『私の優しくない先輩』(10年)で、初主演を務めた。
 
最優秀新進女優賞:安藤 サクラ(Ando Sakura)

 1986年生まれ。『風の外側』(2007年)にて映画デビュー。以後『俺たちに明日はないッス』(08年)、『愛のむきだし』(09年)、『クヒオ大佐』(09年)、『TORSO』(10年)など数多くの話題作に出演。『愛のむきだし』で第31回ヨコハマ映画祭助演女優賞、第24回高崎映画祭最優秀新人賞を受賞。ヒロインを演じた『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』(10年)では、アジアン・フィルム・アワード助演女優賞にノミネートされた。
 
最優秀新進女優賞:忽那 汐里(Kutsuna Shiori)

 1992年生まれ、オーストラリア出身。2006年「第11回 全日本国民的美少女コンテスト」で審査員特別賞を受賞。07年、TBS系ドラマ「3年B組金八先生」で女優デビュー。同年、江崎グリコ「Pocky(ポッキー)」のTVCMに出演し、話題を呼ぶ。09年『守護天使』で映画デビュー。本年は『半分の月がのぼる空』、『BECK』、『ちょんまげぷりん』と話題作への出演が続き、来年には『マイ・バック・ページ』、『少女たちの羅針盤』などの出演作が控える、今注目の若手女優の一人。

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