等身大で描く若者像

11月29日 (ベルブホール)

●Time Table●
14:00−15:27
15:40−17:00
17:10−18:00
今、僕は
SR サイタマノラッパー
トーク ゲスト:入江悠監督、竹馬靖具監督、宮台真司氏(社会学者)

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今、僕は
2007年/日本/chiyuw製作・配給/1時間27分
 
監督・脚本・編集=竹馬靖具
撮影・編集=宗田英立大
主題歌=新居昭乃「囁く菫」
出演=竹馬靖具、藤澤よしはる、弁、志賀正人
 
今、僕は
 
[ストーリー]
 母親と二人で暮らす20歳のニート、悟(竹馬)。テレビゲームと漫画雑誌、ジャンクフードと寝ること以外、すべてを拒否している。ある朝、悟の前に母親の友人である藤澤(藤澤)が現れ、半ば強引に彼を仕事場へ連れて行く。美しい自然のなかに建つワイナリー。だがそこでは悟の社会的能力の欠落が痛々しいほど明白になる。
 悟を救おうとする藤澤の必死の努力や、仕事を続けていくことの現実、予期せぬ悲劇が、徐々に悟を狂気へと押しやっていく。
 
[コメント]
 本作は、竹馬監督(兼主演)の「こんな映画に出たい」という思いで作られた。主人公の悟に欠けているのは、そんな理想を現実にする力かもしれない。悟は自堕落な生活に嫌気が差しながら、それを変えられない自分に苛立っているのではないか。きっとおそらく彼は、「こんな生活を送りたい」という理想と思うようにいかない現実とのギャップのなかで引き裂かれ、空転しているのだ。そんな彼にとって藤澤は、彼をひたすら現実に向き合わせる、うんざりする存在だ。しかし、その「現実」のなかにこそ希望があるのだ。この映画のラストは、静かにだが力強くそのことを示している。辛く苦しい絶望的な状況のなかでもしっかりとその「今」を受け入れること、それが希望への第1歩なのだ。(佐友)

SR サイタマノラッパー
2008年/日本/ノライヌフィルム製作/ロサ映画社、ノライヌフィルム配給/1時間20分
 
監督・脚本=入江悠
撮影=三村和弘
音楽=岩崎太整
出演=駒木根隆介、みひろ、水澤紳吾、杉山彦々、奥野瑛太、益成竜也、上鈴木伯周
 
SR サイタマノラッパー
 
[ストーリー]
 レコード屋もライブハウスもないサイタマ県のフクヤ市。そんな田舎街に暮らすヒップホップグループ“SHO-GUNG”のメンバーたちは、自分たちの曲でライブをすることを夢見ていた。メンバーで、仕事もなく毎日ぶらぶらしているニートのラッパーIKKU(駒木根)は、いつか世界的なラッパーになりたいと思っている。そんなある日、東京でAV女優として活躍していた高校の同級生の千夏(みひろ)が帰ってきた。その時から、メンバー間にすれ違いが起きてしまう。
 
[コメント]
 『8Mile』は、エミネムが「夢を実現した」ラッパーであるからこそ、カッコいいものだ。でも、そういう成功譚に憧れて「夢を見る」ラッパーってそうはカッコよくならない。夢を叶えるにはどうしたらいいの? 何をどう頑張ればいいの? レコード屋もライブハウスもない埼玉の片田舎で、夢ばかりが膨れ上がっていく。ライブをやろうとしたって、仲間がおっぱいパブやブロッコリー作りで忙しくて足並み揃わない。現実ってなかなかうまくいかない。でも自分のライムを世界に届けたいっていう気持ちだけは確かなんだ。夢見る姿ってカッコ悪い。でも、それでも夢を追う姿はカッコいい。ラストシーンは、『キッド』でチャップリン演じる庶民が見る貧しい夢のようなアイロニーと、それとは逆の現実のヒリヒリ感が合わさった映画史上屈指の名シーンだ。思い出すだけで胸が熱くなる。(佐友)

●ゲストの紹介
竹馬 靖具監督(Chikuma Yasutomo)

 1983年栃木県足利市生まれ。舞台、映画を中心に役者としてのキャリアを経て、2007年に自ら監督、脚本、主演を務めた 映画『今、僕は』を発表する。『今、僕は』はドイツ、オランダ、イギリス、カナダの映画祭で上映され、各地で多大なる支持を得る。09年、渋谷の UPLINKで劇場公開され、8週間の超ロングラン上映を記録し、同館のインディーズ映画の集客動員数記録を塗り替えた。今後の活躍が期待される全く新しい映画作家である。
 
入江 悠監督(Irie Yu)

 1979年神奈川県生まれ、埼玉県育ち。2003年、日本大学芸術学部映画学科卒業。大学在学中より映画や映像作品の制作を始め、短編映画『OBSESSION』(02年)と『SEVEN DRIVES』(03年)がゆうばり国際ファンタスティック映画祭に2年連続入選し、05年には4本の短編を集めた短編集『OBSESSION』が池袋シネマ・ロサにてレイトショー公開され、注目をあびた。06年に初の長編映画『JAPONICA VIRUS』が全国劇場公開。他に『くりいむレモン 魔人形』、『SPYGIRLS 水着スパイ』など。
 
宮台 真司氏(Miyadai Shinji)

 社会学者。映画批評家。首都大学東京教授。1959年3月3日仙台市生まれ。京都市で育つ。東京大学大学院博士課程修了。社会学博士。権力論、国家論、宗教論、性愛論、犯罪論、教育論、外交論、文化論などの分野で単著20冊、共著を含めると100冊の著書がある。最近の著作には『14歳からの社会学』『〈世界〉はそもそもデタラメである』などがある。キーワードは、全体性、ソーシャルデザイン、アーキテクチャ、根源的未規定性、など。

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