歴史のなかのドラマ

11月24日 「歴史のなかのドラマ」 (パルテノン多摩小ホール)

●Time Table●
11:00−12:36
13:20−15:25
15:40−17:37
ヒトラーの贋札
モンゴル
マンデラの名もなき看守

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ヒトラーの偽札
The Counterfeiters
2006年/ドイツ・オーストリア/配給:クロックワークス/1時間36分
 
監督・脚本=ステファン・ルツォヴィッキー
原作=アドルフ・ブルガー
撮影=ベネディクト・ノイエンフェルス
音楽=マリウス・ルーランド
出演=カール・マルコヴィクス、アウグスト・ディール、デーヴィト・シュトリーゾフ
 
ヒトラーの偽札
© Aichholzer Film & magnolia Filmproduktion Alle Rechte vorbehalten
 
[ストーリー]
 第二次世界大戦中のドイツ、ザクセンハウゼン強制収容所。そこに各地の収容所から送られてきたのは、世界的贋作師のサリー(K・マルコヴィクス)、印刷技師のブルガー(A・ディール)、美術学校生のコーリャなどユダヤ系の技術者たち。そして収容所の中にある秘密の工場に集められた彼らはある使命を課せられる……。
 
[コメント]
 第80回米アカデミー賞で外国語映画賞を受賞した本作品は、第二次世界大戦中のナチス・ドイツで実際に起きた「ベルンハルト作戦」を、捕虜であるユダヤ人の目から描いた作品。ナチ統治下の収容所を扱った映画は多くあるが、歴史的な大事件の陰に隠された人々の人生にスポットを当てているのが興味深い。本作品の主人公・プロの詐欺師サリー。収容所で捕虜となり、無常な銃殺を目の当たりにしても、恐怖や絶望を胸にしまい贋札作りのリーダーとして黙々と作業するクールな男だ。しかし贋札を作ることはナチス・ドイツの存続を助けることになり、家族や愛する人を失われた彼らには、耐え難い屈辱だ。そのためサリーは、信念を貫く仲間に罵られ、悩み苦しむ。結局、ドル紙幣の製造途中に敗北するナチス・ドイツ。しかしこの時、実は影で行われていたストライキが疑われないための細工していたのがサリーだった。このサリーの配慮がなければ生存者はなく、このドラマも作られなかったのかもしれない。 (蛭)

モンゴル
MONGOL
2007年/ドイツ・ロシア・カザフスタン・モンゴル/ティ・ジョイ、東映配給/2時間5分
 
監督・脚本・製作=セルゲイ・ボドロフ
撮影=セルゲイ・トロフィモフ、ロジェ・ストファーズ
編集=ザック・ステーンバーグ
美術=ダシ・ナムダコフ
出演=浅野忠信、スン・ホンレイ、クーラン・チュラン
 
モンゴル
© 2007 CTB FILM COMPANY/ANDREYEVSKY FLAG FILM COMPANY/X FILME CREATIVE POOL/KINOFABRIKA/EURASIA FILM.ALL RIGHTS RESERVED.
 
[ストーリー]
 12世紀、部族間の争いが絶えないモンゴル。小部族の頭領・イェスゲイの息子テムジンは9歳のとき立ち寄った村で、少女・ボルテと運命的な出会いをする。しかしその矢先、他の部族に父が毒殺される。命を狙われ、逃亡生活を余儀なくされるテムジン。やがて成人したテムジン(浅野)はボルテ(K・チュラン)を妻に迎えるが、喜びも束の間、仇敵メルキト族に略奪されてしまう。
 
[コメント]
 本年度のアカデミー賞で一躍脚光を浴び注目された本作品は、モンゴルで一時代を築いた英雄チンギス・ハーンがテムジンと名乗っていた青少年時代に焦点をあてた作品だ。
 遊牧民族であるモンゴルの人々にとって自然は神そのものの存在だ。テムジンは父親が殺された後、幾度となく命を狙われる。しかし、彼は神を信じて立ち向かう。テムジンの部族では天から降りてきた灰色の狼が祖先、いわば神なのだ。その形ないものを心の底から信じていたからこそ、後の偉大な統率者チンギス・ハーンが誕生したのだろう。また、形ないものと言えば、少女・ポルテが告げた「あなたは私の夫となる人よ」という一言。ポルテのまっすぐな瞳と有無を言わせない物言いに、テムジンは運命的なものを感じたのだ。その後、幾度となく繰り返される争いのなか、ポルテが敵の手に渡り、敵の子供を宿すこともあるが、二人の絆は揺るがない。その祖先を信じ、家族を心から愛し信じたチンギス・ハーンの生き様を、モンゴルの壮大な自然と、見事な戦闘シーンによって具現化した本作品。是非ご堪能頂きたい。 (蛭)

マンデラの名もなき看守
GOODBYE BAFANA
2007年/フランス・ドイツ・ベルギー・イタリア・南アフリカ/ギャガ・コミュニケーションズ配給/1時間57分
 
監督=ビレ・アウグスト
原作=ジェームズ・グレゴリー、ボブ・グレアム
脚本=グレッグ・ラター
撮影=ロバート・フラッセ
音楽=ダリオ・マリアネッリ
出演=ジョセフ・ファインズ、デニス・ヘイスバード、ダイアン・クルーガー
 
マンデラの名もなき看守
 
[ストーリー]
 看守グレゴリー(J・ファインズ)は反体制組織リーダーのネルソン・マンデラ(D・ヘイスバード)を監視する重要ポストに抜擢され、妻のグロリア(D・クルーガー)は彼の出世に期待を膨らませる。一方、グレゴリーは初めて会ったときからマンデラの存在感・振る舞い方に何かを感じていた。数々の出来事を通じて、彼はマンデラへの関心の高まりと「黒人びいき」とみる周囲から家族を守るという思いの間で揺れ、アパルトヘイトの不条理さに気づき始める。
 
[コメント]
 「南アフリカ初の黒人大統領のマンデラが、初めて自身の映像化を許可した作品。27年間もの間を獄中で政治犯として過ごした頃が描かれる。
 描写の中心は、その27年間ほとんどを看守として近くで過ごした原作者のグレゴリー。私たちは自ずと彼の心境の変化に着目していく。自分の報告で人が消されていると思うほどの国家公安局の怪しい動きや、周囲からの疑いの眼差しと身に迫る危険、暴力的な取締りが子どもに与えたショック……。彼の心は揺れる。そして根底には、彼自身が幼少期に黒人の友達と遊んでいた経験があったのではないかと思われてくる。
 社会のしくみのなかで生きるというのは、狭い範疇のなかで与えられた基準で判断するよう求められることが多いのかもしれない。でも、必要があれば何がより善いのか一度立ち止まって考えてみることだ。まずは、知ること。閲覧禁止とされる「自由憲章」に手を伸ばせるかどうかが、分かれ道ではないか。 (渉)

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