終戦直後の日本 Vol.2

11月27日 「終戦直後の日本 Vol.2」 (やまばとホール)

●Time Table●
13:30−15:19
15:45−17:09
17:40−19:09
帰郷
蜂の巣の子供たち
安城家の舞踏会

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帰郷
1950年/松竹製作・配給/1時間44分
 
監督=大庭秀雄
原作=大佛次郎
脚本=池田忠雄
撮影=生方敏夫
音楽=吉沢博、黛敏郎
出演=木暮実千代、佐分利信、津島恵子、山村聡、日守新一
 
帰郷
優秀映画鑑賞推進事業
 
[解説]
 原作は、大佛次郎が毎日新聞に連載した長篇小説である。海外を放浪し、無国籍者となっていた元海軍軍人が戦後日本に帰国し、かつて自分を窮地に陥れた愛人や、音信を絶っていた娘に会うが、すっかり様がわりしている日本に失望して、再び去っていく。混乱した復興期の世相を背景に、上質の情感をたたえた作品になっている。同年の『長崎の鐘』や、『君の名は』三部作(1953-54)の大ヒットにより、松竹のエース監督となった大庭秀雄は、同社伝統のメロドラマの作法を十二分に体得した作家であり、心理描写などにたしかな手腕を示した。特に京都の苔寺(西芳寺)の場面は流麗といえるだろう。1950年「キネマ旬報」ベストテン第2位。

蜂の巣の子供たち
1948年/蜂の巣映画部製作・配給/1時間24分
 
監督・脚本=清水宏
撮影=古山三郎
音楽=伊藤宣二
出演=島村俊作、夏木雅子、御庄正一、伊本紀洋史、多島元
 
蜂の巣の子供たち
優秀映画鑑賞推進事業
 
[解説]
 清水宏監督は、自意識過剰なスター俳優を使ってメロドラマを撮っているよりは、子供や風景を自然のままに写しているほうがましだと考えていた。そんなこともあって、戦後、戦災孤児を引き取って自宅で面倒をみていたが、彼らを登場人物に何か作ろうと思いたち、蜂の巣プロを起こして、この作品を製作した。ひとりの復員兵が下関に降りたつ。帰る場所のない彼は、自分が育った非行少年の厚生施設「みかへりの塔」へ帰ろうと、広島、神戸と山陽道を歩いて行く。戦禍の後も生々しい街角や路上で、浮浪児たちや若い娘の引揚者、孤児を束ねている乱暴な男などと出会い、さらに旅を続けていく。全篇ロケーション撮影、俳優たちもすべて素人といった素朴さのうちに、朴訥としたこの監督特有の味わいと時代を見つめる目がある。1948年「キネマ旬報」ベストテン第4位。

安城家の舞踏会
1947年/松竹製作・配給/1時間29分
 
原作・監督=吉村公三郎
脚本=新藤兼人
撮影=生方敏夫
音楽=木下忠司
出演=原節子、逢初夢子、森雅之、殿山泰司、津島恵子、日守新一
 
安城家の舞踏会
優秀映画鑑賞推進事業
 
[解説]
 今や家屋敷を人手に渡すところまで落ちぶれた旧華族の名門、安城家。せめて終焉だけは華やかに迎えようと舞踏会が催されたが、そこに闇金融の社長や、かつて当家のお抱え運転手だった成金の運送業者らが現われ、当主の苦悩は極限に達することとなる……。旧体制の崩壊と新興勢力の台頭という、敗戦後の日本の世相を巧みに織り込んだ作品だが、滅び行く華族とその周辺の人々という人物設定には、たしかにチェーホフの「桜の園」を思わせるところがある。もっとも監督の吉村公三郎によれば、実際にこれに類したダンスパーティーが開かれたことがあり、そこから作品のアイデアを得たということらしい。脚本の新藤兼人は修業時代、溝口健二の下で「近代劇全集」と格闘した経験があり、この堅牢に組み立てられたドラマにもその成果の一端がうかがわれる。1947年「キネマ旬報」ベストテン第1位。

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