終戦直後の日本 Vol.1

11月26日 「終戦直後の日本 Vol.1」 (やまばとホール)

●Time Table●
13:30−15:04
15:30−17:10
17:40−19:24
安城家の舞踏会
戦争と平和
帰郷

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安城家の舞踏会
1947年/松竹製作・配給/1時間29分
 
原作・監督=吉村公三郎
脚本=新藤兼人
撮影=生方敏夫
音楽=木下忠司
出演=原節子、逢初夢子、森雅之、殿山泰司、津島恵子、日守新一
 
安城家の舞踏会
優秀映画鑑賞推進事業
 
[解説]
 今や家屋敷を人手に渡すところまで落ちぶれた旧華族の名門、安城家。せめて終焉だけは華やかに迎えようと舞踏会が催されたが、そこに闇金融の社長や、かつて当家のお抱え運転手だった成金の運送業者らが現われ、当主の苦悩は極限に達することとなる……。旧体制の崩壊と新興勢力の台頭という、敗戦後の日本の世相を巧みに織り込んだ作品だが、滅び行く華族とその周辺の人々という人物設定には、たしかにチェーホフの「桜の園」を思わせるところがある。もっとも監督の吉村公三郎によれば、実際にこれに類したダンスパーティーが開かれたことがあり、そこから作品のアイデアを得たということらしい。脚本の新藤兼人は修業時代、溝口健二の下で「近代劇全集」と格闘した経験があり、この堅牢に組み立てられたドラマにもその成果の一端がうかがわれる。1947年「キネマ旬報」ベストテン第1位。

戦争と平和
1947年/東宝製作・配給/1時間40分
 
監督=山本薩夫、亀井文夫
脚本=八住利雄
撮影=宮島義勇
照明=若月荒夫
音楽=飯田信夫
出演=池部良、岸旗江、伊豆肇
 
戦争と平和
優秀映画鑑賞推進事業
 
[解説]
 新憲法発布を記念して、憲法普及会が映画各社に提案した企画のうち、「戦争放棄」の題材を当たられた東宝が、伊藤武夫プロデュースのもと、記録映画作家の亀井文夫と劇映画監督の山本薩夫の共同監督により製作した、終戦直後の日本映画を代表する一本。戦死公報を受けた妻・町子が、前線で精神的な障害を受け帰還していた夫の親友・康吉と再婚する。しかし、度重なる空襲により、康吉の病状は悪化。そこに中国で捕虜として命拾いをした夫・健一が帰還し、三人の間に新たな悲劇が襲う。D・W・グリフィスの映画『イノック・アーデン』を下敷きに、ニヒリズムと解放感の錯綜した戦後心理を捉えた八住利雄の脚本、トラウマを抱えた難しい役どころに挑んだ池部良の熱演、記録映画のフッテージを盛り込みながら、戦地、銃後そして戦後の日本の姿をリアルに再現した映像など、見応えのある大作となっている。占領軍による検閲により30分以上が削除されたものの、観客・批評家からの評価は高く、「キネマ旬報」ベストテンで第2位に選ばれた。

帰郷
1950年/松竹製作・配給/1時間44分
 
監督=大庭秀雄
原作=大佛次郎
脚本=池田忠雄
撮影=生方敏夫
音楽=吉沢博、黛敏郎
出演=木暮実千代、佐分利信、津島恵子、山村聡、日守新一
 
帰郷
優秀映画鑑賞推進事業
 
[解説]
 原作は、大佛次郎が毎日新聞に連載した長篇小説である。海外を放浪し、無国籍者となっていた元海軍軍人が戦後日本に帰国し、かつて自分を窮地に陥れた愛人や、音信を絶っていた娘に会うが、すっかり様がわりしている日本に失望して、再び去っていく。混乱した復興期の世相を背景に、上質の情感をたたえた作品になっている。同年の『長崎の鐘』や、『君の名は』三部作(1953-54)の大ヒットにより、松竹のエース監督となった大庭秀雄は、同社伝統のメロドラマの作法を十二分に体得した作家であり、心理描写などにたしかな手腕を示した。特に京都の苔寺(西芳寺)の場面は流麗といえるだろう。1950年「キネマ旬報」ベストテン第2位。

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