世界の映画祭で賞賛された話題作

11月23日 「世界の映画祭で賞賛された話題作」 (やまばとホール)

●Time Table●
11:00−12:41
13:30−16:08
16:25−18:17
JUNO
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
潜水服は蝶の夢を見る

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JUNO
JUNO
2007年/アメリカ/20世紀フォックス配給/1時間36分
 
監督=ジェイソン・ライトマン
脚本=ディアブロ・コディ
撮影=エリック・スティールバーグ
音楽=マテオ・メシナ
出演=エレン・ペイジ、マイケル・セラ、ジェニファー・ガーナー、ジェイソン・ベイトマン、アリソン・ジャネイ
 
JUNO
 
[ストーリー]
 高校生のジュノ(E・ペイジ)は、興味本位で同級生のポーリー(M・セラ)と関係を持ち、妊娠してしまう。はじめは中絶するつもりのジュノだったが、中絶反対運動中の同級生に「赤ちゃん、もう爪も生えてるわよ」言われ、産む決心をする。早速、親友とともに里親探しを始め、理想的な夫婦を見つけるが……。
 
[コメント]
 今年のアカデミー賞でも話題になったこの作品だが、ティーンの妊娠というテーマを描いているだけでないところがこの映画のミソだと思う。
 まずシナリオが何より素晴らしいし(映画館で今年一番笑った作品だったがオスカーを受賞)、『ハイ・フィデリティ』ばりにロックの小ネタが思いっ切り入っているのも嬉しい。(てっきり40代のおじさんが脚本を書いているのかと思いきや女性だった)
 ひとことで言うなら最近あまり見なかったアメリカのインディーズな魅力(手作り感ーー例えばタイトルバックのグラフィカルな感じや音楽など)が満載ってことに尽きる。
 予告篇で見ると単なるティーンのラブコメに見えるが、意外にもアメリカンインディーズの佳作だったってところにこの映画が全米でヒットした理由(配給元のフォックスサーチライトでは年間ランキング1位)がある気がする。
 エレン・ペイジがクリスティーナ・リッチ化しないことを祈って。 (舟)

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
There Will Be Blood
2007年/アメリカ/ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン配給/2時間38分
 
監督・脚本=ポール・トーマス・アンダーソン
原作=アプトン・シンクレア
撮影=ロバート・エルスウィット
音楽=ジョニー・グリーンウッド
出演=ダニエル・デイ=ルイス、ポール・ダノ、ディロン・フレイジャー、キアラン・ハインズ、ケヴィン・J・オコナー
 
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
 
[ストーリー]
 20世紀初頭のアメリカ。一攫千金を夢見るダニエル・プレインヴュー(D・D=ルイス)は、幼い息子を連れて石油の採掘を行っていた。彼はある青年からの情報により、西部の町リトル・ボストンの土地を次々に買い占めていく。そして見事に石油を掘り当て、莫大な財産を手にするが、カリスマ的牧師のイーライ(P・ダノ)は、彼への警戒を強めていく。
 
[コメント]
 今年のアメリカ映画は暗かった。『ノーカントリー』、『ダークナイト』、『ミスト』など。それと同じくして本作は「アメリカン・ニューシネマの再来」とでも呼べる作品群の一つ。
 原作はアプトン・シンクレアの1927年に書かれた、社会主義的要素の強い「石油!」という小説だが、映画に社会主義的要素は無い。むしろ何処までもアメリカ的な世界が展開する。石油=主人公ダニエル・デイ=ルイス演じるダニエル・プレインビュー、宗教=ポール・ダノ演じる若き牧師イーライ・サンデーの対立(或は協力)関係と「血が流れるだろう」という題名を考えれば、見えてくるのは現代のアメリカだ。
 ともあれ小難しいことを考えずに、暗澹たる状況をエンターテインメントへと昇華するハリウッドの底力を堪能するのが吉。油田火災のシーンの撮影テクニックに酔いしれるも良し! ダニエル・デイ=ルイスとポール・ダノの怪演にニヤリ、とするのも良し!
 洋画の衰退が囁かれる昨今ですが、洋画の面白さを堪能してください。 (松)

潜水服は蝶の夢を見る
Le Scaphandre et le Papillon
2007年/フランス・アメリカ/アスミック・エース配給/1時間52分
 
監督=ジュリアン・シュナーベル
原作=ジャン=ドミニク・ボビー
脚本=ロナルド・ハーウッド
撮影=ヤヌス・カミンスキー
音楽=ポール・カンテロン
出演=マチュー・アマルリック、エマニュエル・セニエ、マリ=ジョゼ・クローズ、アンヌ・コンシニ、マックス・フォン・シドー
 
潜水服は蝶の夢を見る
© Pathe Renn Production, France 3 Cinema, CCRAV 2007
 
[ストーリー]
 ELLE誌編集長として、また3人の子どもの父親として華やかな人生を謳歌していたジャン=ドミニク(M・アマルリック)。ところが突然の病により、身体の自由を奪われてしまう。絶望的な状況のなか、彼は言語療法士の導きで唯一動く左目の瞬きによる伝達手段を身につけ、その想像力と記憶をたよりに自伝を綴りはじめる。
 
[コメント]
 アルファベットを使用頻度順に読み上げてもらい、瞬きで合図をする。これを20万回以上繰り返し、自伝を書き上げた驚異の実話をもとに映画化。この気が遠くなるような事実は、主人公の壮絶な努力と、彼を支える人々の深い絆を物語るのに十分すぎるほどである。病魔におかされた男を主人公としながら、すがすがしささえ感じさせる本作は、数々の映画祭で賞賛を浴びた。
 全編を通し特に印象に残るのは、想像や回想のシーンでの色彩豊かな美しい映像。主人公の生きることへの愛情や大切な人々への想いが溢れているかのようだ。彼を取り巻く人々とのユーモアに満ちたやり取りと、主人公ジャン=ドミニクの憎めないキャラクター(彼の左目はやたらと女性の胸元や足を追っている)も相まって、切ないのにクスリと笑える何とも魅力的な作品に仕上がっている。
 “泣ける映画”といった感じではないが、だからこそさまざまな感情が呼び起こされ、生きている時間を愛おしく思える映画だ。 (今)

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