Life of Cinema 〜そして世界は美しい〜

11月25日 「Life of Cinema 〜そして世界は美しい〜」 (パルテノン多摩小ホール)

●Time Table●
12:00−13:40
14:20−15:30
15:45−16:15
16:30−18:40
ユメ十夜
世界はときどき美しい
トーク 松田美由紀氏、西健二郎プロデューサー
それでも生きる子供たちへ(PG12)

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ユメ十夜
2006年/日本映画/「ユメ十夜」製作委員会製作/日活配給/1時間50分
 
監督=実相寺昭雄、市川崑、清水崇、清水厚、豊島圭介、松尾スズキ、天野喜孝、河原真明、山下敦弘、西川美和、山口雄大
原作=夏目漱石
脚本=久世光彦、柳谷治、猪爪慎一
出演=小泉今日子、うじきつよし、香椎由宇、山本耕史、市川実日子、阿部サダヲ、藤岡弘、緒川たまき、松山ケンイチ、本上まなみ
 
ユメ十夜
© 2006「ユメ十夜」製作委員会
 
[ストーリー]
 「こんな夢を見た」—明治の文豪・夏目漱石の数ある作品の中で、異色の魅力を放ち、作者を解明するバイブルともされている短編小説「夢十夜」。
 漱石自ら「この作品が理解されるには100年もの歳月がかかるであろう」と1906年に予言してから100年、日本が誇る天才・異彩監督11人が様々な映像表現を駆使し、このミステリアスな作品に挑む!
 
[コメント]
 あり得ないくらい豪華な監督陣が勢ぞろいした。恐らくは制作前から「負けられない」と静かな火花を散らしていたことであろう。しかし、すべてが異色作と言えるこのオムニバス作品群のなかで目立つことは至難の技だ。そのなかで勝利したと思えるのは第六夜、松尾スズキ監督作品と第十夜、山口雄大監督作品。松尾監督の意表をついたアイディアとシンプルな作り、山口監督の圧倒的なスピード感と濃度にはノックアウトされた。他の作品もそれぞれ独自のアプローチをしていて、原作の奇想天外ぶりに負けていない。
 そして印象深いのは女優たちの艶やかな着物姿。第一夜、小泉今日子のこの世のものらしからぬ佇まい、第三夜、香椎由宇演じる人妻の落ち着きぶり、第九夜、緒川たまきの張りつめた動きの美しさ、第十夜、本上まなみの思いもかけぬ役柄、どれも見事にはまっていた。
 こんなバラエティーに富んだ映画化なら漱石先生も微笑んでくれるだろう。 (黒)

世界はときどき美しい
2006年/日本映画/「世界はときどき美しい」製作委員会製作/ユナイテッドエンターテイメント配給/1時間10分
 
監督・脚本=御法川修
プロデューサー=西健二郎
主題歌=鈴木慶江「月に寄せる歌」〜歌劇「ルサルカ」より(東芝EMI)
撮影=芦澤明子
出演=松田龍平、市川実日子、片山瞳、松田美由紀、柄本明
 
世界はときどき美しい
© 2006「世界はときどき美しい」製作委員会
 
[ストーリー]
 「野枝(松田)は、東京で暮らし始めて19年。11年間、絵画教室のヌードモデルをしている。最近体調を崩し、自分の肉体の衰えを感じ始めた。しかしその出来事は彼女に、今までにない感覚を与える。日常のふとした出来事に感動し、ときには道端に生えている草花を慈しむ。野枝は思う。すべてのものに命が宿っていることを実感したとき、人は自分自身をも受け入れていくのだと……。(『第1章 世界はときどき美しい』より)
 
[コメント]
 人という生き物は、自分自身がどんな意味を持つのかを探す旅をしている。その旅の途中には、多くの出会いや別れがあり、楽しいことつらいこと、さまざまな出来事がやってくる。それは決して美しいことだけじゃないけど、だからこそときどき本当の美しさが浮かび上がってくる瞬間があるのだと思う。この『世界はときどき美しい』では、5篇の異なる世界に様々な人の人生が浮かび上がってくる。限られた時間のなかで浮かび上がる人生は、多くを語るよりリアルにその人を映し出す。
 『第一章 世界はときどき美しい』では、ヌードモデル・野枝(松田美由紀)の独白と、彼女の目に映る映像が淡々と映し出される。ありのままの自分。衰えていく肉体。道端に宿る小さな命。そのシンプルな表現は、彼女が気づいた人生の意味を、圧倒的なまでに表している。何気ないことの大切さに気づいたとき、人は彼女のように強く美しくなれるのだろう。私も自分自身をまっすぐに見つめてみたい、この映画をみて改めてそう感じた。 (蛭)

それでも生きる子供たちへ
All the Invisible Children
2005年/イタリア・フランス映画/ギャガ・コミュニケーションズ配給/2時間10分
 
監督=ジョン・ウー、スパイク・リー、ジョーダン・スコット/リドリー・スコット
脚本=リー・チアン、サンキ・リー/ジョーイ・リー、ジョーダン・スコット
撮影=ゼン・ニエンビン、ジェームス・ウィテカー
出演=ザオ・ツークン、チー・ルーイー、 ジャン・ウェンリー、 ワン・ビン、ヨウ・ヨンロージー・ペレス、ハンナ・ホドソン、アンドレ・ロヨ、デヴィッド・シューリス、ケリー・マクドナルド、ジョーダン・クラーク、ジャック・トンプソン、ジョシュア・ライト
 
それでも生きる子供たちへ
 
[ストーリー]
 孤児であり、貧しいながらもおじいさんと幸せに暮らしていた小猫(シャオマオ)。裕福な家庭に生まれるも親からの愛に飢えていた桑桑(ソンソン)。桑桑は大事なフランス人形を母親に捨てられ、小猫はそのフランス人形を拾い、大切にする。対照的な2人が大都市北京で運命的な出会いを果たす……。(『桑桑と小猫』)ほか6編
 
[コメント]
 子供たちは、生きることの天才だ。大人の世界では絶望的な物事も、子供たちの世界では「スラム」は「遊び場」、「ゴミ捨て場」は「冒険の場」、「窃盗」は「ゲーム」に変わってしまう。
 紛争、ストリートチルドレン、HIVとドラッグ、少年兵士など、7つの国の子供たちの現実を、7つの国の監督たちがドラマチックに描くこのオムニバス映画は、1本の長編映画に勝るとも劣らない。
 「大人は誰も、昔は子供だった。でも、そのことを忘れずにいる大人はほとんどいない。」
 サンテグジュペリの言葉だ。
 忘れないでほしい。今、この瞬間も子供たちは生きのびるために闘っている。あなたが夕食をとっている間に、アフリカの子供が銃を手に取り、あなたが眠りに就くとき、ブラジル・サンパウロの子供はゴミを拾いに出かける。また、あなたが朝起きた時、中国・北京の路上で暮らす子供も朝日を見ている。
 そう、子供たちはそれでも生きている。 (河)

●ゲスト紹介
松田 美由紀 氏(Matsuda Miyuki)

 1978年映画『金田一耕助の冒険』(大林宣彦監督)でデビュー。
 主な出演作品は、映画『エレファントソング』、『元気の神様』(98年)、『のど自慢』(99年)、『クロエ』(99)年、TV「探偵物語」、「新・天までとどけ」シリーズ、「私立探偵・濱マイク」、「演技者〜マシーン日記」など。2005年には初舞台にあたる「ドレッサー」に出演。07年は、5本の短編からなる映画『世界はときどき美しい』、『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(松岡錠司監督)、『犯人に告ぐ』(瀧本智行監督)が公開。また、12月1日〜NHK土曜ドラマ「ひとがた流し」(池添博監督)のオンエアが控えている。
 演技の幅広い個性派女優であるとともに、「松田優作全集」のアートディレクションや、フリーペーパーの制作、編集、スチールカメラマンなど、制作活動も意欲的に行なっている。現在、カーエンターテインメントマガジン「GENROQ」(三栄書房刊)にて、写真連載掲載中。
 
西 健二郎 プロデューサー(Nishi Kenjiro)

 1961年生まれ、石川県出身。ビデオシネマの世界で、良質なプログラムピクチャーを量産する中から新鋭監督を輩出する一方、劇場用映画では一貫して深いテーマを掘り下げる野心的な企画をプロデュース。主な作品に、『東京原発』(2004年/山川元監督)や、モントリオール国際映画祭に正式出品された『イズ・エー[is A.]』(04年/藤原健一監督)、『き・れ・い?』(04年/松村克弥監督)などがある。

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