アニメの未来を切り開く STUDIO4℃

11月18日 「アニメの未来を切り開く STUDIO4℃」 (パルテノン多摩小ホール)

●Time Table●
12:00−13:43
14:20−16:11
16:30−18:14
18:14−18:55
マインド・ゲーム
鉄コン筋クリート
Genius Party(ジーニアス・パーティ)
トーク 湯浅政明氏、渡辺信一郎氏

チケット購入-> @電子チケットぴあ / ローソンチケット(Lコード: 35902) / その他

| プログラム一覧 | プログラム日程 |

マインド・ゲーム
2004年/STUDIO4℃製作/アスミック・エース配給/1時間43分
 
監督・脚本=湯浅政明
原作=ロビン西
音楽=山本精一
プロデューサー=田中栄子
音楽プロデューサー=渡辺信一郎
声の出演=今田耕司、前田沙耶香、藤井隆、たくませいこ、山口智充、坂田利夫、島木譲二
 
マインド・ゲーム
© 2004 MIND GAME Project
 
[ストーリー]
 初恋の幼なじみ、みょんちゃん(前田)に再会した西(今田)。彼女が姉のヤン(たくま)と営んでいる焼き鳥屋に招待されたまではよかったが、借金の取り立てにきたヤクザにあっけなく殺されてしまう。しかし、将来に未練たっぷりの西は、神様に逆らって再び現世に舞い戻る。とことんやると神様に誓った西は、ヤクザに追われて危機一髪のところで、今度はクジラに呑み込まれてしまう。そこで出会ったじーさん(藤井)はなんと、クジラの中で30年以上も暮らしていたのだった。
 
[コメント]
 本作品はロビン西のコミックを劇場版『クレヨンしんちゃん』などを手がけたアニメーター湯浅政明が監督として長編映画に初挑戦したものである。本編では、2Gアニメーションと3Gアニメーションに加え、声優を務めるキャストによる実写までも取り込まれているが、それぞれの持つ表現力が削がれずに混然一体となって、精神世界から市街地、宇宙まで一つの世界を描き出している。また主人公の「生」への執着から話が動き出すが、情けなくても下品でも暴力的でもその執着を拭い去れない、諦めきれない様子がさまざまな表現方法で怒涛のごとく押し寄せて、作品に限界を突破した勢いと躍動感と生命力をみなぎらせている。
 観終えたあとは、何かが体を通り抜けていったような気持ちになって、脱力すること間違いなし! (領)

鉄コン筋クリート
2006年/STUDIO4℃製作/アスミック・エース配給/1時間51分
 
監督=マイケル・アリアス
原作=松本大洋
脚本=アンソニー・ワイントラーブ
音楽=Plaid
声の出演=二宮和也、蒼井優、伊勢谷友介、宮藤官九郎、大森南朋、岡田義徳、森三中
 
鉄コン筋クリート
© 2006 松本大洋/小学館 アニプレックス、アスミック・エースエンタテインメント、
Beyond C、電通、TOKYO MX
 
[ストーリー]
 どこか日本の昭和のノスタルジーを感じさせる「宝町」。そこには未だに義理と人情とヤクザが蔓延っていた。その宝町に住まう二人の少年、クロ(二宮)とシロ(蒼井)。孤児の2人はかつあげや窃盗を繰り返し、毎日を過ごしていた。ある日、彼らの根城とする「宝町」に、外部から開発を進めようと地上げ、ヤクザ、殺し屋が介入し始める。クロとシロは町を守るために彼らに戦いを挑むが……。
 
[コメント]
 初めて観たときに感じたのは、映像から視聴者へ訴える力強さ。勢いだけの作品は多く存在するが、勢いがあり尚且つ深く考えさせる作品はそう多くない。『鉄コン筋クリート』はその数少ない一作品といえる。アニメーションだからこそ表現できる「宝町」。その風景は昭和の日本に類似しており、その「宝町」もまた開発という名目の元に、時代の流れに飲まれようとしていた。そこに立ち向かうクロとシロ。二人は孤児で、町が彼らを育てたといっても過言ではない。彼らは手段を選ばず、町を守るためなら暴力も躊躇うことなく行使する。二人は自らの行動に違和感を感じつつ、葛藤しながら町を守るため戦う。
 原作は松本大洋で、『ピンポン』『青い春』に続いて3作目の劇場作品となった。そしてその原作の魅力に感銘し、指揮をとったマイケル・アリアス監督。松本大洋の難しい世界観を忠実に映像化することに成功した。 (賢)

Genius Party(ジーニアス・パーティ)
2007年/Genius Party製作委員会製作/日活配給/1時間44分
 
監督=福島敦子、河森正治、木村真二、福山庸治、二村秀樹、湯浅政明、渡辺信一郎
プロデューサー=佐伯幸枝
音楽プロデューサー=渡辺信一郎
エグゼクティブ・プロデューサー=田中栄子
声の出演=柳楽優弥、菊地凛子、山口智充、矢部太郎(カラテカ)、栩原楽人、小倉久寛、岩井七世、三上博史
 
Genius Party
© Genius Party
 
[コメント]
 「制約は、ゼロ」。そのスローガンを元に、今現在、最も注目を集めているクリエイター7人が、それぞれ1作品を制作し、7つのオムニバス・ムービーとなったのが『Genius Party』である。作品を一つ一つ分けて考えて観るのも良いが、7つの作品を一つの流れとして観ても良い。7つの作品すべてが全く違った形のアニメーションとなっている。  音楽も素晴らしく、全作品に渡り、さまざまなジャンルの音楽が映像と見事に融合している。二千花のエンディングテーマも最後の締めとして、素晴らしい歌声に聴き入ってしまった。どの作品も個性があって魅力的だが、人によっては好き嫌いが出るかもしれない。しかし、それが『Genius Party』の良さでもある。この作品から自分の気に入った作品の監督さんの別の作品へと広げて観ても良いだろう。アニメの見本市のような作品であり、お得感のあるパーティ・ムービーに仕上がっている。 (賢)

●「STUDIO4℃」とは
 「EXTRA」/ケン・イシイや「サバイバル」/GLAYなどのミュージック・クリップや、「音響生命体ノイズマン」、「永久家族」などの短編、TV、「ナイキ」などのCMやプロモーション映像、ゲーム内ムービーなどを多数制作。劇場作品として大友克洋監督作『MEMORIES』(1995年)、川崎博嗣監督作『SPRIGUN』(98年)、片渕須直監督作『アリーテ姫』(2001年)、03年には映画『マトリックス』のサイドストーリー『アニマトリックス』でジャパニメーションのクオリティの高さを世界に見せつけた。

●ゲスト紹介
湯浅 政明 氏(Yuasa Masaaki)

 奇抜な発想と魅力的な作画で、多くのファンから愛される天才クリエイター。2004年にSTUDIO4℃で制作した初の長編監督作『マインド・ゲーム』では、ビジュアルのみならず演出・作劇面でもずば抜けた才能を発揮した。続く監督作はラブ&バイオレンス満載のTVシリーズ「ケモノヅメ」。今、アニメ界で最も熱い注目を集める気鋭のアーティストだ。1965年、福岡県生まれ。九州産業大学芸術学部美術学科を卒業後、亜細亜堂を経て、フリーのアニメーターとして活躍。代表作は「ちびまる子ちゃん」「クレヨンしんちゃん」「THE八犬伝[新章]」など。佐藤竜雄監督のOVA「ねこぢる草」では脚本・演出・作画監督を、森本晃司監督の『音響生命体ノイズマン』では作画監督・キャラクターデザイン・世界観設定を担当。奔放なイマジネーションを縦横無尽に展開し、やがてその独創性を監督として存分に発揮するようになる。一方、アニメーター湯浅政明へのラブコールは今も多く、『ドラえもん』の劇場新作や「サムライチャンプルー」などに参加している。
 
渡辺 信一郎 氏(Watanabe Shinichiro)

 クールな映像・音楽センスで、若い世代のファンから絶大な信頼を得ているアニメーション監督。1998年のTVアニメ「カウボーイビバップ」で一躍その名を知らしめ、劇場版『COWBOY BEBOP 天国の扉』も好評を博した。続く新感覚の時代劇アニメ「サムライチャンプルー」でも、奔放かつテイストフルな世界観を構築。また『THE ANIMATRIX』では全くタイプの違う2作品「A Detective Story」と「Kid's Story」の監督を務めた。1965年、京都府生まれ。サンライズに入社し、制作進行を経て演出家に。94年、OVA「MACROSS PLUS」で監督デビュー(共同監督)。
 音楽に造詣が深いことでも知られ、ジャズやヒップホップを効果的にアニメとコラボレートさせる演出スタイルは、音楽ファンやミュージシャンたちからも支持された。湯浅政明監督の『マインド・ゲーム』では音楽プロデューサーを務めている。

◆主催・お問合せ◆

   TAMA映画フォーラム実行委員会 / 財団法人多摩市文化振興財団

   〒206-0025
   多摩市永山1-5
   多摩市立永山公民館内
   事務局 TEL 080-5450-7204(直通)
   TEL: 042-337-6661 FAX: 042-337-6003