親愛なる人へ

11月25日 「親愛なる人へ」 (やまばとホール)

●Time Table●
10:45−12:52
13:40−14:40
14:55−17:17
17:30−19:30
パッチギ! LOVE & PEACE
トーク 井筒和幸監督、中村ゆり氏
東京タワー オカンとボクと、時々、オトン
フラガール

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パッチギ! LOVE & PEACE
2007年/「パッチギ! LOVE & PEACE」パートナーズ製作/シネカノン配給/2時間7分
 
監督・脚本=井筒和幸
脚本=羽原大介
撮影=山本英夫
照明=小野晃
音楽=加藤和彦
出演=井坂俊哉、西島秀俊、中村ゆり、藤井隆、風間杜夫、手塚理美
 
パッチギ! LOVE & PEACE
© 2007「パッチギ! LOVE & PEACE」パートナーズ
 
[ストーリー]
 1974年、アンソン(井坂)は病気の息子の治療のため、一家で京都から東京に移り住む。妹のキョンジャ(中村)は芸能プロダクションにスカウトされ、甥の治療費を稼ぐために芸能界入りを決意する。彼女は先輩俳優の野村(西島)と出会い、彼に恋心を抱く。息子の病状が悪化したアンソンは莫大な治療費を稼ぐため、無謀な計画を立て裏の世界の仕事へと突き進む。
 
[コメント]
 冒頭、国電内をところ狭しと展開する朝鮮高校と宿敵のライバル不良団との闘争シーンのただならぬ迫力に圧倒される。そしてこの井筒節とも言えるエネルギッシュな展開は2時間を越える全編を貫き、アンソン一家の破天荒の生き様を見事に描き出している。
 Web上の映画評を読んだところ、「反日映画だ」「在日を侮辱している」など相反するさまざまな意見があって興味深かったが、どれもこの映画を表面上でしか捉えていないように思えた。この映画はいかにして「生きていくか」ということがテーマで、「生きていく=家族の生活を営み続ける」ことを、70年代の在日の家族を描くことで浮かび上がらせているだけだ。裏を返して言えば、平和で恵まれた社会では、この人間の根源的な主題が見失われているのかもしれない。自分の家族に振り返って、家族の絆を改めて考えさせる作品である。
 最後に、初めての大役を全身全霊で演じきった中村ゆりの今後が本当に楽しみだ。 (淳)

東京タワー オカンとボクと、時々、オトン
2007年/「東京タワー〜o.b.t.o」製作委員会製作/松竹配給/2時間22分
 
監督=松岡錠司
原作=リリー・フランキー
脚本=松尾スズキ
撮影=笠松則通
音楽=上田禎
出演=オダギリジョー、樹木希林、内田也哉子、松たか子、小林薫
 
東京タワー オカンとボクと、時々、オトン
© 2007「東京タワーo.b.t.o.」製作委員会
 
[ストーリー]
 酔っ払いで自由奔放なオトン(小林)に見切りをつけて家を出たオカンとボク。オカンの妹の家に住まわせてもらい、オカンとボクとの生活が始まった。高校生になってからボク(オダギリ)は自堕落な一人暮らしが始まった。そんな生活は大学生のときまで続いたが、いつもオカン(樹木)が陰で支えてくれていた……。
 
[コメント]
 状況が自分と似ていて(勿論作者と比べて全然格好良くないけれど)、とても思い入れが強い作品であります。小説を既に読んでいたので、映画化と聞いたときは正直期待をしていませんでした。しかし、違いました。どんなに迷惑をかけても母は子を愛するものなのだ、そして、母が危機的状況になったとき、やっと母のありがたさがわかる……。それが切に伝わってきたのです。ところが、この作品のオカンはちょっと変(もっと変なのはオトンなのですが)。僕の母も少し変です。笑えるくらいおかしいのに、どうしてこうやって子を育て上げ、愛おしく思えてしまうのかが不思議でなりません。この作品のもう1つ魅力といえば東京の風景。あんなにも嫌っていた東京が、こんなにも素敵に見えるなんて思いもしませんでした。エンディングテーマが流れ始めたとき、想いがこみ上げ、一粒の涙が右目からこぼれ落ちました。右隣の席には、僕の母がいました。 (瑞)

フラガール
2006年/シネカノン、ハピネット、S・D・P提供/シネカノン配給/2時間
 
監督・脚本=李相日
脚本=羽原大介
撮影=山本英夫
音楽=ジェイク・シマブクロ
出演=松雪泰子、豊川悦司、蒼井優、山崎静代、岸部一徳、富司純子
 
フラガール
© 2006 BLACK DIAMONDS
 
[ストーリー]
 時代の変化によって、閉山の危機が迫る炭鉱町。友人に誘われてハワイアンダンサーに応募した紀美子(蒼井)は、東京から来た元トップダンサーのまどか先生(松雪)の厳しくも温かい指導の下、まもなく設立される「常磐ハワイアンセンター」で踊ることを目標に練習を重ねる。しかし、反対する母親(富司)にそのことがバレてしまい……。
 
[コメント]
 劇中、紀美子の兄がこうつぶやくシーンがある。「女は強ぇーなー」。そう、本当にこの作品に出てくる女性たちは強い。教室で鏡に向かい、ひたすら踊る紀美子。そこにスポットライトを夢見るバレリーナのような可愛らしさはなく、むしろ1秒でもタイムを縮めようとするランナーのように見える。借金取りに迫られても、助けようとする紀美子の兄の手は借りずに自らの力で立ち向かおうとするまどか先生。炭鉱夫に混じって、泥まみれになりながら働く紀美子の母。世代も境遇も様々な女性たちだが、彼女たちの持つ強さはしなやかさを兼ね備えていて、どんな困難に直面しても折れることがない。それは、柔らかな腰の動きを駆使し、聖母のような笑顔を浮かべつつも情熱的に踊るフラダンスと共通するものがあるように思えた。クライマックスのダンスシーンでは、紀美子の踊りを通じて、最初は反発し合っていたまどか先生と紀美子の母も同じ涙を流す。強く生きる女性たちの気持ちが、一つに溶け合った感動的なシーンだった。 (小)

●ゲスト紹介
井筒 和幸 監督(Izutsu Kazuyuki)

 1952年生まれ。奈良県出身。75年、高校時代の仲間と映画制作グループ「新映倶楽部」を設立、映画界入り。81年『ガキ帝国』で監督協会新人奨励賞を受賞。以降『岸和田少年愚連隊』(96年/ブルーリボン作品賞)、『のど自慢』(98年)、『ビッグ・ショー! 〜ハワイに唄えば〜』(99年)、『ゲロッパ!』(2003年)、そして各賞を総なめにした前作『パッチギ!』(05年)など、抒情性と痛快さをあわせ持つエンタテインメント作品を作り続けている。
 
中村 ゆり 氏(Nakamura Yuri)

 1982年生まれ、大阪府出身。主な映画出演作に『偶然にも最悪な少年』(2003年/グ・スーヨン監督)、『VETTER FRIEND』(04年/山口雄大監督)、『JUDE/ユダ』(04年/瀬々敬久監督)など。9月公開の『天国からのラブレター』(山口円監督)では主演を演じた。ほかに『さくらん』(07年/蜷川実花監督)などがある。

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