コンペティション

11月19日 「コンペティション」 (ヴィータホール)

●Time Table●
10:30−11:47
12:00−12:31
13:20−14:03
14:15−15:05
15:15−15:45
16:00−17:35
17:50−18:20

18:30−19:00
19:10−19:40
河の恋人
ロケットパンチを君に!
しにがみ
幸福なる食卓
SPICA
夜の話
ゲストコメンテーター講評
 山口雄大監督、本田昌広氏、山口幸彦氏
監督座談会
授賞式

河の恋人
2006年/DVCPRO/1時間17分
 
監督・脚本=杉田協士
撮影=松本岳大
音楽=赤犬
出演=表桐子、藤岡宏美、石原夏実、彩田真鈴、他
 
河の恋人
 
[作品紹介]
 16歳の少女、桐子は、母・妙子(35)と共に、長年住み慣れたアパートから引越す日を迎える。
 そこは、10年前に、突如として行方不明となった父の記憶と共にある場所だった。
 
杉田 協士(すぎた きょうし)監督

 1977年、東京・多摩市出身。2002年、映画美学校にて監督した16mmフィルムによる短編作品『月のある場所』が、渋谷ユーロスペースにてレイトショー上映される。
 その後、演出部として、黒沢清監督『風の又三郎』、『ココロ、オドル。』、篠崎誠監督『犬と歩けば』、熊切和嘉監督『揮発性の女』、熊澤尚人監督『虹の女神』、メイキングとして塩田明彦監督『カナリア』などに参加する傍ら、自主によるドキュメンタリー映画作りなどを続けている。
 
[メッセージ]
 自分の育った町で上映されるという、何とも気恥ずかしい事態となりましたが、貴重な時間を割いて友人たちが一緒になって作ってくれた、この『河の恋人』、上映できる機会を与えられて、とても嬉しいです。
 役者志望でも何でもなかったりするのに、部活や受験などで大人よりよっぽど忙しかったのに、付き合ってくれた女の子達に、感謝しています。
 上映当日は、残念ながら参加できませんが、自分なりに、あれやこれやと想像して、楽しみたいと思います。

ロケットパンチを君に!
2006年/DV/31分
 
監督・脚本=中野量太
撮影=千葉史郎
音楽=長阪浩成、大久保学、水流ともゆき
出演=河野弘樹、村上東奈、大塚祐也、牛水里美、西村智、岩井涼人、山本昌弘
 
ロケットパンチを君に!
 
[作品紹介]
 過去がイヤなら捨てればいい
 現実がイヤならロボットになればいい
 未来があるなら...生きればいい

 秀平が今を生きていくために選んだ方法は、ロボットになることだった。
 綾里が今を生きていくために選んだ方法は、自殺遊戯でリアルを感じることだった。
 現実は残酷だけど一番正直なもの。見えない居場所を探し、必死に生きようとする不器用な二人。そんな二人が、未来を生きるために最後に選んだ究極の選択とは...。
 ≪青春は、痛くて切なくて壊れそうなくらい繊細で爽やかなものなんだ≫
 
中野 量太(なかの りょうた)監督

 1973年、京都府出身。97年、地元の飲み屋のトイレに『映画監督になる』とマジックで書き残し上京、日本映画学校入学。3年間映画を学び、映画で遊ぶ。卒業制作『バンザイ人生まっ赤っ赤。』にて、日本映画学校≪今村昌平賞≫、第1回TAMA NEW WAVEグランプリ受賞。本作が6年ぶりの2作目。
 
[メッセージ]
 人間誰しも今を生きていると、ダメな自分、うまくいかない自分と出会い、自己を否定しなければならない時があります。人生は、そんな自己否定、自己嫌悪の克服の積み重ねなのかもしれません。かっこ悪くても、諦めてでも、誤魔化してでも、生きていてこそ人間。僕はそう思っています。

しにがみ
2005年/DV/43分
 
監督・脚本=榎本貴之
撮影=澤木亮
音楽=三武順
出演=榊聖隆、河野匡泰、竹中彩子、山本大地
 
しにがみ
 
[作品紹介]
 死神を見ることができるという特殊な能力を持った青年・時夫。
 ある時、時夫自身が死神に取り憑かれてしまう。
 時夫は様々な手段を講じて死神を祓おうとするが、なかなかうまくいかない。時夫は行き詰まり死を現実に意識するようになる。そして実際に自分の生死に直面したとき、元々自分が生きることに執着がないような気がしてきてしまう。そこで、死ぬことを免れる方法を探すことをやめ、生きている間にやりたいことを探し始める。自分はこれまで何を求めて生きてきたのか? 街を徘徊し、他人にも同じ問いを投げかける。しかし答えは出ない。
 そんな時ふと分かれた彼女に電話をかける。その時彼女に言われた一言で時夫の運命が変わりはじめる。
 
榎本 貴之(えのもと たかゆき)監督

 1977年、福岡県出身。中央大学法学部卒業後、2年間の会社員生活を経て東京映像芸術学院で映像制作を学ぶ。卒業後も同校出身の澤木亮らと自主製作を続ける。過去の作品に「出口/カーニバル」、「祈り」(CINE VIS CINEMA 2004優秀配信作品)など。
 
[メッセージ]
 人生の意味や目的を考えている人は多いと思います。僕は食べることが好きです。お酒が好きです。友達が好きです。映画もまあまあ好きです。一生懸命(?)考えていますが人生の意味や目的は僕には分かりません。でも、ごはんはおいしいです。一番です。

幸福なる食卓
2006年/DV/51分
 
監督・脚本=タテナイケンタ
撮影=ボクダ茂
音楽=榊原正吾
出演=篠原あさみ、加藤雅人、鈴木あゆみ
 
幸福なる食卓
 
[作品紹介]
 食品加工工場の事務員として平凡な毎日を送る節子(40)の唯一の生きがいは、誰かに手料理を食べてもらうこと。
 だがある日、付き合っていた同僚の男から一方的に別れを告げられてしまい、節子は“手料理を食べてくれる誰か”を失ってしまう。
 寂しさを紛らわすかのように、スーパーで万引きをする節子だったが、その夜節子のもとにスーパーの警備員加藤(26)が現れ、万引きをネタに襲われる。
 なんとか返り討ちにするが、自分に対して女を感じてくれた加藤に逆に惹かれ始めた節子は、次の日加藤のもとを訪れ声をかける。
 「夕飯食べに来ない?」
 
タテナ イケンタ(たてない けんた)監督

 1978年、青森県出身。弟の蓼内耕太と共にビックヘッズというユニット名で映画を制作。
 
[メッセージ]
 この間部屋を掃除していたら、この映画のアイデアを記したメモが偶然見つかり久々に目を通しました。懐かしさと同時に、どんな映画が出来るのか先が見えなくて不安だった思いが甦ってきました。撮影前から夢にうなされ、撮影が終わっても1ヶ月は夢にうなされ、完成してもなお、たまに夢に出てくるこの映画には本当に苦労させられました。難産です。でもその分思い入れも強く、今日こうして多くの方々に観て頂ける事になりとても嬉しいです。ありがとうございました。

SPICA
2005/HDV/30分
 
監督・脚本=白川幸司
撮影=井川広太郎
音楽=小松清人
出演=鈴木薫、福島拓哉、宮谷恵多、エミ・エレオノーラ
 
SPICA
 
[作品紹介]
 心臓移植をしなければ生きられない我が子を抱えた家族の一日を描く短編。父親は何とかしてドナー登録に無関心な人々の注目を浴びようと、テレビ公開コンサートの襲撃計画を立てている。母親は、苦悩の果て、もっと確実に我が子を助ける方法を実行していた。それは、ドナー待ちの子供達を殺害し、我が子の「移植順番待ちリスト」の順位を繰り上げる事だった。追いつめられた家族の一瞬の幸せと残酷な結末を描き、「人間とは何か」をテーマにしています。オーバーハウゼン国際短編映画祭インターナショナル・コンペティション部門ノミネート。
 
白川 幸司(しらかわ こうじ)監督

 1967年、宮崎県出身。映画評論家トニー・レインズ氏に「その年の日本映画界最大の発見」と見出されて以来、すべての作品がバンクーバー国際映画祭ほかロッテルダム国際映画祭や香港国際映画祭をはじめ、ドイツ・オーストラリア・アメリカ・韓国・イタリア・タイなど数多くの国で作品が上映されている。愛知芸術文化センター制作『眠る右手を』では3時間半にも及ぶ人間群像劇を描き、2003年キネマ旬報81位にランキング。
 ミュージカル短編『マチコのかたち』では、韓国JuMF2004にてグランプリ受賞。
 
[メッセージ]
 何度も書き直した脚本を、撮影現場で捨て、即興性を取り込んで演出後、編集段階で再構成という行程で完成しました。その為、観客は、作品上の小さい星屑の様な記憶の断片を集めていき、ラストの暗転する瞬間に、その集めた光を結晶化させて欲しいと願います。後は、エンドロールのピアノ曲に身を委ねて下さい。

夜の話
2006年/DV/1時間34分
 
監督・脚本=田中智章
撮影=江口佑
監督補佐=村山圭吾、金鋼浩
衣装協力=稲葉弥生
音楽=あらかじめ決められた恋人たちへ
出演=細江祐子、浜田麻希
 
夜の話
 
[作品紹介]
 大阪下町。家電会社販売計画室勤務の夕子は30歳。かつて家族で過ごした家に今も一人で暮らす。そんなある日、父の死後音信不通だった妹の佑菜が訪ねてきた...。始まる生活。退職し社会に居場所を見つけられぬ焦りから精神的に追いつめられる妹。社会に違和感を持ちつつも順応する姉。そんな二人の生活は長くは続かなかった...。
 
田中 智章(たなか ともふみ)監督

 1976年、鹿児島生まれ大阪育ち。関西大学卒業後、就職難を機に独学で映画制作開始。『月は夜空に花は根に』第8回水戸短編映像祭準グランプリ。翌年『放課後ノート』同映画祭、グランプリ。脚本『高気圧ガール』サンダンスNHK国際映像作家賞日本部門2005優秀賞。現在、商業映画脚本執筆の傍ら自身の監督作を準備中。
 
[メッセージ]
 社会に悲観し背を向けていた時期に撮りました。だからなのか姉妹の背中ばかりが出てきます。にも関わらずちゃんと作品が成立し、観た後にちゃんと希望が残る作品になったのは、魅力的な役者さんとスタッフの力です。監督の小さな自我なんかより役者スタッフの力はよほど偉大なのです。それに気付かせてくれた大切な作品です。

●ゲストコメンテーターの紹介
山口 雄大(やまぐち ゆうだい)監督

 1971年生まれ。日本映画学校卒業。94年『ダサくて、エグくて、ズルいあいつら』が第1回インディーズフィルムフェスティバルで入選。その後第2回、第3回と連続入選を飾る。北村龍平監督作『VERSUS ヴァーサス』に共同脚本と第2班監督として参加する。2003年に『地獄甲子園』でデビュー。その後も『ババアゾーン(他)』のなど話題作を手がけている。最新作は『MEATBALL MACHINE』。
 
本田 昌広(ほんだ まさひろ)氏

 1980年成城大学文芸学部卒業。同年、電通映画社(現・電通テック)CM演出部入社。85年退社後、99年株式会社パノラマ設立。CM受賞作多数。
 映画監督作品『良いおっぱい悪いおっぱい』『バカヤロー2』『クリックシネマ・好き』など。 06年2月ショートフィルム配信サイト『短篇jp』(http://tan-pen.jp)にて、オリジナル作品の企画・製作を開始。10月オムニバス映画『ハヴァ、ナイスデー』は、ユーロスペース等で劇場公開。
 
山口 幸彦(やまぐち ゆきひこ)氏

 プロデューサー。主なプロデュース作品は、
 『援助交際撲滅運動』(01・鈴木浩介監督)
 『もうひとりいる』(02・柴田一成監督)
 『怪談新耳袋 劇場版』(04・佐々木浩久監督ほか)
 『まいっちんぐマチコ!ビギンズ』(05・鈴木浩介監督)
 『MEATBALL MACHINE』(06・山口雄大監督)
 『怪談新耳袋 ノブヒロさん』(06・豊島圭介監督)
 『コワイ女』(06・雨宮慶太、鈴木卓爾、豊島圭介監督)ほか。