日本映画NEW WAVE

11月18日 「日本映画NEW WAVE」 (ヴィータホール)

●Time Table●
12:30−12:49
13:10−14:37
15:00−16:42

17:10−18:54
19:00−19:40
渦中のひと
恋鎖
新作プレビュー「オセロ」(短編)
お散歩・冬の幽霊
猫目小僧
監督によるトーク

渦中のひと
2005年/HD/19分
 
監督・脚本・編集=伊刀嘉紘
企画=TAMA CINEMA FORUM
制作=金青黒(SABIKURO)
撮影=永野敏、国松正義
音楽=鶴見幸代、Anonymass、中原達彦
出演=田中哲司、菜摘りお、延堂庸子、藤崎卓也
 
渦中のひと
 
[ストーリー]
 14階でエレベーターを降りて正面の部屋。震える指で私は呼び鈴を鳴らす。かつて愛しあった男の新居。いまは別の女と暮らしてる。男は迷ったすえに私をなかに請じ入れるだろう。そしてベランダに出た私の背後から胸もとに手をまわし、私にキスすることになる。そのとき向かいのビルに潜んでいる私の企みに気が付きさえしなければいい。それですべてうまくいく。すべて……。
 
[コメント]
 第5回TAMA NEW WAVEグランプリを獲得した伊刀監督の才能をたっぷりと堪能できる! 見る者を虜にする妖艶でいてコミカルな作品。 (おざ)

恋鎖
2005年/DVCAM/1時間28分
 
監督・脚本・撮影=西條雅俊
音楽=袖岡隆泰、SURGERYAFRO
出演=生野零士、清水美玖、吉村康宏、石川美帆、中村研太郎
 
恋鎖
 
[ストーリー]
 柏木は、不思議な現象に見舞われていた。体が17歳まで若返っているのだ。実年齢は29歳。若返った理由は直感的にわかる。—「初恋を忘れたから」理由がわかれば心も晴れやか。今日も軽薄な恋愛を繰り返す。ある日、清楚な女が訪ねてくる。柏木をストーキングする由美の姉、祥子だ。入れ込む妹を見かねて答えを聞きにきたのだ。だが、柏木は祥子を手篭めにしようと迫る。最初は拒む祥子だが、やがて身をゆだね始めた。それが思わぬ展開の序章だと、誰が予想出来ただろう……。
 
[コメント]
 この映画はラブストーリーなんかではない。「恋愛映画」である。印象的なセリフの数々、魅力的な出演者の面々。そして、見ている者の恋愛経験やら恋愛観。それらが複雑に絡み合い「あぁ恋愛したいな。」と動機づけさせる一作なのである。 (愛)

お散歩
2005年/DV/49分
 
監督・脚本=松田彰
撮影=飯野歩
音楽=斉藤哲也(Nathalie Wise)
出演=村田 牧子、鍋山晋一
 
お散歩
 
[ストーリー]
 とある夏の日、オトコがオンナの部屋を訪ねる。1週間ぶりに会う二人は散歩に出かけた。とりとめない会話を続ける二人。彼女の本当の気持ちを彼は知りたいけれど、どうしていいかわからない……。

冬の幽霊
2005年/DV/43分
 
監督・脚本・撮影=松田彰
音楽=黒木千波留
出演=村田牧子、多智花孝彰、最上佐和子、加藤大我
 
冬の幽霊
 
[ストーリー]
 とある冬の日、結婚を間近に控えたアタシの前に、ある日突然死に別れた元彼が現れた。友人・丸子にも見当がつかない。なにか理由があるハズ。その『理由』を求めて、三人の道行きが始まる……。

新作プレビュー
オセロ(短編)
 
オセロ
 
[作品紹介]
 千葉県四街道市の地域密着型映画づくり推進プロジェクト「手づくり映画屋さん」〜実践編〜と題して、映画撮影をすべて見せるという題目と様々な条件下のもと撮影された作品。
 
[コメント]
 松田監督はどんな題材も完璧に料理する。『お散歩』主演の二人の驚くべき自然さには脱帽! 新作『オセロ』では制約のあるなかでどんなものを生み出してくるか非常に楽しみである。 (黒)

猫目小僧
2005年/35ミリ/アートポート配給/1時間44分
 
監督=井口昇
原作=楳図かずお
脚本=安田真奈
撮影=喜久村徳章
出演=石田未来、田口浩正、載寧龍二、向江流架、つぶやきシロー、伊藤さやか、竹中直人、くまきりあさ美、津田寛治
 
猫目小僧
 
[ストーリー]
 左頬に大きなあざがある姉まゆかと、ぜんそくに悩む弟、浩は猫目小僧に出会った。不思議な治癒力をもつ猫目小僧のつばにより、あざとぜんそくが治った兄弟は明るい生活を送り始めた。しかし、周辺で奇怪な事件が起こり始め……。
 
[コメント]
 楳図かずおの傑作漫画を実写映像化!
 ちょっと太めだけれど、がんばれ、猫目小僧! (治)

●監督紹介
伊刀 嘉紘(いとう よしひろ)監督

 1970年生まれ、愛知県出身。現在は東京在住。主な作品に『100匹目のサル』『笑う胃袋』『イマジナリーライン』『梅心中』『SEXTET』など。『笑う胃袋(2004年完成版)』で第5回TAMA NEW WAVEグランプリ受賞のほか、みちのく国際ミステリー映画祭オフシアター部門グランプリ、Asian International Film Festivalグランプリ、釜山アジア短篇映画祭など多数の映画祭で入選。
 
西條 雅俊(にしじょう まさとし)監督

 1975年長野県出身。大学卒業後、自主映画製作集団西條組を立ち上げる。「そして、一人きり」が神奈川県映像コンクール最優秀賞を受賞。以降の作品も数々の映画祭などで評価を得る。『恋鎖』は第6回TAMA NEW WAVEで審査員のディレクター高橋陽一郎氏から”新しい映像言語”と評され、高橋陽一郎賞を受賞。本年秋にシネマアートン下北沢にて劇場公開を果たす。次回作の短編『お前に雨は降ってない』が間もなく完成。本格派監督として今後の活躍を期待させる。
 
松田 彰(まつだ あきら)監督

 1967年大分生まれ。8mm長編作品『餓鬼の季節』が97PFFアワード審査員特別賞を受賞。16mm長編作品『夢の祭』はあきた十文字映画祭最優秀グランプリを受賞。2005年に完成した『お散歩』は第6回TAMA NEW WAVEグランプリほか海外の映画祭で数々の受賞を経て、この夏『冬の幽霊』と共にシネマアートン下北沢にて劇場公開。好評を博した。
 
井口 昇(いぐち のぼる)監督

 1969年生まれ。劇団大人計画の舞台では個性派俳優、AV界ではカリスマ監督、そして一般映画ではカルトな映像作家として多岐にわたって活躍する。監督作に『クルシメさん』(98年)『恋する幼虫』(2003年)『卍』(06年)など。『恋の門』(04年)『さよならCOLOR』(05年)では役者として出演。本作は『楳図かずお恐怖劇場 まだらの少女』(05年)に続く楳図作品の映画化となり、その思い入れの深さが窺える。
 
安田 真奈(やすだ まな)氏(脚本)

 1970年生まれ、奈良県出身。大学時代から映画を撮り始める。卒業後、メーカー販促部門に総合職として勤めながら、年1〜2本撮り続ける。16ミリで撮影したOLが主人公の群像劇『オーライ』(2000年)で「OL映画監督」として各方面に取り上げられ、話題となる。02年秋、退職して監督・脚本に専念する。
 『オーライ』が第1回TAMA NEW WAVE特別賞受賞。上野樹里主演の新作『幸福のスイッチ』が今秋劇場公開。