今だからこそ8ミリ映画!

11月25日 「今だからこそ8ミリ映画!」 (ベルブホール)

●Time Table●
12:30−13:24
13:45−14:55
15:00−15:30

16:00−18:30







16:00−19:10
犬猫
闇打つ心臓(1982年オリジナル版)(*)
トーク 井口奈己監督、長崎俊一監督、
    司会:大久保賢一氏(映画評論家)
うずまきの彼方へ
福笑いぃ太陽
あのコがいねぇ(*)
【over8特別セレクション】
days of(*)
ラーメン(*)
結晶都市(*)
Sole wa Sole ソレハソーレ(*)
監督によるトーク
(*)の作品はDVDまたはビデオでの上映になります

犬猫
2001年/8mm/1時間24分
 
監督=井口奈己
撮影・録音=鈴木昭彦
プロデューサー=井口健子
出演=小松留美、塩野谷恵子、鈴木卓爾、川原啓介、阿部美奈子、小林花よ、矢口史靖、猫田直
 
犬猫
 
[ストーリー]
 「長らくお世話になりました。私、これでおいとまさせていただきます」
 ある日突然スズは、一緒に暮らしていた古田のもとを去る。ぽかんと見送る古田。行くあてのないスズは、女友達のアベちゃんの部屋に転がりこもうとする。が、アベちゃんは明日から中国へ旅立つところ。半年の間ヨーコが留守を預かって住む約束がすでにかわされていた。スズとヨーコは中学時代からの知り合い。なぜかいつも同じ人を好きになるので嫌い合っていた仲だ。ひとつ屋根の下で暮らすなんて、できるのか……? 女二人と二匹の猫の暮らしはこうして波乱への予感たっぷりに始まった。
 本作は山田宏一氏らの絶賛を受け、2002年レイトショー上映を果たして、観客の心に刻まれた「伝説の映画」になった。その後、井口監督自身による35ミリ版のリメイク(出演:榎本加奈子、藤田陽子、西島秀俊、小池栄子ほか)が制作・公開され、多くの新しいファンが誕生した。

闇打つ心臓 1982年オリジナル版
1982年/8mm/1時間10分
 
脚本・監督=長崎俊一
撮影=武藤起一
助監督=諏訪敦彦
撮影助手=川崎欣也、国松達也
音楽=大友良英
出演=内藤剛志、室井滋、諏訪太郎、水島かおり、遠藤憲一
 
闇打つ心臓 1982年オリジナル版
 
[ストーリー]
 自分たちの幼い子供を殺して逃げる若い男・リンゴォと女・伊奈子。友人である島本の斡旋で空きアパートの一室に転がり込む2人だが、犯してしまった過ちに苦しみ、もがき、2人は自分自身に追い詰められてゆく…。リンゴォと伊奈子は、苦しみから逃れるように、狭く、暗いアパートの一室で互いを慰め合い、そして過去を語り始める。
 『闇打つ心臓』は、80年代インディーズ映画界のトップランナー、長崎俊一監督が1982年に制作し、文芸坐にて公開された自主映画。当時8ミリによって活発に作られていたインディーズ映画の中でも傑作と称される鮮烈な作品。主役の男女2人を演じたのは、まだ20代だった俳優の内藤剛志と室井滋である。その伝説的な作品の後日談を、23年の時を経て長崎監督が自らメガホンを取り、35ミリ映画『闇打つ心臓 Heart, beating in the dark』として制作、2006年公開された。

うずまきの彼方へ
2006年/8mm(シングル8)/16分
 
監督・脚本・撮影・出演=山崎幹夫
 
うずまきの彼方へ
 
[作品紹介]
 JR羽村駅前にある史跡「まいまいず井戸」。所在地の地番「羽村市五ノ神」にちなんで、そのうずまきを5倍ずつ拡大していって出口にあたる場所で撮影していく。すると北海道の「ホロカヤントー竪穴遺跡群」につながった。妄想はさらに銀河のうずまきにいたるまで膨らんでいく。
 
[監督プロフィール]
 1959年立川市生まれ、東村山市育ち。まずは被写体として8ミリに出会う。中学生のときに家にあった8ミリカメラで映画ごっこを始め、そのままやり続けて今にいたる。
 ホームページ:http://www.ne.jp/asahi/muen/press/
 ブログ:http://blog.goo.ne.jp/gootari/

 あなたにとって8ミリフィルムとは:夢見る宝石

福笑いぃ太陽
2005年/8mm/38分
 
監督・脚本=母袋暁野
制作=内山博登
撮影=金澤麗奈
音楽=po,poyans
出演=奈良福子、内山博登、母袋暁野
 
福笑いぃ太陽
 
[作品紹介]
 山間にポツンと在る見晴らし小屋が、ダム建設のため水に沈もうとしていた。見晴らし小屋の管理人さんは一人の女の子・福ちゃんの記憶を守り、残酷な太陽の使者・狩人は刻々と時間を進め福ちゃんの記憶を奪おうとする。話してくれたら話せる、思い出す。お話はおはなしになっていく。
 
[監督プロフィール]
 1984年生まれ。多摩美術大学映像演劇学科在籍。po,poyansとして音楽・映像作品の制作を中心に活動中。

 あなたにとって8ミリフィルムとは:一瞬に憧れ続けられる装置

あのコがいねぇ
2002年/8mm -> DV/30分
 
監督・脚本=高柳元気
撮影=小笹宣人
音楽=Theピンチ、the swiss porno
出演=ミギタ明日香、秋元ユイ、佐々木慎一、高柳元気、山中直樹、北澤糊子
 
あのコがいねぇ
 
[作品紹介]
 仲が良くて旧い3人組、セイタ、ホシケン、山ちゃんは、千葉のある田舎街に住んでいる。
 ある日、山ちゃんは街一番の極悪”キー坊”の女、”サンディー”に恋をする。キー坊の恐さを知るホシケンはその恋をあきらめることをすすめるが……。
 
[監督プロフィール]
 大学在学中より自主映画制作を始め、『あのコがいねぇ』(2002)が「第25回ぴあフィルムフェスティバルPFFアワード2003」他、数々の映画祭に入選。その後、劇場用映画『日が暮れても彼女と歩いてた』を制作し、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2006ヤング・ファンタスティック・コンペティション部門に正式出品される。

 あなたにとって8ミリフィルムとは:挑発的な相棒

days of
2006年/8mm -> DV/9分
 
監督・脚本=福島拓哉
撮影=蔭山周
音楽=関口純、est
出演=中村裕美、玉一敦也
 
days of
 
[ストーリー]
 今ではない時代、ここではない何処か。四つの部族で構成される森の中の街に住むカテ族のミコは、自分がソトノヒトの血を受け継ぐ者だと知らされ、追われる身となる。森を越えソトノマチへと逃亡するミコを、フルキヒトの頭領・アメが見ていた…。壮大な世界観をベースに、アクションとエクスペリメンタルな音響で逃亡劇を描いた、サイケデリックな体感映画。
 
[監督プロフィール]
 72年埼玉県出身。P-kraft所属。石井聰互監督に師事した後、クリエーター集団P-kraftを設立、以後活動の拠点とする。01年『PRISM』でデビュー。公開劇場の動員記録を樹立する。代表作に『JAM』『自由』『the point(2,8,16)』など。最新作は7月に『クロス・ザ・レンズ〜福島拓哉特集』として公開された長編ドキュメンタリー『クロス・ザ・レンズ』(出演:浅野忠信ほか)。俳優としても活動中。
 詳細情報:http://www.p-kraft.com/

 あなたにとって8ミリフィルムとは:選択肢の一つ

ラーメン
2006年/8mm -> DV/10分
 
監督・脚本=前田弘二
撮影=蔭山周
出演=赤土万寿子、宇野祥平
 
ラーメン
 
[作品紹介]
 最近、温暖化が進み、あまりの暑さに部屋では全裸で過ごす女・エリ。そんなエリのもとに、謎のラーメン屋の男がネギ抜きのみそラーメンを届けにやってくる。
 
[監督プロフィール]
 78年鹿児島県種子島出身。種子島実業高校電気科卒業後、美容師として三重県「マコー美容室」に2年働き退社。自主映画を撮り始める。05年『部屋』がひろしま映像展2005グランプリ&演技賞W受賞。06年『古奈子は男選びが悪い』が第10回水戸短編映画祭グランプリ。現在長編劇場映画『結婚万歳!』『美女物語』を準備中。来年3月末より1週間、『女 〜前田弘二監督特集〜』テアトル新宿にてレイトショー上映!!

結晶都市
2006年/8mm -> DV/10分
 
監督・脚本・撮影=品川亮
出演=派谷恵美、パルコキノシタ
 
結晶都市
 
[作品紹介]
 ある時、ある街に、醜い中年警備員と美しい盲目の少女がいた。警備員は、毎日出会う少女の前でだけ、生きる喜びを感じることができる。ところがある朝、少女は手術を受けると彼に告げる。これでようやく彼の姿を目にできると。この世のものならぬ魔の映画…!
 
[監督プロフィール]
 70年東京都出身。Spleen Films主宰。長編『亡霊極道』を2005年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター部門に出品。現在、月刊誌スタジオ・ボイス編集部勤務。

Sole wa Sole ソレハソーレ
2006年/8mm -> DV/8分
 
監督=川野弘毅
脚本=浅沼晋太郎
出演=藤崎卓也、押野大地ほか
 
Sole wa Sole ソレハソーレ
 
[作品紹介]
 善と悪の境が不透明な時代。リストラ中年のオレが選んだ再就職先はショッカー戦闘員。今日も若造の戦闘員にこき使われ、戦闘スーツのお洗濯。平和なもんだ。しかし退屈だな、この仕事。日給は…内緒。あ、またドジ踏んじまった! と思ったら、心優しき青年に助けられた。ラッキー! まだまだこの世も捨てたもんじゃないね。ところで青年、あんたいったい何者?
 
[監督プロフィール]
 72年静岡県出身。JET MANIA代表。武蔵野美術大学在学中より映画製作・出演を開始し、佐藤信介監督『寮内厳粛』『正門前行』に出演。その後、市川準監督『東京夜曲』に抜擢され、現在までに多数の映画に出演。監督として『夏目』『雪虫』の連作を発表。主な出演作に『ざわざわ下北沢』(市川準監督)『美しい夏キリシマ』(黒木和雄監督)『誰がために』(日向寺太郎監督)『魂萌え』(阪本順治監督)など

 あなたにとって8ミリフィルムとは:『アレ・ブレ・ボケ&ハート』

●ゲスト紹介
井口 奈己(いぐち なみ)監督

 1967年、東京生まれ、若者文化の枯れはてる土地、上野、御徒町、秋葉原のトライアングルに育つ。幼少の頃からのプロレス、格闘技好きで生っ粋の猪木信者。
 映画は夏休みに山口百恵と三浦友和のゴールデンコンビ物を観る程度ながら、日曜日にさよなら、さよなら、さよならで有名な淀川長治氏の解説によるTV番組を欠かさず視聴し、かわいい女の子が出ているという基準で映画を選ぶようになる。
 深夜番組に出演中のかわなかのぶひろ氏が個人の好みで映画を作ってもいいという事をおっしゃっていて、ショックを受け20才の時イメージフォーラム付属映像学校に入学。
 某情報誌のはみだし記事に「映画の仕上げを手伝ってみませんか? 素人可」を発見し電話をして今すぐ来て下さいと言われ、その日以降自主映画の現場に参加するようになり、その時録音をしていた鈴木昭彦氏の助手としていろいろな映画の現場に参加するようになる(『三月のライオン』(矢崎仁司)、『トパーズ』(村上龍)、『地獄の警備員』(黒沢 清)、『裸足のピクニック』(矢口史靖)、『波』(奥原浩司))『犬猫』はシナリオを書いて映画を撮った初めての作品で、PFFアワード2001入選、企画賞(TBS)、2002年には日本映画プロフェッショナル大賞の新人監督賞を受賞。
 
長崎 俊一(ながさき しゅんいち)監督

 1956年、神奈川県生まれ。高校時代より8mmで自主映画を撮り始め、日本大学芸術学部映画学科在学中の78年に撮った16mm作品『ユキがロックを棄てた夏』が「ぴあ」の自主制作映画展(現在のPFF)に入選し、そのスタイリッシュな演出と卓抜した人間描写で一躍注目を浴びる。その後、『ハッピーストリート裏』(79)などが映画評論家の絶賛を受け、82年、ATG作品『九月の冗談クラブバンド』で劇場用映画デビュー。86年にはロバート・レッドフォード主宰のサンダンス・インスティテュードに日本人として初めて招かれる。その時の経験を基に、帰国後、サイコ・サスペンス『誘惑者』(89)を発表、バンクーバー映画祭、シドニー映画祭などに招かれたほか、ニューヨークでは劇場公開された。時流に流されることなく、自分の撮りたい、心の壁を照射するような題材を追い求めつづけ、『ロックよ、静かに流れよ』(88)、『ナースコール』(93)、『死国』(99)などの話題作から、「柔らかな頬」(01/BS-i)、「李歐」(01/WOWOW)といったTVドラマに至るまで、常に完成度の高い評価を集めている。その他の代表作に映画『ロマンス』(96)、『ドッグス』(99)、『8月のクリスマス』(05)などがある。
 
司会:大久保 賢一(おおくぼ けんいち)氏

 1950年生まれ。大学時代に映画の上映活動、16mm映画制作(担当は製作)をし、75年に原正孝(現・原将人)らと雑誌「NEW CINEMA EXPRESS」を刊行、多くの自主映画を上映。80年代にかけて“ぴあフィルムフェスティバル”の審査に関わり、多摩芸術学園、多摩美大の教師にもなって多くの作家に出会う。 ロッテルダム、ボンベイ、ダマスカス、仏クレルモン・フェラン、カンヌ、ベルリンなどの映画祭に、日本映画上映の手伝い、審査員、プレスとして出かけてさらにたくさんの面白い作家と出会う。
 著書:「カルチャースタディーズ映画:二極化する世界映画」(朝日出版社)ほか

【over8特別セレクション】とは
 短篇オムニバス映画の常識を覆す、魑魅魍魎あふれる妖艶怪奇な映像世界。
 条件は3つ。近未来の物語を、8ミリフィルムで撮影し、デジタルビデオで仕上げること。新世紀に活躍する若手監督9人が、ノスタルジーではなくあくまでアクチュアルな表現手段としてこの制約に挑戦した結果が、このオムニバス映画『over8』です。今回は4作品をセレクトしての上映。
 ■1/27よりシネマアートン下北沢にて公開(配給:over8+シネマアートン下北沢)