昔もあったよ実写映画

11月27日 「昔もあったよ実写映画」 (ベルブホール)

●Time Table●
13:00ー14:33
14:50ー16:12
16:30ー18:01
ゴルゴ13 九竜の首
ルパン三世 念力珍作戦
空手バカ一代

ゴルゴ13 九竜の首
1977年/東映(京都撮影所)製作/東映配給/1時間33分
 
監督=野田幸男
脚本=中島信昭、杉本功
撮影=赤塚滋
音楽=伊部晴美
出演=千葉真一、嘉倫、ジェリー伊藤、志穂美悦子、鶴田浩二
 
ゴルゴ13 九竜の首
 
[ストーリー]
 麻薬シンジケートの黒幕で香港の大物、周雷峰暗殺を依頼されたゴルゴ13(千葉)は、香港に潜入する。不穏な動きを察知した香港警察は、女刑事・林玲(志穂美)を組織に潜入させるが逆に捕らえられてしまう。厳しい警護のなか、周を狙撃しようとするゴルゴだが、周は別の狙撃者によって射殺されてしまうのだった。
 
[コメント]
 監督の野田幸男は梅宮辰夫主演の『不良番長』シリーズでアクションコメディには定評のある監督である。本作にはコメディ的要素は少ないものの、主役に千葉真一を据えたこともあってアクション性の高い仕上がりとなっている。同じ実写版としては高倉健主演の『ゴルゴ13』も有名だが、《静》の高倉ゴルゴに対して《動》の千葉ゴルゴという印象が強い。原作自体、高倉健をイメージして作画されたと言われるだけあって印象としては高倉ゴルゴに及ぶべくもないが、その分、メイクや千葉の役作り(ナリキリ度)には努力の跡がうかがわれ一見の価値がある。また、日本映画として、香港ロケを本格的にやった画期的な作品でもあった。 (竹内)

ルパン三世 念力珍作戦
1974年/東宝、国際放映製作/東宝配給/1時間22分
 
監督=坪島孝
脚本=長野洋
撮影=市原康至
音楽=佐藤勝
出演=目黒祐樹、田中邦衛、江崎英子、安西マリア、伊東四朗、前川清、大泉滉
 
ルパン三世 念力珍作戦
 
[ストーリー]
 ルパン二世が築き上げたルパン帝国最後の生き残り、次元大介(田中)はルパンの末裔ルパン三世(目黒)を日本に捜しに訪れ、無事再会を果たす。目の部分に光る石を埋め込んだ秘宝「遮光器土偶」の移送計画を知ったルパンたちは世界中の暗黒組織と熾烈な強奪合戦を繰り広げることになる。
 
[コメント]
 原作は言わずと知れたモンキー・パンチの原作コミックであり、全編にギャグやパロディが散りばめられた実写映画珍品中の珍品。ルパンを目黒祐樹、次元を田中邦衛、銭形警部を伊東四朗が演じていることはもとより、天本英世、塩沢とき、大泉滉ら豪華カルト俳優が出演、元東宝特撮の流れを継いだ東宝映像の協力による特撮も随所で使われるなどまさに見所満載の一作である。
 監督の坪島孝は1960年代に『クレージーだよ奇想天外』など一連のクレージーシリーズを手掛けるなど戦後日本の喜劇映画を支えてきた監督の一人であり、音楽は『隠し砦の三悪人』『用心棒』『赤ひげ』など黒澤映画を代表する日本映画音楽界の巨匠、佐藤勝が担当していることも見逃すことができない。企画者である赤塚不二男が仕掛けた、まさに「珍作戦」といってよいであろう。ルパンファンならずとも一見の価値のある怪作である。 (竹内)

空手バカ一代
1977年/東映(東京撮影所)製作/東映配給/1時間31分
 
監督=山口和彦
脚本=掛札昌祐
撮影=中島芳男
音楽=鏑木創
出演=千葉真一、本郷功次郎、夏樹陽子、室田日出男、志賀勝
 
空手バカ一代
 
[ストーリー]
 大山倍達(千葉)の興行価値に目をつけた、プロモーターのタッド若松は、沖縄でプロレスと試合をするよう勧める。多額の借金を背おっていた大山は柔道の藤田修造(本郷)とともに巨漢プロレスラーを連破していくのだが、暗黒街のボスから命を狙われるはめになってしまう。
 
[コメント]
 「少年マガジン」連載、梶原一騎・影丸譲也原作の同名漫画を映画化。『けんか空手 極真拳』『けんか空手 極真地獄拳』に次ぐ、大山倍達の波乱にとんだ半生を描くシリーズ第3弾である。前作、前々作に引き続き千葉真一が気合入りまくりの演技を見せる。原作からして荒唐無稽な内容であるが、“アクションバカ”の千葉真一が演じる“空手バカ”の大山倍達はその手のマニアには堪らないシリーズとなっている。
 スタッフとしては実写映画の珍品として名高い『ドカベン』の掛札昌祐が脚本をつとめ、監督の山口和彦は本シリーズ以外にも『こちら葛飾区亀有公園前派出所』『サーキットの狼』など漫画を原作とした実写化の作品を多く手がけている監督である。本作最大のヤマ場であるプロレスとの格闘シーンでは、当時の“世界タッグチャンピオン”リップ・タイラーとエディ・サリバンが特別出演していることも話題となった。 (竹内)