親子で楽しむアニメーション

11月21日 「親子で楽しむアニメーション」 (ベルブホール)

●Time Table●
13:00ー14:10
14:25ー14:55
15:15ー16:47
プリンス&プリンセス
ミトン
トッポ・ジージョのボタン戦争

プリンス&プリンセス
Princes et Princesses
1999年/フランス/ワイズポリシー、ツイン共同配給/1時間10分
 
監督・脚本=ミッシェル・オスロ
アニメーター=リオネル・ケルジャンほか
音楽=クリスチャン・メイル
日本語吹き替え=原田知世、松尾貴史
 
プリンス&プリンセス
 
[ストーリー]
 囚われの身となったプリンセスを助けるため、プリンスが111個のダイアを探し出す『プリンセスとダイアモンド』。貧しい青年が季節はずれに実ったいちじくをプリンセスに届ける『少年といちじく』。悪名高き魔女を退治するため古城へと向かう青年を描く『魔女』など、時代も国も異なる6組のプリンスとプリンセスの物語。
 
[コメント]
 王子さま、お姫さまのような優雅な暮らしに憧れたことはありませか? これは、そんな憧れを実現させてくれる夢のような映画館が舞台です。映画技師の手によって、好奇心旺盛な少年と少女がさまざまなプリンスとプリンセスに変装し、おとぎの世界で無邪気に時を過ごします。しかしそれは単なるおとぎ話ではなく、ドラマあり、サスペンスあり、ブラックユーモアありと魅力が満載です。
 『キリクと魔女』(1998年)で知られるフランスアニメ映画界の巨匠ミッシェル・オスロ監督が、ファンタジックな影絵の手法を取り入れた幻の作品です。プリンスとプリンセスにまつわる6つのおとぎ話を、中世の版画や北斎の浮世絵を取り込んだ画期的な光と影のイリュージョンで見事に織りあげ、私たちを幻想美の世界に誘います。思わずため息が出てしまうほどの素敵な映像をお楽しみください! (晴)

ミトン / Mitten
レター / Letter
ママ / Mama
1967年/ソ連/MOVEJP配給/10分
1970年/ソ連/MOVEJP配給/10分
1972年/ソ連映画/MOVEJP配給/10分
 
監督=ロマン・カチャーノフ
製作=ソユーズムリトフィルムスタジオ
脚本=ジャンナ・ヴィッテンゾン
美術=レオニード・シュワルツマン
 
ミトン
 
[ストーリー]
 子犬を飼いたい女の子は、お母さんの大反対にあいます。仕方なく雪の上で赤い手袋を犬に見立てて戯れているうち、いつの間にか手袋はかわいい子犬に変身し……。他にお父さんの手紙を楽しみに待つ親子の空想世界を描く『レター』、坊やを残して買い物に出かけたお母さんの不安を綴る『ママ』の3本を上映。
 
[コメント]
 日本でも映画やキャラクターがヒットした『チェブラーシカ』(69/71/74年)のスタッフが結集して作ったロシアアニメーションの珠玉の作品。アヌシー国際アニメーションフェスティバルなどさまざまな賞を受賞しています。『チェブラーシカ』と同じく、初めてみる映像なのになぜか懐かしさを感じてしまいます。登場人物の動作に共感するとともに、忘れかけていた小さい頃の出来事や、大切にしていたものを思い出してしまうからでしょうか?
 3本に共通するのは、お母さんとひとりっ子の子どもたちの優しいこころのやりとり。まったく台詞を使わずに、人形の微妙な顔の向きや姿勢で感情を表現し、その一つ一つに心癒されます。ノスタルジックで素敵な音楽も耳に心地よく、作品に更なる味を加えています。フェルトや毛糸の質感も温かく、60年代の上品でモダンな衣装や家具なども細部まで凝っていて必見! (晴)

トッポ・ジージョのボタン戦争
1967年/日本=イタリア合作/ケイブルホーグ配給/1時間32分
 
監督=市川崑
操演=マリア・ペレゴ
脚本=市川崑、永六輔 他
撮影=長野重一
音楽=中村八大
トッポ・ジージョの声=中村メイコ
ナレーション=小林桂樹
 
トッポ・ジージョのボタン戦争
 
[ストーリー]
 ひとりぼっちのネズミのジョージはある晩赤い風船と出会い、ひょんなことからギャングたちの銀行襲撃事件に巻き込まれてしまいます。不思議な通信機を使う得体の知れないボスの元、巧妙な計画で爆弾や拳銃を携えたギャングたちに、小さなネズミのジョージと赤い風船はどのように立ち向かっていくのでしょう?!
 
[コメント]
 名匠・市川崑監督による異色人形劇がついに復活! 人間の脚やシルエットだけが、パペットのジージョと共演する斬新な形の映画です。日本語にイタリアのイントネーションを取り入れた中村メイコの声や中村八大の音楽もまた魅力的です。
 恐ろしい秘密が隠されたボタンを盗もうとするギャングたちをジージョが何とか防ごうとするという凄まじい内容ですが、発射された弾にジージョがしがみついて方向転換させたり、はたまた引火した導火線をしつこく噛み砕いていったり……。あり得ないと分かっていてもパペットだと妙にリアルで、はらはらドキドキの連続です。生き生きと画面を動き回るジージョはもちろん愛らしいですが、恐ろしいことを企てるギャングたちもどこか抜けていて憎めません。どこかもじもじしていておっちょこちょい、だけど勇敢で頑張り屋のトッポ・ジージョの魅力をご堪能ください。 (晴)