ジャパニメーションの世界

11月28日 「ジャパニメーションの世界」 (パルテノン多摩小ホール)

●Time Table●
12:00ー13:45
14:20ー16:26
16:45ー18:24
APPLESEED
スチームボーイ
イノセンス

APPLESEED(アップルシード)
2004年/アップルシードフィルムパートナーズ製作/東宝配給/1時間43分
 
監督=荒牧伸志
原作=士郎正宗(青心社刊)
プロデューサー=曽利文彦
脚本=半田はるか、上代務
音楽=Boom Boom Satellites、Ryuichi Sakamotoほか
声の出演=小林愛、小杉十郎太、松岡由貴
モーションアクター=三輪明日美、宮下敬夫、加藤ともみ
アクション=秋本つばさ、堀口達哉、吉沢季代
 
APPLESEED
 
[ストーリー]
 西暦2131年、世界を壊滅に近い状態へ追い込んだ非核大戦が終結した。大戦を兵士として生き抜いたデュナン・ナッツは、世界を治める平和都市・オリュンポスへ連行される。そこには、サイボーグと化したかつての恋人、ブリアレオスの変わり果てた姿があった。人類が最後に手にしたユートピア、オリュンポス。しかし、理想の陰に隠された真実。殺しあうばかりの人類に明日はあるのか?
 
[コメント]
 とにかくすごい映画です。何がすごいか、それは今までにないアニメーションだったからです。3Dライブアニメーションという新しい技術を駆使したこの映画は、今までの、2Dアニメーションでは考えられないほどの〝動き〟がある。カメラワークからキャラクターの動きまですべてにおいて躍動感があり、戦闘シーンの迫力は群を抜いていました。さて、肝心な内容ですが、近未来を描いたこの作品、実は原作は1985年発表だったにも関わらず、どこか現代の社会を鋭く捉えていてその先の未来は実際にこうなってしまうのではと感じてしまうのは何故なのだろう。時代が原作者の士郎正宗さんに追いついてきたといった感。人間の原罪と未来について考えさせられました。士郎さんの先進的な構想力と従来のアニメーションの常識を覆した3Dライブアニメーションの技術。今後のアニメーションの制作環境に新たな可能性を示し、ワクワクするような期待感を与えてくれた作品です。(浜崎)

スチームボーイ
2004年/STEAMBOY製作委員会/東宝配給/2時間6分
 
監督・原案・脚本=大友克洋
脚本=村井さだゆき
総作画監督=外丸達也
エフェクト作画監督=橋本敬史
美術監督=木村真二
音楽=スティーブ・ジャブロンスキー
声の出演=鈴木杏、小西真奈美、中村嘉葎雄、津嘉山正種、児玉 清、沢村一樹
 
スチームボーイ
 
[ストーリー]
 科学技術が発達し、産業が急速に発展しつつあった19世紀半ばのイギリス。発明一家に育った主人公レイは祖父から“スチームボール”なる小さな金属製のボールを受取る。この“スチームボール”には科学技術を根底から覆すほどの恐るべき力が備わっていた。“スチームボール”をめぐりレイと、それを付け狙うオハラ財団との追跡劇が始まる……。
 
[コメント]
 デジタルを駆使した、究極のセル・アニメ??
 僕は、60〜70年代のロックが好きで、ストーンズやツェッペリン、ジミヘンなんかを21世紀になった今でも聴いていたりする。もちろんロック全盛期だったというのもあるけど、独特な「音のエネルギー」が感じられるから好きなのかもしれない。当時はアナログ録音しか無い時代。当然、音質という意味では現在より劣るのは当たり前。しかし、最近の音を聴いているとデジタル録音になって失われたものも多いのではないか? なんて思ったりもするんだよね。
 アニメもデジタル全盛の時代、本作も御多分にもれずデジタルを駆使した作品との触れ込みでしたが、出来上がった画面を観ると「セル・アニメ」にできるだけ忠実に作ってある。本日上映される『APPLESEED』『イノセンス』がデジタルを前面に押し出しているのに対して、本作は実に「セル・アニメ」を意識している(と思う)。僕はこの(純粋なものではないけど)「アナログな香り」が実に心地よかった。こういったデジタルとアナログの絶妙な融合は、ある意味今後のアニメ制作の指標になるのかもしれないね(つうかなってほしい…)。(菅)

イノセンス
2004年/プロダクションIG、徳間書店、日本テレビ、電通、ディズニー、東宝、三菱商事製作/東宝配給/1時間39分
 
監督・脚本=押井守
原作=士郎正宗(「功殻機動隊」講談社刊)
音楽=川井憲次
プロデューサー=石井光久、鈴木敏夫
プロダクションデザイナー=種田陽平
声の出演=大塚明夫、田中敦子、山寺宏一、大木民夫、仲尾裕、竹中直人
 
イノセンス
 
[ストーリー]
 人々が電脳化され、声を出さずとも、コンピューター端末を打たなくとも、ネットワークを通じたデジタルコミュニケーションが可能になる一方、肉体の機械化も進み、人とサイボーグ(機械化人間)、ロボット(人形)が共存する、2032年の日本。主人公は、続発するテロ犯罪を取り締まる政府直属の機関・公安九課の刑事バトー。バトーは、生きた人形(サイボーグ)である。腕も脚も、その体のすべてが造り物。残されているのはわずかな脳と、一人の女性、“素子(もとこ)”の記憶だけ。ある日、少女型の愛玩用ロボットが暴走を起こし、所有者を惨殺する事件が発生し、バトーは、相棒のトグサと共に捜査に向かう。電脳ネットワークを駆使して、自分の「脳」を攻撃する“謎のハッカー”の妨害に苦しみながら、バトーは事件の真相に近づいていく。
 
[コメント]
 世界に衝撃を与えた映画『GHOST IN THE SHELL/功殻機動隊』の続編的映画である『イノセンス』の完成を多くファンが待ちわびていたに違いない! 準備を含め5年という制作期間をかけたこの映画は、とにかく映像表現が半端じゃない。アニメーションとは思えないほどの画像に、ただただ圧巻。原作者の士郎正宗さんの先進的構想力と、世界が認める巨匠押井守監督のもつ哲学的ともいうべき世界観と、最高峰の技術が融合し、恐ろしいほど美しい世界が描かれています。1度だけでは理解し得ないほど堪能できるこの作品、最高の映像で映し出される近未来の世界を感じてみてください。(浜崎)