ワールド・ミュージック・ドキュメント

11月23日 「ワールド・ミュージック・ドキュメント」 (パルテノン多摩小ホール)

●Time Table●
12:00ー13:48
14:20ー16:04
16:20ー18:05
永遠のモータウン
アマンドラ! 希望の歌
ブエナ☆ビスタ☆ソシアル☆クラブ

永遠のモータウン
Standing in the Shadows of MOTOWN
2002年/アメリカ/シネカノン配給/1時間48分
 
監督=ポール・ジャストマン
プロデューサー=ポール・ジャストマン、アラン・スラツキー、サンディ・パスマン
撮影=ダグ・ミルサム、ロン・ストラットン
音楽監督=アラン・スラツキー
出演=ザ・ファンクブラザーズ
 
永遠のモータウン
 
[ストーリー]
 かつて全米で旋風をおこした「モータウン」。マーヴィン・ゲイやスティービー・ワンダーなど数多くの有名アーティストとヒットソングを次々と世に送り出し黄金時代を築いたソウルR&B音楽レーベルだ。
 そのモータウンサウンドを作り出していたのが、専属のレコーディングバンド「ザ・ファンクブラザーズ」。彼らなしにはモータウンのスターもヒットソングもあり得なかった。しかし、レーベルの輝かしい成功と裏腹に、彼らの名前とその偉業は世間に全く知られていない。音楽への愛と情熱だけで走りつづけた彼ら。モータウンという光の影に消えていった人生。栄光の陰にかくされていた真実が明らかになる。
 
[コメント]
 誰もが一度は耳にしたことのあるソウル。あまりに量産的で華やかな世界、そう思っていた。しかし、その音楽が生まれる原点には、とある街角と変わらない素朴な風景と情熱があった。彼らがセッションする空間は、何か素敵なことが起こる瞬間のきらめきとエキサイティングな波動が溢れている。彼らのソウルフルな人間としての生きざまに、音楽という枠をこえて胸が熱くなる。
 後半を彩る、ベテランアーティストとザ・ファンクブラザーズの絶妙なライブシーンは、体が動き口ずさむ、ソウルファンにはたまらない至福のひと時。Respect Funk Brothers! (斉)

アマンドラ! 希望の歌
AMANDLA! A Revolution in Four Part Harmony
2002年/南アフリカ・アメリカ/クロックワークス配給/1時間44分
 
監督=リー・ハーシュ
撮影=クライヴ・サッケ、ブランド・ジョーダン、アイヴァン・レザーズ
音楽=ヒュー・マセケラ、アブドゥラー・イブラヒム、ドリー・ラテベ、ソフィー・ミグナ
出演=ネルソン・マンデラ、クリス・ハニ、フランシス・バード、ゴールデン・ネスィスゥイ、ピーター・ディンバ
 
アマンドラ! 希望の歌
 
[ストーリー]
 人種隔離政策アパルトヘイト下の南アフリカ。自由を取り戻すための黒人たちの長い闘いは「Power to the people」を意味する「アマンドラ!」という合言葉に支えられていた。そしてもうひとつ、彼らの闘いにとって何よりも大切だったもの。それは<歌>だった。
 これは神様からの最強の武器<歌>で闘った黒人たちの物語。
 
[コメント]
 音楽がひとつの国を変えたーー。
 アフガン侵攻、世界同時多発テロ、イラク戦争……、怒りと憎しみが連鎖するこの世界で、そんな奇跡のような真実が存在したことを知ってほしい。権力も銃も持たない黒人たちがそれでも自由を望んだとき、彼らは美しい武器<歌>を手にとった。命が途切れるまで止むことのない<歌>は鉛の弾とは違い、決して人を殺さない。命ではなく心を奪う。
 権力と圧倒的な武力は黒人たちからあらゆる自由を奪ったはずだった。しかし、この映画を観ている内に、私たちは重大な真実に気づくだろう。人間の心から溢れだすリズムは限りなく自由であることに。そして、人の心をどうやったら縛りつけていられるだろうか、という根本的な希望に。
 世界で最も残酷な差別に、最も美しい武器で応戦した人々の記録は、観る者すべての胸をうつ。哀しくも美しい希望のドキュメンタリーに泣きましょう。 (園)

ブエナ☆ビスタ☆ソシアル☆クラブ
BUENA VISTA SOCIAL CLUB
1999年/ドイツ・アメリカ・フランス・キューバ/日活配給/1時間45分
 
監督=ヴィム・ヴェンダース
撮影=イェルク・ヴィトマー、ロビー・ミュラー、リサ・リンズラー
音楽=ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ
出演=ライ・クーダー、イブライム・フェレール、コンパイ・セグンド、エリアデス・オチョア
 
ブエナ☆ビスタ☆ソシアル☆クラブ
 
[ストーリー]
 ‘97年グラミー賞を獲得したアルバム「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」に参加したキューバ音楽界の古老たちにカメラを向けたドキュメンタリー。アムステルダムやNYでの輝かしいステージなどの最高にセクシーな音楽と彼らの人生の哀歓をフィルムに収めた最高傑作。
 
[コメント]
 20年来の友人であり、『パリ、テキサス』や『エンド・オブ・バイオレンス』で見事なコラボレーションを見せてきた監督ヴィム・ヴェンダースとUSロック界の異端ギタリスト、ライ・クーダーが次にカメラを向けたのは天国の音楽を奏でるキューバ音楽家たちだった。心にじんわりと響きを広げるキューバ音楽に彩られた、年老いた音楽家たちの細工のない生の映像は観る者を楽園へといざなってくれる。彼らの飾らない言葉から、深みをたたえた表情から、そしてそのすばらしい音楽から零れだすのは、個性豊かな音楽家たちのそれぞれの人生の輝きだ。
 ベルリン、パリ、ミラノ……、国境を越え、世代を越えて世界中で驚異的な大ヒットとなり、各国で燦然たる数々の賞に輝いた本作品は、日本でも公開されるやいなや、公開劇場の日計最高動員記録を塗り替え、興収1億円達成日数歴代2位になるなど空前の大ヒットを記録した。
 そんな伝説の音楽ドキュメンタリー、必見です。 (園)