華麗なるバレエの世界

11月21日 「華麗なるバレエの世界」 (パルテノン多摩小ホール)

●Time Table●
11:30ー13:22
14:10ー15:45
16:05ー18:55
バレエ・カンパニー
ベジャール、バレエ、リュミエール
BALLET アメリカン・バレエシアターの世界

バレエ・カンパニー
The Company
2003年/アメリカ、ドイツ/エスビーオー配給/1時間52分
 
監督=ロバート・アルトマン
脚本=バーバラ・ターナー
撮影=アンドリュー・ダン
音楽=ヴァン・ダイク・バークス
出演=ネーヴ・キャンベル、マルコム・マクダウェル、ジェームズ・フランコ
 
バレエ・カンパニー
 
[ストーリー]
 ジョフリー・バレエ・オブ・シカゴのダンサー、ライ(N・キャンベル)は、パートナーである恋人に裏切られる。芸術監督ミスターA(M・マクダウェル)は公演の成功とカンパニーの経営が何よりも優先だ。マイラの故障によってライに主役が回ってきた。ライは見事に踊りきる。そしてシーズン最後、新作「青い蛇」に挑む。
 
[コメント]
 普通バレエ映画は踊り中心に描かれたものが多いのに対し、この作品は有名な「ジョフリー・バレエ・オブ・シカゴ」を通して、バレエが企画から上演されるまでの舞台の裏表をとりあげて、そこに絡まる人間模様をおりまぜながらドキュメンタリータッチで作られていることに特色がある。
 監督アルトマンはバレエの魅力、ダンサーたちの情熱、肉体の限界への挑戦、最高の芸術性の追求など、モダンバレエの真髄を巧みに描き出そうとの苦心がにじみ出ている。
 特に群像、光と影、舞台装置の奇抜さなど、卓越したものが感じられる。また一流の振付家ラー・ルボビッチ/ロベール・デロジェはさすがである。いつもながら、これらの映画を通して強く感じさせられることは、バレエダンサーたちの「踊りたいから」という理由から、アルバイトをしながらでも、毎日厳しい稽古に耐えるその崇高さである。バレエファンでなくても見ごたえ充分の映画である。 (松)

ベジャール、バレエ、リュミエール
B comme Bejart
2002年/スイス/日活配給/1時間35分
 
監督=マルセル・シューバッハ
撮影=セバスチャン・モレ、デニス・ユッツラー、オリヴィエ・ポルシェ
編集=デヴィッド・モンティ
出演=モーリス・ベジャール、ジル・ロマン、エリザベス・ロス、ドメニコ・ルヴレ、小林十市
 
ベジャール、バレエ、リュミエール
 
[ストーリー]
 2001年2月、ベジャール・バレエ団では新作「リュミエール」の準備が進められていた。本番が迫る中、二転三転する衣装合わせ、悪天候のせいでたびたび中断される屋外リハーサル、楽屋でひとり静かに苦悩するベジャール。そして6月、1万5千人の観衆の熱気の中、リヨンのフルヴィエール・ローマ円形劇場でついに初演の幕が上がった。
 
[コメント]
 名を知らなくても「ボレロ」の振付家と言えば、ああ、と思う人も多いだろう。ベジャールは、チュチュを着たお姫さまの世界から、装飾のないボディ・タイツと、より男性に見せ場を作ることで、バレエに力強い革新的なイメージをもたらした。
 舞台「リュミエール」は“リュミエール(=光)”がテーマ。映画の原題は“ベジャールのB”の意味だが、「リュミエール」では3つのB、バッハとベジャールの友人で今は亡き2人のシャンソン歌手、バルバラとブレルの曲を用いて、“光”を浮き立たせていく。
 稽古の過程では、創作の迷宮に入りこみ、苦悩するベジャールが見られる。が、よどみなく振り付ける姿にはバレエへの一心の情熱が感じられる。そして、それを体現しようとするダンサーたちの姿も心を打つ。ベジャールは言う、「もっとダンスを」。エンディングには、より深くべジャールのバレエへの愛を知ることになるだろう。 (柴)

BALLET アメリカン・バレエ・シアターの世界
BALLET
1995年/アメリカ/角川映画配給/2時間50分
 
監督・製作・編集・サウンド=フレデリック・ワイズマン
撮影=ジョン・デイヴィー
出演=アレッサンドラ・フェリ、フリオ・ボッカ、スーザン・ジャフィ、アマンダ・マッケロー、シンシア・ハーヴェイ、ジュリー・ケント
 
BALLET アメリカン・バレエ・シアターの世界
 
[ストーリー]
 前半は「アメリカン・バレエ・シアター」のダンサーたちの日常のハードな練習を中心に展開される。後半は「眠れる森の美女」「春の祭典」「ロミオとジュリエット」などの名場面と、その他2、3のモダンバレエを、アテネ・アクロポリスやコペンハーゲン王立歌劇場など海外公演の様子で締めくくられる。
 
[コメント]
 この作品はドキュメンタリー映画である。ダンサーたちの日常のハードな練習においては、基礎技術の重要さ、振付や感情の表現の仕方の反復練習を克明に見せようとしている。
 過去において、皆有名な踊り手だった振付家たちへのインタビューから「バレエとは?」の問いかけに、現在のバレエ芸術の真髄に迫ろうとしている。
 練習描写のなかで幾多のバレエ用語とその演技、名場面の振付、トレーナーとダンサーたち、舞台装置、衣装その他裏方の役割など上演までの動きを描いている。バレエファンや特にバレリーナの卵たちにとっては、非常に興味深い作品であろう。
 今日この頃では、世界の有名なバレエ団で活躍している日本人も多く、バレエへの関心が高まりつつあるとき、またその舞台裏を覗くことが難しいことから、タイムリーな映画であると思われる。上映時間は約3時間と長いが、バレエについて一通りの知識を得るにはよい機会であろう。 (松)