アクション&スペクタクル

11月27日 「アクション&スペクタクル」(パルテノン多摩大ホール)

●Time Table●
11:00ー13:04
13:55ー16:38
17:00ー18:59
19:15ー21:10
デイ・アフター・トゥモロー
トロイ
海猿 ウミザル
リディック

デイ・アフター・トゥモロー
THE DAY AFTER TOMMOROW
2004年/アメリカ/20世紀フォックス配給/2時間4分
 
監督・脚本=ローランド・エメリッヒ
脚本=ジェフリー・ネクマノフ
撮影=ユーリ・ステイガー
音楽=ハラルド・クルーサー
出演=デニス・クエイド、ジェイク・ギレンホール、イアン・ホルム、エミー・ロッサム
 
ディ・アフター・トゥモロー
 
[ストーリー]
 南極で古代の気象を研究するジャック・ホール(D・クエイド)は、温暖化による海流の変化で北半球が寒冷化すると悟り、国連会議で警告をするがとりあってもらえない。
 そのころ、世界各地では次々と異常気象を観測。さらに北半球の各地に巨大な雷雲が発生し、事態はジャックの警告したとおりに。刻々と氷の中に閉ざされてゆく世界。人類の運命は……?!
 
[コメント]
 地球温暖化によって、近い将来現実となりうる地球規模の大災害・氷河期を、最新のCG技術を使い、誰も体験したことのない驚異の映像で描いた超大作。見どころはなんといっても、都市を襲う大災害の映像である。ロスの町に大量発生する竜巻、東京には大きな雹の塊が降り、ニューヨークは大津波にのみこまれる。やがて地球の北半球は氷河期を迎え、人間や高層ビルなどあらゆるものが一瞬にして凍ってしまう。視覚的なリアルさに圧倒され、自然の力の前に人間はいかに無力でちっぽけな存在か気づかされる。地球温暖化の進行により、氷河期が訪れるといった一見逆説的な理論でも、このように見せられると納得させられる。
 この迫力の映像は、是非大画面のスクリーンで観ていただきたい。深刻な地球環境問題である温暖化について考えるきっかけともなるでしょう。 (修)

トロイ
TROY
2004年/アメリカ/ワーナー・ブラザーズ配給/2時間43分
 
監督・製作=ウォルフガング・ペーターゼン
脚本=デイビッド・ベニオフ
撮影=ロジャー・プラット
音楽=ジェイムズ・ホーナー
出演=ブラッド・ピット、オーランド・ブルーム、エリック・バナ、ダイアン・クルーガー、ピーター・オトゥール
 
トロイ
 
[ストーリー]
 時は古代ギリシャ。トロイとスパルタの確執の歴史に幕が下ろされようとしていた時、トロイの王子パリス(O・ブルーム)はスパルタの王妃ヘレン(D・クルーガー)と恋に落ちる。その若さゆえ、純粋過ぎる情熱は王妃を奪い花嫁として連れてきてしまう。ヘレンを取り戻すために差し向けられたのは、ギリシャ軍の千艘もの船と無敵の戦士アキレス(B・ピット)であった。やがてそれは史上最大の「愛」の為の戦いを引き起こす……。
 
[コメント]
 紀元前12世紀に起こったといわれる伝説的なトロイ戦争を題材に、愛と復讐、陰謀と嫉妬、野心と栄光が織りなす、感動と興奮の歴史スペクタクルと言えるだろう。無数の兵士によって繰り広げられる壮絶なバトル、難攻不落と呼ばれた巨大な城塞都。そして聳え立つトロイの木馬を見事に再現し、映画史に残るかつてない壮大なスケールで描いている。
 自らの名誉と栄光の為だけに戦う誇り高く倣岸なアキレス、恋の情熱ゆえに自らの祖国に厄災をもたらし苦悩するパリス、祖国や家族を守る為に命を懸けて戦う高貴で勇敢なヘクトル……ここに登場する人物はそれぞれ背負う宿命があり、それに立ち向かって行く姿はとても魅力的だ。ド迫力なCG映像もさることながら、登場人物の心理にも注目して欲しい。 (タナ)

海猿 ウミザル
2004年/フジテレビジョン、ROBOT、ポニーキャニオン、東宝製作/東宝配給/2時間
 
監督=羽住英一郎
原作=佐藤秀峰
脚本=福田靖
撮影=佐光朗
音楽=佐藤直紀
出演=伊藤英明、加藤あい、海東健、香里奈、伊藤淳、杏子、國村準、藤達也
 
海猿
 
[ストーリー]
 全海上保安官の中で1%という人命救助のエキスパート「潜水士」。その潜水技術課程研修は、厳しい訓練を必要とする。それに挑む14名の若者のひとり仙崎大輔(伊藤英明)は、マスターライセンスの資格をもつ中心的存在だ。バディの工藤(伊藤淳)は落ちこぼれだが純粋さと熱意は誰にも負けない。その熱意に共感した大輔は、工藤と仲間たちとともに、過酷な訓練に挑む。
 
[コメント]
 この映画はリアリティがありとても面白い。海上保安大学校で「潜水士」を目指す14「匹」の男たちの物語、と言ってしまえばそれまでだが、彼らは実際に潜水研修を約2ヶ月行い、潜水技術を完璧にマスターして撮影に挑んだのだ。伊藤英明に至っては、マスターダイバーのライセンスを生かし、全編吹き替え無しで潜水シーンに挑んでいる。14匹の男たちの真剣な表情は決して嘘ではない。
 彼らに優るも劣らないのは、主任教官役の藤竜也だ。感動ものは、たいていどこかで安堵の表情を見せるが、彼は終始笑顔を見せない。それだけで、海上保安官の中でも1%しか到達し得ないという厳しい世界がひしひしと伝わってきた。
 さらにスクリーンで見る海は圧巻される。感動もスケールが大きいことだろう。
 最後に注意を一つ。エンドロールが終わっても帰らないように。続編に繋がる何かがあるかも。 (瑞)

リディック
THE CHRONICLES OF RIDDICK
2004年/アメリカ/東芝エンタテインメント、松竹配給/1時間49分
 
監督・脚本=デヴィッド・トゥーヒー
撮影=ヒュー・ジョンソン
音楽=グレアム・レヴェル
出演=ヴィン・ディーゼル、コルム・フィオーレ、ジュディ・デンチ、タンディ・ニュートン、 カール・アーバン、アレクサ・ダヴァロス
 
リディック
 
[ストーリー]
 世界は狂信的ネクロモンガー軍団による征服の危機にあった。殺人と脱獄などの超A級犯罪で、5つの惑星から指名手配されているリディック(V・ディーゼル)は、自然を司る宇宙の予言者の予知により、ネグロモンガーの侵略をくいとめる力を持つフューリア族の生き残りであることを告げられる。果してリディックは、全宇宙を救う救世主なのか……?!
 
[コメント]
 ヒーローがワルモノ。これはニクイ。悪役は人気が集まるというが、この超クールでダークなヒーローは、まさにおいしいとこどり。登場人物も全員悪や欲望を持っていて、ゾクゾクする個性的なキャラクターが魅力的だ。
 また、独創的で綿密に描かれた世界は単なるSFではない。リディックとキーラの手に汗握るアクションやSFらしいメカはもちろんだが、対照的にどこかクラシカルな場面も。イマム、エアリオン、ヴァーゴ夫人たちの役割や衣装、ネクロモンガーの建築様式などは古代と現代の融合で、異様かつ不思議な美しさをたたえている。ひとつの宗教が世界を統一しようとする思想も、今昔に通じる宗教闘争やファシズムを連想させる。実にさまざまなエッセンスをもりこみ作りこまれているバックボーンがあるからこそ、新しい魅力があるのだろう。まあ細かいことはさておき、無条件に面白くて夢中になることは間違いナシ! (斉)