戸田奈津子の特選映画シアター

11月28日 「戸田奈津子の特選映画シアター」 (やまばとホール)

●Time Table●
10:10ー12:25
13:05ー15:40
15:55ー17:55
ラブ・アクチュアリー
コールドマウンテン
モナリザ・スマイル

ラブ・アクチュアリー
LOVE ACTUALLY
2003年/イギリス/UIP配給/2時間15分
 
監督・脚本=リチャード・カーティス
撮影=マイケル・コールター
音楽=クレイグ・アームストロング
出演=ヒュー・グラント、リーアム・ニーソン、コリン・ファース、ローラ・リニー、エマ・トンプソン、アラン・リックマン、キーラ・ナイトレイ
 
ラブ・アクチュアリー
 
[ストーリー]
 イギリスの、19人の男女の愛や恋の模様をユーモアたっぷりに描いた作品。メイドにひと目ぼれした首相(H・グラント)、初恋の片思いに悩む少年、夫の浮気に動揺する妻(E・トンプソン)、新夫の友だちのひたむきな眼差しに気づかない花嫁(K・ナイトレイ)、などなど。オシャレな作品です。
 
[コメント]
 「オール・ユー・ニーディズ・ラブ……」なんて、古いビートルズ・ソングが聴こえてきそう。殺伐とした世相の昨今だが、それでも世界は愛に溢れているーーみんな、恋してるし、愛してる! そう思える作品です。ここに描かれた愛は実るものばかりじゃないけれど、それでも、熱い想いにひたむきな老若(?)男女は、やっぱり美しい。例え恋に破れても、愛さないより愛したものの勝ちさ。すごく新しくて古い、心憎い演出の作品です。私のご贔屓のキーラ・ナイトレイがとびきり綺麗だし、なんだかちょっとお腹の出てきた二枚目ヒューの「踊っちゃう英国首相」も見もの。いい年してキューンと胸がしびれて、この作品を観た後は、スキップして帰りたくなりました。明るい気持ちになれる1作……おススメです! (夏)

コールドマウンテン
COLD MOUNTAIN
2003年/アメリカ/東宝東和配給/2時間35分
 
監督・脚本=アンソニー・ミンゲラ
原作=チャールズ・フレイジャー
撮影=ジョン・シール
美術=ダンテ・フェレッティ
音楽=ガブリエル・ヤーレ
出演=ジュード・ロウ、二コール・キッドマン、レニー・セルヴィガー、ナタリー・ポートマン、ドナルド・サザーランド
 
コールドマウンテン
 
[ストーリー]
 南北戦争末期の1864年。戦場で重傷を負った南軍兵士のインマン(J・ロウ)は、愛するエイダ(N・キッドマン)の待つ故郷コールド・マウンテンへと、果てしない道のりを歩き始める。
 
[コメント]
 監督はアカデミー賞作品賞を含む9部門を制した『イングリッシュ・ペイシェント』のアンソニー・ミンゲラ。原作はチャールズ・フレイジャーのベストセラー小説で、全米図書賞を受賞している。この2者のコラボレーションによって稀有の名作は生まれた。
 故郷を目指し遥かな道のりを歩き続ける男と、その帰りを信じて待ち続ける女。言ってしまえばありきたりな設定かも知れない。が、しかし、この映画に描かれている人間たちは皆、そのような狭小な枠組みにはおさまりきらないほど大きく、それぞれの季節、それぞれの物語を懸命に生きている。そして生きていく力の源となっているのは誰かを想う気持ち。その気持ちを胸に抱くことで、不穏な時代のなかでも逞しく生き抜いていける。
 人を想うことで人は強くなれる。強くいられる。そして人を想うことが出来るという、ただそれだけで既に幸せなのかもしれない。 (家)

モナリザ・スマイル
MONA LISA SMILE
2003年/アメリカ/UIP配給/2時間
 
監督=マイク・ニューウェル
脚本=ローレンス・コナー、マーク・ローゼンタール
撮影=アナスタス・ミコス
音楽=レイチェル・ポートマン
出演=ジュリア・ロバーツ、キルスティン・ダンスト、ジュリア・スタイルズ、マギー・ギレンホール
 
モナリザ・スマイル
 
[ストーリー]
 時は1953年アメリカ。ニューイングランドにある名門女子大学に、若く自由な精神を持った女性教師キャサリン・ワトソン(J・ロバーツ)がやってきた。キャサリンの夢は米国一保守的といわれるこの大学の生徒たちに、女性の自立と進歩的な教育をすること。しかし、エリート男性と理想の結婚をすることを価値とする生徒と教師たちの厳しい反発にあう。自分自身も葛藤しながらも、決してポリシーを曲げようとせず、美しく聡明なキャサリンに、女生徒たちも次第に心を開き始めるが……。
 
[コメント]
 女性にとって永遠の命題ーー表面上の幸せか、心の中に抱く真の望みを通すか。
 映画では、伝統が生きている時代の女性の、自立か理想の結婚かを描いている。しかしこのテーマは、自分の生き方を模索する現代の女性たちが見ても強い共感と感動を覚えるにちがいない。きっと誰もが持っている葛藤や悩みをモナリザたちの姿を借りて写しだしているからだ。
 カリスマ性のある聡明で美しい女性教師キャサリンは、深みを増し輝きを放つジュリアにぴったり。そこに彼女を囲む実力派若手女優たちの個性がうまく絡み合い、見ごたえ十分だ。また、女生徒たちのクラシックで女性らしい50年代スクールファッションも見どころ。下着のデザインからファンデーションまで、すべて当時を再現する徹底したこだわりよう。もちろんその当時のエチケットやダンススタイルもきっちり作りこまれただけあり、作品の世界に彩りを加えている。 (斉)