韓国男性スターの魅力

11月21日 「韓国男性スターの魅力」 (やまばとホール)

●Time Table●
11:00ー13:39
14:25ー16:40
17:00ー19:04
ブラザーフッド
シルミド/SILMIDO
スキャンダル(R18)

ブラザーフッド
BROTHERFOOD
2004年/韓国/UIP配給/2時間28分
 
監督・脚本=カン・ジェギュ
撮影=ホン・ギョンピョ
編集=パク・コクチ
音楽=イ・ドンジュン
出演=チャン・ドンゴン、ウォンビン、イ・ウンジュ、コン・ヒョンジン、チェ・ミンシク、キム・スロ
 
ブラザーフッド
 
[ストーリー]
 1950年のソウル。ジンテ(チャン・ドンゴン)は婚約者と弟ジンソク(ウォンビン)の大学進学のために働き、貧しくも幸せに暮らしていた。ある日、朝鮮戦争が勃発し、ジンソクが徴兵されると、ジンテも慌てて後を追う。ジンテはジンソクを除隊させるには軍隊で出世するしかないと悟り、自ら危険な任務を遂行していく。
 
[コメント]
 歴史の荒波に翻弄される兄弟の悲痛な運命を描いた感動の超大作。監督は『シュリ』(1999年)のカン・ジェギュ。『友へ チング』(2001年)のチャン・ドンゴンと『ガン&トークス』(2001年)のウォンビンを主役に配し、韓国では歴代興行記録(前売券販売数/スクリーン数/動員数etc.)を次々に塗り替える大ヒットとなった。韓国映画史上最高の約15億円の制作費を投じて作られたといわれるだけあって、戦場描写はかなりリアル。目を背けたくなるような酷い場面も現れるが、イデオロギーの対立から生じる朝鮮戦争の必然性を説明しないことで、それを正当化していない点がとても印象的。戦場の勇気が讃えられるべきことではなく、むしろ狂気の沙汰として映る。
 家族愛に心を打たれるも良し、イケメン男優に心を奪われるも良し(笑)ですが、戦争の愚かさ、虚しさを実感するためにも、ぜひオススメしたい映画です。 (藤)

シルミド/SILMIDO
SILMIDO
2003年/韓国/東映配給/2時間15分
 
監督=カン・ウソク
原作=ベン・ドンホ
脚本=キム・ヒジェ
撮影=キム・ソンボク
音楽=チョ・ヨンソク、ハン・ジェグオン
出演=ソル・ギョング、アン・ソンギ、ホ・ジュノ、チェン・ジェヨン
 
シルミド
 
[ストーリー]
 1968年、北朝鮮軍部隊の武装ゲリラが韓国の大統領府を襲撃するためにソウルに侵入。これに対して韓国政府は民間人を集めた秘密部隊を結成し、金日成を暗殺するために無人島「実尾島(シルミド)」で過酷な訓練を実施する。しかし、南北の融和に向けた時代の変化が、隊員を残酷な運命へと追いやっていく。
 
[コメント]
 「実尾島事件」。この映画が公開されるまで、日本でこの事件を知る人は少なかったに違いない。北朝鮮の特殊部隊に危機感を抱いた韓国政府が、民間人を集めて暗殺部隊を結成。しかし、政府に不信感を抱いた隊員たちは、反乱の末に脱走する。にわかには信じがたいがたいが、これは1971年に実際に起きた出来事だという。実は韓国国内でも、「北派工作員」の存在を政府が認めたのは、2000年以降のことだったという。韓国での大ヒットの背景には、埋もれていた自国の歴史に対する関心の高まりもあったのかもしれない。主演のソル・ギョングが出演した作品には、他にも「光州事件」を扱った『つぼみ』(1996年)と『ペパーミント・キャンディー』(1999年)という傑作がある。両作品とも、質の高い映像で、韓国の現代史に秘められた個人の痛みを映像化した作品だった。映画により歴史がスクリーン上に再現され、さまざまな世代の人々が追体験する。単なるエンターテインメントとしては片付けられない、今の韓国映画の原動力がうかがえる。 (長)

スキャンダル
UNTOLD SCANDAL
2003年/韓国/シネカノン、松竹配給/2時間4分
 
監督・脚本=イ・ジェヨン
原作=ピエール・コデルロス・ラクロ(「危険な関係」)
脚本=キム・デウ、キム・ヒョンジョン
撮影=キム・ビョンイル
音楽=イ・ビョンウ
出演=ペ・ヨンジュン、イ・ミスク、チョン・ドヨン、イ・ソヨン、チョ・ヒョンジェ
 
スキャンダル
 
[ストーリー]
 18世紀末の李氏朝鮮。チョン・ウォン(ペ・ヨンジュン)は貴族でありながら官職につかず、書画を楽しみ、女たちと戯れる優雅な毎日を送っている。彼のいとこであり、高官の妻であるチョ夫人(イ・ミスク)との間で、側室となる中流階級出の女性や、貞淑で冷たいと評判を取る未亡人をいかに誘惑するかの取引(ゲーム)が始まる。
 
[コメント]
 日本中にブームをおこしたTVドラマ『冬のソナタ』のペ・ヨンジュン初の映画主演作。ここではドラマでの貴公子的なイメージをがらりと変えたプレイボーイ役を演ずる。
 ラクロの原作『危険な関係』は、ロジェ・ヴァディム、スティーヴン・フリアーズ、ミロス・フォアマンなど、すでにいろいろな監督が映画化に挑んでいるが、今回は他者の恋愛感情をゲームのようにもてあそぶという題材を李王朝の宮中社会を舞台に展開する。
 李朝の建物、衣装、風俗といった日本の王朝物にも通ずる魅力的な背景のなかで、悪女を演ずるイ・ミスク、貞淑な未亡人チョン・ドヨンそしてお目当てのドン・ファン役のペ・ヨンジュンの三人三様の感情のあやにどこまで共感を持つことができるかがポイントだと思う。
 貴族社会から庶民社会へという時代の大きな変わり目のなかで、破滅的な恋愛ゲームに興じる貴族の滅び行く姿を描く作品といってもよいかも知れぬ。 (水)