コンペティション FILM部門

12月1日 「コンペティション FILM部門」 (ヴィータホール)

●Time Table●
10:00−10:32
10:45−11:38
11:50−12:23
13:10−13:40
13:55−14:25
14:40−15:25
15:40−16:39
16:55−17:25
17:40−18:10
トトオ
青春導火線
ざくろの夢
予告編大賞
Si・lent 1999
スモウな彼女
彼方此方 カナタコナタ
監督座談会
授賞式

トトオ
2002年/16mm/32分
 
監督・脚本・撮影=伴野智
音楽=原田勝通
衣裳美術=藤野雅子
出演=吉田城治、正木佐和、伴野彰、矢尾竹志
 
トトオ
 
[作品紹介]
 昭和50年の夏。工場と文化住宅が密集する川べりの下町に夫婦は住んでいた。「今度の休み、海へ行こうか」。何気ない夫の言葉に妻は期待を膨らませる。夫婦の息子・勇太にとっては初めての海。妻は上機嫌で海水浴の支度をするのだが……。
 ひとりの若い父親の心に焦点をあてながら、わずか1歳の息子と夫婦の小さな家族の日常を描く。
 
伴野 智(ばんの さとる)監督

 1973年、大阪府出身。立命館大学在学中に幻燈舎映画を結成。卒業後、テレビ番組ディレクターとしてドキュメンタリー番組などを手がけながら、自主製作でも作品を撮り続ける。『マリア』でキリン コンテンポラリー・アワード奨励賞受賞。『山田君ノ布団』でゆうばり国際冒険ファンタスティック映画祭入選。
 
[メッセージ]
 僕は幼い息子をみると、いつも純粋な気持ちになります。彼のまなざしを見つめていると、自分の古い記憶がよみがえるのです。おぼろげに浮かぶ若い父と母。そして小さな部屋。畳の匂い。あの時、父や母は何を考えていたのだろう。親になって、はじめてそんなことを考えるようになりました。
 ……あなたの一番古い記憶って何ですか?

青春導火線
2002年/16mm/53分
 
監督=名畑晶史
脚本=林達郎
撮影=星省一朗
音楽=雨内俊文
出演=加藤裕人、渋谷雄樹、熊野ゆみ、伊藤聖子、石下由喜恵、松崎史也
 
青春導火線
 
[作品紹介]
 新世紀。田舎町。若者たち3人の青春が放たれる。
 卒業を目前に控えた水泳部のスーパーエース黒田清輝は、なにがなんでも大人になりたくない。やる気のなくなった幽霊部員の大島剛士は、空を飛ぶ夢を見つづける。水泳部を辞めた三浦香織は、そのワケが彼氏に話せない。夏の終わり、夏をこよなく愛する黒田は青春の終わりを感じながらも、今、一心不乱に走り出す。
 
名畑 晶史(なはた あきふみ)監督

 1975年、東京出身。1999年、日本映画学校入学。2002年、日本映画学校卒業製作として『青春導火線』を監督。
 
[メッセージ]
 青春!
 夏!
 花火!
 太鼓!
 ドンドンドコドコドンドコドコドコ……

ざくろの夢
2001年/16mm/33分
 
監督・脚本=木村明子
撮影=斎藤徳暁
録音=竹村賢治
音楽=星野朋昭
出演=吉居亜希子、落合扶樹、渋谷育男、樹杉東篤、松田彩香、永峰和子
 
ざくろの夢
 
[作品紹介]
 消えてしまった牛乳屋を捜すため学校を飛び出した少女ルル。お腹のなかには彼の赤ちゃんが。思い出の母親を捜す少年カイとの出会い。二人が訪ねた「捜し人事務所」には、なくした夢にすがりつく客ばかり。
 幻と現実が交錯した世界で、ルルの恋人探しがはじまる……。
 
木村 明子(きむら あきこ)監督

 1978年7月24日 福島県出身。日本大学芸術学部映画学科在学中、3年実習『ヨルチルハナ』(2000年、16mm、10分)、卒業製作『ざくろの夢』を製作。
 同時に、同大学大学院修士作品『三面夢姿繪』(00年、山崎達璽監督作品、16mm)、『タンバリボン』(02年、中村隆太郎監督作品、16mm)の美術を担当する。現在、TVドラマの装飾・小道具担当。
 
[メッセージ]
 私が女であるが故に分かる感覚——お腹に得体の知れない生き物がいるかもしれない、感。そんなとき、どうしてこんなにも敏感になってしまうのでしょう。ざくろの赤、牛乳の白……。そんな日常の色にさえ、ドキドキしてしまう小さな小さな少女の気持ちを分かってもらいたかったのです。

Si・lent 1999
2000年/16mm/30分
 
監督・撮影・編集=加藤健二
音楽=椛島隆、日野哲、石田拓也
出演=金六、祐子、犬、その他
 
Si・lent 1999
 
[作品紹介]
 あるサラリーマンの定年退職にスポットを当てたドキュメンタリー作品。定年退職を数週間後に控えたある日、主人公のキンロクが胃の不調を訴え入院するところからドラマは始まる。退院し再び日常生活に戻り定年を迎え、その後数カ月、ゆったりとした時間の流れに身を委ねる。日本の高度経済成長期を支えた一サラリーマンの終止と再始を描いたこの作品を製作したことで、作者本人も家族や活動写真の原点に回帰した。この作品は人類の大いなる営みの一片でもある。(New York Times)
 
加藤 健二(かとう けんじ)監督

 1969年、栃木県出身。文化服装学園でメンズデザインを専攻。卒業後渡米し、1年間放浪の旅に出る。帰国後、舞台製作や映像製作ピンク映画の助監督などを経て、よせばいいのにフリーになる。この作品で、2001年あきる野映画祭「新人監督賞」と「観客審査員特別賞」を受賞。今年9月、ヤフーのショートムービー特集で配信される。
 
[メッセージ]
 皆さん健康が一番ですよ。

スモウな彼女
2002年/16mm/45分
 
監督・脚本=牛尾秀人
撮影=山口智
音楽=KONTA
出演=古澤久美子、みやなおこ、阿南健治、熊懐大介
 
スモウな彼女
 
[作品紹介]
 女子高生の涼子は物事のシロクロを相撲で勝負して決めてしまう女の子。ことあるごとに「スモウで勝負や!」。そんな涼子の気がかりは病気の母のこと。母を元気づけるため、その頼みを聞くことに。それは女と駆け落ちして別れた父の近況を知ることだった。渋る涼子だったが、これまで見たことのない母の弱気な姿に、父と引き合わせる決心をする。
 7年ぶりに父と再会し、母に会うよう説得するが戸惑うばかりの父。そんな父に涼子が言い放つ。「スモウで勝負や!」。
 
牛尾 秀人(うしお ひでと)監督

 1965年、広島県出身。現在、会社員。
2000年10月NCWに参加。
2002年5月NCWにて第1回監督作品として本作を完成。
 
[メッセージ]
 一生懸命なんだけど、ちょっとズレてる。ちょっとズレてるんだけど、なんだか一生懸命。そんな主人公と、不器用でホントの気持ちが言えないのに嘘がつけない、そんな愛すべき人たちの物語。一生懸命と不器用がガツンとぶつかって……。観終わって晴れやかな気分で席を立ってもらいたい。そんな気持ちで創った映画です。

彼方此方 カナタコナタ
2002年/オリジナル16mm DV版/59分
 
監督・脚本=竹藤佳世
撮影=島田剛、田丸隆之、小林章仁
音楽=飯田博
出演=有村肯弥(Et in terra pax)、小沢和史、中野衣美、中柾人
 
彼方此方 カナタコナタ
 
[作品紹介]
 自分の居場所を欲しがる二人の女。
 ある夏の日、16歳の女は、自分の居場所を求めて男を誘惑する。
 ある秋の日、30歳の女は自分の居場所を求めて男に逃げられる。
 なぜかいつも間が悪いものばかり覗き見てしまう女が最後に見たものは。
 ドラマ形式とイメージ的な映像を織り交ぜて描く、彼岸と此岸の物語。
 
竹藤 佳世(たけふじ かよ)監督

 1971年、東京都出身、東京都立大学人文学部卒。イメージフォーラム附属映像研究所第20期卒。8mm・16mmフィルム、ビデオによる作品を手がける。映像作家集団「パウダールーム」代表として、上映展「room NO.1-3」を企画・主催。2001年〜02年には8mmワークショップを開催し、BOX東中野で発表。現在新作企画構想中。
 作品歴:
 『骨肉思考』(97年、8mm)
  イメージフォーラムフェスティバル98大賞受賞
 『殻家』(2000年、16mm)
  イメージフォーラムフェスティバル2000日本招待作品
 『スパイラル・ワールド』(00年、DV、15秒CM)
 『カラコワシ』(01年、miniDV)
 
[メッセージ]
 すべての女は娼婦であると誰かがいっていましたが、そういう意味ではすべての家は娼家であるともいえるでしょう。だからこれは作られた、どこにもない物語で、そしてどこにでもある物語だと私は思っています。役者として、舞台でのアートパフォーマンスで数々の実績をもつ'Et in terra pax'有村肯弥が初主演しているほか、映像作家小沢和史の初の演技がみられるところにも注目。