チョムスキー 9.11

11月30日 「チョムスキー 9.11」 (ベルブホール)

●Time Table●
12:00−13:14
13:45−16:30
16:45−17:25
17:45−18:59
チョムスキー 9.11 Power and Terror
マニュファクチャリング・コンセント ノーム・チョムスキーとメディア
講演 益岡賢氏(東京東チモール協会事務局、翻訳家)
チョムスキー 9.11 Power and Terror

チョムスキー 9.11 Power and Terror
2002年/シグロ製作・配給/1時間14分
 
監督・編集=ジャン・ユンカーマン
アソシエイト・プロデューサー=小川真由
企画・製作=山上徹二郎
撮影=大津幸四郎
整音=弦巻裕
編集=秦岳志
音楽=忌野清志郎
 
[作品紹介]
 チョムスキーは語る。「反骨の世界的知識人」、その形容からはあまり想像出来ないような穏やかな顔で、彼は人々の前に姿を現した。冗談交じりのあいさつで、時には多くの聴衆の笑いを誘う。しかし、次に彼の口から語られるのは、アメリカの外交政策に対する斬新かつ辛辣な批判だった。善悪の二元論に支配されたアメリカの世界観をチョムスキーが切り裂く。この映画は、9.11から1年間の彼の講演とインタビューを通して、チョムスキーの人柄と米同時多発テロの深層を伝える。
 「誰だってテロをやめさせたいと思っている。
  簡単なことです。
  参加するのをやめればいい。」
 
[ジャン・ユンカーマン監督 メッセージ]
 第12回映画祭 TAMA CINEMA FORUM に『チョムスキ− 9.11』を上映していただけますことを大変嬉しく思います。
 去年の9.11テロ事件とその後の動きはよくテレビで取り上げられますが、私たちがノーム・チョムスキーの発言をテレビ番組ではなく映画として製作した最大の理由は、このような映画祭や上映会など人々が集まる所で観てほしかったからです。歴史や政治は、インテリや政治家ではなく一般の人々の手によって作られていくというのがチョムスキー氏の一番根本的なところにある信念です。
 危険に溢れる今の時代をどうやって乗り越えるか、どうやって平和と正義への道を見つけるかを皆で考えて、話し合う必要があると思います。そのような交流が出来る場をつくっていただきまして、ありがとうございました。

マニュファクチャリング・コンセント --ノーム・チョムスキーとメディア--
MANUFACTURING CONCENT : Noam Chomsky & the Media
1992年/カナダ/山形国際ドキュメンタリー映画祭実行委員会/2時間45分
 
監督・製作=マーク・アクバー、ピーター・ウィントニック
製作=フランシス・ミケー、アダム・シマンスキー(ナショナル・フィルム・ボード・オブ・カナダ)
編集=ピーター・ウィントニック
音楽=カール・シュルツ
 
[コメント]
 「MANUFACTURING CONCENT」は、「同意の製造」もしくは「同意の捏造」などと訳される。この映画が伝えるのはチョムスキーのメディアに対する主張、「メディアは暗黙のうちにすすんで権力に奉仕している」という点である。ABCやPBS、ニューヨーク・タイムズ紙などの米国一般メディアが伝える情報、その実体とは? アメリカにおける東チモール問題の報道のされ方などの具体例から、現代アメリカの対外政策の野心性・侵略性をメディアがこぞって隠蔽している現状が暴かれる。私たちはメディアの作り上げる「欺瞞の罠」から逃れることができるのか?

●プロフィール
ノーム・チョムスキー(Noam Chomsky)

 1928年、米国ペンシルベニア州フィラデルフィアに生まれる。マサチューセッツ工科大学教授として研究を続ける言語学者。言語学の世界では生成変形文法理論の成果を次々と発表し、「チョムスキー革命」をもたらした。他に、哲学、認知科学、心理学、政治学など、広範な学問領域で顕著な業績を上げた。
 一方で、65年、米国が北ベトナムへの爆撃を開始すると同時に、米国の外交政策に対する批判を開始した。反体制論者として知られ、米同時多発テロ以降、中東情勢と米軍のアフガニスタン爆撃に関する発言は世界の大きな注目を集めている。
 近著に「9.11 アメリカに報復する資格はない!」(文藝春秋社2001年)、「チョムスキー 世界を語る」(トランスビュー 2002年)、「ノーム・チョムスキー」(リトル・モア 2002年)などがある。

●ゲストの紹介
益岡 賢(ますおか けん)氏

 東京東チモール協会所属。ニュースレター担当。38歳。1990年に東チモール連帯活動を開始。99年、住民投票時には、国際東チモール連盟投票監視プロジェクトの事務局メンバーを務める。著書に「東ティモール:奪われた独立・自由への闘い」、「東ティモール2:住民投票後の状況と正義の行方」(いずれも明石ブックレット、高橋奈緒子・文珠幹夫と共著)、訳書にノーム・チョムスキー「アメリカが本当に望んでいること」、「アメリカの「人道的」軍事主義:コソボの教訓」(いずれも現代企画室、後者は大野裕、ステファニー・クープとの共訳)がある。
 
[メッセージ]
 2001年9月11日以降、急に注目を集め、インタビュー集の訳書なども新たに何点か出版されているチョムスキー。1999年9月、東チモール住民投票前後に、マスコミが「東チモール問題」の表面だけをゆがんだかたちで引っ掻いて去っていった事情を目の当たりにした訳者としては、実は、この「チョムスキー・ブーム」が、単なる流行の消費に終わるのではないかという危惧も抱いています(私の訳書も売れてくれてうれしいので、こんな偉そうなことを言うのも何ですが)。今回の上映が、それを越えた何かをかたちづくる契機となることを願っています。