痛快! 時代劇 PART 1

11月27日 「痛快! 時代劇 PART 1」 (やまばとホール)

●Time Table●
13:00−13:10
13:10−14:58
15:15−17:27
17:45−19:07
オープニング
旗本退屈男
大江戸五人男
銭形平次捕物控 人肌蜘蛛

旗本退屈男
1958年/東映(京都)製作・配給/1時間48分
 
監督=松田定次
原作=佐々木味津三
脚色=比佐芳武
撮影=川崎新太郎
音楽=深井史郎
美術=川島泰三
出演=市川右太衛門、桜町弘子、片岡知恵蔵、大河内伝次郎、月形龍之介、大友柳太郎
 
[コメント]
 気がふれた伊達藩主の乱行のもとで着々と進む大老幕閣の手による幼い跡継ぎの殺害計画。そこに現れるは市川右太衛門演ずる退屈男とその一行。悪は鮮やかな推理と見事な太刀さばきのもと、善に一刀両断される。という典型的な勧善懲悪の時代劇なのだが、右太衛門、映画300本出演記念版というだけあって、東映時代劇スターが総出演している豪華な作品である。
 永遠のチャンバラスター右太衛門の見事な太刀裁きや風格ある演技、特に「この眉間三日月傷が目に入らぬか。知らぬとあらば教えてしんぜよう。天下御免の向こう傷、人呼んで旗本退屈男」と啖呵をきり、悪をばっさばっさと蹴散らしていく様は痛快そのものであるし、そのライバル片岡千恵蔵の気がふれたお殿様の演技は型破りで、とても面白い。また、右太衛門のクライマックスに近づくほど派手になっていく豪華な衣装は観る価値あり。
 これぞ映画黄金期の娯楽大作時代劇といえる作品である。 (未)

大江戸五人男
1951年/松竹(京都)製作・配給/2時間12分
 
監督=伊藤大輔
脚本=八尋不二、柳川真一、依田義賢
撮影=石本秀雄
音楽=深井史郎
美術=角井平吉
出演=阪東妻三郎、市川右太衛門、山田五十鈴、高峰三枝子、月形龍之介、高橋貞二
 
[コメント]
 時代劇と聞くと、とかく勧善懲悪という印象だが、この作品は善・悪はっきり描くという趣はない。登場人物各々の立場にそった心情を描いて話が交差し展開していく。話の主軸は、幡随院長兵衛(阪妻)と水野十郎左衛門(右太衛門)の対立・葛藤だが、伏線として『番町皿屋敷』の話を織り込むなど、観る者をあきさせない。何より、松竹30周年記念映画として当時の松竹スターを総動員した大作ゆえ、登場人物すべてが魅力的だ。派手なシーンがなくとも、この空間から伝わる静かな優美さに魅入ってしまう。これは一流のスター・スタッフが集ったからこそ創ることができた空間美なのだ。その静かな優美さから描かれる、粋で強さあふれる男方と控えめななかに凛とした強さを見せる女方、そんな古き時代の男たちと女たちの物語を、一息ついてゆっくり観て頂きたい。現代の世で良きにしろ悪きにしろ、私たちが失われつつある何かをみつけることができるかもしれない。 (浜崎)

銭形平次捕物控 人肌蜘蛛
1956年/大映(京都)製作・配給/1時間22分
 
監督=森一生
原作=野村胡堂
脚本=小国英雄
撮影=杉山公平
音楽=斎藤一郎
美術=西岡善信
出演=長谷川一夫、山本富士子、市川雷蔵、黒川弥太郎、夏目俊二、堺駿二、中村玉緒
 
[コメント]
 長谷川一夫の銭形平次……とても艶かしくて頼り甲斐がある。
 世間中の人々が、市川雷蔵演じる新次郎に疑いをかけていた時、ただ一人彼を信じていたのが銭形平次であった。深く落ち込み、希望の持てなくなっている新次郎にとって、この銭形平次がいかに心強く、大きな存在に見えただろうか。長谷川一夫がそのような役を演じるのにふさわしい役者であることは、すべての人が理解に苦しまないであろう。
 また、脇を固める役者も見応えがある。純粋で真面目であるがために騙されてしまう新次郎を演じる市川雷蔵。市川雷蔵のファン(私もその一人です。)は、このような役を演じる彼を見たら、ますます惚れ込んでしまうに違いない。
 そして森一生監督のカメラワークに、驚きを覚えるばかりであった。1つの画面のなかに様々な要素、動きを入れてしまう構図。大切な場面こそ切り替えしショットを利用しないテクニック。目を見張るものがあった。 (朋)