【C-13】ルーツを辿るとみえてくるもの

11月28日(土)
ベルブホール

チケット料金

一般
前売:1,200円 / 当日:1,400円
子ども(4歳~小学生)
前売:800円 / 当日:900円

e+(イープラス)でチケットを買う

思いがけない妊娠と結婚。人生の一大イベントに突然直面した二人は、家族やふるさとと出会う旅を通して、お互いのことを知っていく。第7回TAMA 映画賞で最優秀新進監督賞を受賞した岨手由貴子監督と、最優秀新進男優賞を受賞した中島歩さん。期待の新星のお二人をむかえ、受賞作『グッド・ストライプス』までのルーツを辿っていきます。

アンダーウェア・アフェア

  • 2010年/文化庁委託事業「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2009」製作・提供/30分
  • 監督・脚本=岨手由貴子
  • 撮影=上原宏光
  • 照明=大川拓也
  • 音楽=one day diary
  • 出演=東加奈子、小野ゆり子、広瀬麻百合、綾野剛、山中崇

ストーリー

田舎で暮らす主婦の朝子(東)は夫と別居し、5歳の息子と2人で生活している。近所で畑仕事をし始めた青年(綾野)との出会いから、母と妹と団地で暮らしていた少女時代の自分を思い出すようになる。現在の自分と、少女時代の自分をめぐり、朝子の思いが描かれていく。

コメント

不器用で、思うように女性になりきれない少女時代の自分を、大人になった主人公は繰り返し思い出す。メイクをする、きれいな下着を身につける。早熟なクラスメイトや妹が自然にやっていることを、なぜだかうまくできなかった16歳の自分。女性として生きることをよくわかっていなかった自分。大人になった彼女は、結婚して、こどもを育て、女性として飾ることを意識しなくなった。けれども未だに、女性になろうとした瞬間の自分を繰り返し思い出すのは、きっと今もあの頃の少女の延長線上にいるからなのだ。

思春期に感じた気持ちは、大人になると忘れてしまったりもするけれど、この作品はその感覚を痛々しく思い出させる。ふてくされていた思春期の少女の気持ちを、体験したことがないはずなのに、私は知っているような気がした。少女が女性になろうとした時に負った傷。彼女はその傷をとおして繰り返しあの頃の自分を思い出す。その密かな行為は、誰しもが実はこっそり持っているものなのではないだろうか。(尾)

グッド・ストライプス

  • 2015年/「グッド・ストライプス」製作委員会製作/ファントム・フィルム配給/1時間59分
  • 監督・脚本=岨手由貴子
  • 撮影=佐々木靖之
  • 照明=後閑健太
  • 音楽=宮内優里
  • 主題歌=大橋トリオ
  • 出演=菊池亜希子、中島歩、臼田あさ美、中村優子、うじきつよし、井端珠里
※12歳未満の方は、保護者の同伴が適当です。

ストーリー

自由奔放な文化系女子の緑(菊池)と、優柔不断なおぼっちゃまの真生(中島)は交際4年のマンネリカップル。お互い別れることを考えていたある日、緑の妊娠が発覚する。流れで結婚へと話を進めるが、揉め事が絶えない二人。それでも何とか結婚の準備を進めていくうちに、それまで知ることのなかった相手のルーツをたどっていくことになるが……。

コメント

人生が思い通りにいかないことぐらい、わかっている。でも、やっぱりできれば自分の人生に起こる出来事はドラマチックだったり、感動的なほうがいい。結婚なんて特にそう。

この映画で描かれる結婚は、ドラマチックとかそういう言葉とは正反対な始まりをむかえる。もう終わりかなと思っている人と妊娠を機に結婚なんて、正直言って望ましくない。だけど、幼稚で勝手でけんかしてばかりの二人が、お互いを知っていく旅の途中、「この人でよかった」と思える瞬間が彼らにはあったんじゃないだろうか。

そんな二人を見ていると、この先の自分の人生が思っていたのと違うところへ進んでいったとしても、それも悪くはないと思えてくる。これまでそうだったように、きっとこの先も私の人生は完璧じゃない。だけど、それでも大丈夫。彼らの過ごす日々のなかにいくつもの良い瞬間があったように、私の完璧じゃない人生にも、きっと良い瞬間が訪れるのだ。(尾)

ゲスト紹介

岨手 由貴子 監督

1983年生まれ、長野県出身。大学在学中、篠原哲雄監督の指導の元で製作した短編『コスプレイヤー』が水戸短編映像祭、PFF入選。2008年、初長編『マイムマイム』がPFFで準グランプリ、エンタテインメント賞受賞。09年文化庁委託事業若手映画作家育成プロジェクトで35mmの短編『アンダーウェア・アフェア』を製作。ドラマの脚本執筆やミュージックビデオの監督など、多岐にわたる活動をしている。本年公開の『グッド・ストライプス』は長編商業映画デビュー作となる。

中島 歩 氏

1988年生まれ、宮城県出身。美輪明宏主演の舞台「黒蜥蜴」のオーディションで200名のなかから雨宮潤一役に抜擢され、2013年、同舞台で俳優デビュー。NHK連続テレビ小説「花子とアン」(14年)で仲間由紀恵演じる蓮子の駆け落ち相手・宮本龍一役として人気を集める。映画では菊池亜希子とダブル主演の『グッド・ストライプス』(15年)に出演。舞台では「いきてるものはいないのか」(14年)「黒蜥蜴」(15年)に出演。さらに、12月に舞台「フェードル」、16年には舞台「ETERNAL CHIKAMATSU」に出演予定。

うじきつよし 氏

1957年生まれ、東京都出身。1973年に「子供ばんど」を結成しボーカル、ギターを担当。1980年デビュー。1988年、ライブを2000本達成し、活動休止。同年、五社英雄監督の映画「226」(89年)で俳優デビュー。テレビバラエティ「カルトQ」、情報番組「サンデープロジェクト」、サッカー関連番組の司会など活動の幅を広げる。2011年にデビュー当初のメンバーで「子供ばんど」の活動再開し、2013年に25年ぶりとなるアルバム「Can Drive 55」をリリースし、全国ツアーも敢行。そして今年5月にはデビュー35周年!新作「ロックにはまだやれることがあるんじゃないのか」をリリース。12月3日には、原宿クロコダイルにてライブを開催予定。