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2014年02月07日

映画祭プログラムレポート:どうする私たち、ニッポン!? ~『映画「立候補」』『標的の村』からの問いかけ~(2013.11.24 ベルブホール 第2部)

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2013年霜月。世は特定秘密保護法案をめぐり、喧々諤々の議論が巻き起こっていた。メディア、そして私たちが日本社会に今後どう向き合うかということが話題になる中で、この企画は開催された。『標的の村』、『映画「立候補」』という非常に熱量に溢れたドキュメンタリー2作品の上映、金平茂紀さん、森達也さん、堀潤さん、分野は異なれどまさにあり方の問われるメディアの最前線に立ち続けている御三方のご登壇が合わさり、わたしたちの予想をも上回る大勢の方にお越しいただいた。

 

御三方の自己紹介にはじまり、それぞれに2作品についての感想を述べていただきました。金平さんの映画とテレビの違い、森さんの両作品の恣意性にとらわれない面白味というご指摘はまさにそれぞれの立場で経験されてきたことをふまえた新しい見方でした。堀さんは2作品を観て、感動したというようなあたかも他人事かのような所で立ち止まっていることが実は一番醜く、実際に解決に向けて真摯に取り組むことを私たち自身が考えなければならないとおっしゃられました。まさにこの企画の意図をお話いただくような啓蒙的な内容でした。

 

会場に入った時から感じていた、お客様のウズウズ感。次の質疑応答でもたくさんの手が上がりました。ですが、話は尽きることなくご質問できたのはお一人、お二人。反省とともにみなさまの熱意に驚かされました。このなかでメディアに関してご意見に違いがあったことはかなり印象的でした。

 

森さんのかつて国会で論争になりながらも戦い、抗っていたマス・メディアがそれを止め後退しているという意見に対し、金平さんは「抗う」ということに一義的な意味を求めるよりも、事実だと認定したことの重みを掲示していくことに価値を求めていくことをしていかねばならないと述べられました。昨今のメディア不信を招いたことについての戒めを自覚していくべきだというご意見は、「報道特集」という番組でキャスターを務めておられる金平さんのご意見だからこそ重みがありました。

 

堀さんは「公の言葉に対する不信感」というまた少し違う部分を指摘されました。疑心暗鬼や社会不安こそが民主主義自体への不信感を招いている、だからこそ国やメディアが自分たちの言葉で情報をオープンにしていくべきだと述べられました。これらの点を踏まえ、森さんは営利企業であるメディアがマーケットに抗うことは難しいとしても迎合してしまうのは問題点だとおっしゃられました。メディアが問題点を抱えた時に気づけるのは誰なのでしょうか。全体を通してみると、諸問題にかかわるメディアにもまだ改善すべきことはあるが、私たちにも見直すべきことがあるのではないでしょうか。たとえば、金平さんがおっしゃられたように日本の教育、報道機関が特に若い世代に対して現代史や歴史認識を伝えられているかという問題はある。だが、本来それを学ぶのは誰でしょうか。伝えていくべきなのは学校やメディアだけなのでしょうか。多くの点において非常に示唆的な内容のトークでした。

 

ゲスト御三方の伝えようという想い、そしてお越しいただいたみなさまの知りたいという想いが合わさったものすごい熱気でした。明解な答えがあるわけではない。時の流れが解決していくものではない。トークでも成田三里塚闘争や原発問題という歴史の脈を感じさせるキーワードがあがりました。横たわるものは私たちが想像しているよりも多く、そして重い。だがそんな難解な問題にも向き合い、"問いかけ" に答えようと、もがき、あがく人がいる限りお互いに勇気づけられ、前に進んでいける。大きいものをみつめ、どっしりとしたものを抱えたようで、実は前向きに気持ちを新たにできた。まるで靴ひもを結び直して再び歩いていくように。そんな気持ちになれた企画だと感じたのは僕だけではないはずだと確信しています。(聖)

 

プログラムページ:
11月24日(日) ベルブホール 第2部
どうする私たち、ニッポン!? ~『映画「立候補」』『標的の村』からの問いかけ~

 

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