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2014年01月24日

映画祭プログラムレポート:大森立嗣監督特集(2013.11.23 ベルブホール 第1部)

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3/16に『ぼっちゃん』、7/14には『さよなら渓谷』(以下『渓谷』と省略)と、2013年に相次いで公開された大森立嗣監督作品を一挙上映。上映後、大森監督と『ぼっちゃん』主演の水澤紳吾さんをお迎えしてトークを行いました。

 

まず『ぼっちゃん』についてのお話しからスタート。2012年の東京フィルメックスでの上映から約1年、各地での『ぼっちゃん』上映に際しスタッフの方達と一緒にこつこつと宣伝をされてきた水澤さん。トークの機会も多かったようで、逆に「言葉にしすぎた感がある」とおっしゃり監督も「言葉にするとこぼれおちてしまうものがあるんだよね」とおっしゃったのが印象的でした。

 

この『ぼっちゃん』は秋葉原無差別殺傷事件がモチーフ。けれど「事件を背負い過ぎている。これは俺がすることじゃない」と監督は脚本を書き直し、今の形になったとのこと。その主演には、田中くんを演じた宇野祥平さん(第21回映画祭「婚前特急まで200日!? -前田弘二・映画監督までの道のり-」企画の際ご来場)を最初考えていたが、監督の弟で『ぼっちゃん』プロデューサーのお一人でもある大森南朋さんの助言もあり、水澤さんになったとのこと。「2012年の年明けにプロットをいただいた記憶があります」とおっしゃった水澤さんに大森組の印象をお聞きすると「最初は怖い印象があったけれど、静かだし怒鳴り声がない、空気が澄んでいる」とのことで「『渓谷』ではどんな空気のすくい取り方をされたんですか?」と監督に質問され、『渓谷』のお話しへと入っていきました。

 

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監督は「いつもそうだけれど、役者さんに「どういうふうにしたい?」と聞いて、それをちゃんと撮ろうとしているだけ。(自分が)余計なことを言うと、だいたい間違える。自分が何か役者さんに言うと、その言葉に役者さんは縛られ限定されてしまい、その役者さんしか感じないものをそぎ落としてしまう。もっと生き生きしててほしい」と、助監督や俳優としての経験にも基づくお話しをされました。「役者さんたちを信頼している」とも。

 

また、吉田修一さんの原作を映画化した『渓谷』は、原作本を映画化する時はいつもそうだけれど、読んだ時の第一印象、原作の持っている力を大事にしているともおっしゃっていました。『渓谷』はサスペンス的なところや、かなこと俊介が一緒に彷徨うところを大事に描きたかった、と。このシーンは新潟で11月に撮影。曇天という天気にも恵まれたようでした。

 

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『渓谷』についての監督のお話しを受け「監督の作品は、鐘をつくようだ」とおっしゃった水澤さん。いつまでも鳴り響き、考え続け感じ続けることの大切さを監督に教えていただいた、ともおっしゃっていました。

 

お客様との質疑応答では『ぼっちゃん』の某アイスクリーム秘話も(笑)。大森監督のご自宅での忘年会にいきなり現れた水澤さんが、このアイスクリームを大量に持ってこられたことも伏線だったとか。また、両作品のラストシーンに関して質問されたお客様には、主人公たちに対しては逃げずに、向き合って、立ち上がって生きていってほしいと思っている、と監督はおっしゃっていました。

 

大森監督の新作情報がクリスマスイヴに解禁され、ファンにとっては思いがけないプレゼントになったことと思います。第20回映画祭「未来はどこだ? 出口はあるのか?」企画で来場された際、翌年公開の『まほろ駅前多田便利軒』を「かわいい作品ですよ」とおっしゃっていた大森監督。新作『まほろ駅前狂騒曲』はどんな作品になるのか、今から秋の公開が楽しみでなりません。

 

プログラムページ:
11月23日(土・祝) ベルブホール 第1部
大森立嗣監督特集

 

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