上映作品

中二病とDQNの恋愛喜劇

異例の熱狂を生んだ、モテにおいて対照的なインディペンデント映画マッチがここに実現!『ダークシステム-完全版-』は、モテない中二病男の身勝手な絶望が悪魔のマシーンを生む、半○直樹ばりの熱い芝居と漫画的ギャグが満載の娯楽作品。対する『恋の渦』は、DQN男女の頭の悪いゲスな会話劇に爆笑しつつも、『桐島、部活やめるってよ』的な空虚な余韻が残る作品だ。恋愛格差社会日本を垣間見ながら、恋に悩み、恋に笑え!

チケット料金

  • 一般 前売:1,200円 / 当日:1,400円
    子ども(4歳~小学生) 前売:800円 / 当日:900円

Lコード:38159

ダークシステム ー完全版ー

  • 2012年/SPOTTED PRODUCTIONS配給/1時間53分
  • 監督・脚本・音楽=幸修司
  • 撮影・編集・絵コンテ=宮本亮
  • 撮影・照明助手=神田光、清水信貴
  • 特別協力=勝村俊之
  • 出演=宅野誠起、古谷克実、鎌田優子、上馬場健弘

ストーリー

加賀見(宅野)が思いを寄せるユリ(鎌田)が、友人の西園寺(古谷)と交際することに。しかし、西園寺の異常性が明らかになり、加賀見は西園寺と決闘することを決意。そして数年後、ユリと結婚を意識し始めるようになっていた加賀見の前に、ユリのストーカー、ファントム(上馬場)が10年ぶりに現われユリを奪ってしまうが……。

コメント

仰々しくもどこか空疎さを併せ持つ「ダーク」という言葉を冠する本作。その地平にあるのは「ダークマター」という魔法が登場するRPGゲームで遊ぶ中学生男子マインド。またはカーペンターの『ダークスター』的B級SF映画。あるいはノーランの『ダークナイト』のバットマン/ジョーカー対決か?!

脱力的ハイテンションとでも語義矛盾で形容すべき、冴えない登場人物たちの熱い劇画芝居(ギャグ)。四畳半にしてSF。女の子に惚れながらそのリビドーがチャチな見た目の改造おもちゃヘリに向かってしまう間違った情熱。……いやそれらの間違いも矛盾もきっと正しいのだ! 世界は彼らのなかにあるのだから。

チャウ・シンチーを彷彿させる漫画的ギャグ、個々のアクションを押さえた見事なカット割 。低予算ながら確かな技術で笑いを作り出す本作は、世界の映画祭ウケを狙うような野心を微塵も感じさせることなく、潔い。いやむしろ本作こそが世界であると宣言するかのような剛胆ささえ感じる。まさしく中二病サイエンス・アクションだ!(佐)

恋の渦

  • 2013年/シネマ☆インパクト、SPOTTED PRODUCTIONS配給/2時間18分
  • 監督・撮影=大根仁
  • 製作=山本政志
  • 原作・脚本=三浦大輔
  • 撮影=高木風太、大関泰幸
  • 出演=新倉健太、岩井尚子、柴田千紘、後藤ユウミ、松澤匠、上田祐揮、澤村大輔、圓谷健太、國武綾、松下貞治

ストーリー

コウジ(新倉)とトモコ(岩井)の同棲する部屋で開かれた鍋パーティーに9人の男女が集まる。異性との出会いに期待して気合の入った格好で登場するもあまりのダサさにイジられるオサム(圓谷)。オサムに紹介するため連れて来られた「篠田麻里子似」と言われるユウコ(後藤)は想像以上のブスでコウジたちは大盛り上がり。そんな夜から各々の恋心と下心が交差しはじめる。

コメント

登場人物たちの恋や下心に端を発する痴態を目の当たりにして「ヒドイっ」とか思いながら爆笑する観客たちは、映画が終わると満足気な顔で「面白かったねー。あんなやつらいるよねー。」「いるいるー。」などと話しながら映画館を後にするのだけれども、あれ、ちょっと待った。「あんなやつら」って誰だ?それってもしかして……?そんなことに気づいてしまっても、映画があそこまで爆笑されていては、「それ自分です」なんて今さら怖くて口にできない。

それぞれの登場人物への共感がたくさん叫ばれたのが昨年邦画界の話題を席巻した青春群像劇『桐島、部活やめるってよ』だとしたら、共感こそあってもその共感が絶対バレてはいけないこの群像劇は正に『(裏)部活やめるってよ』。身に覚えがあるなんて絶対に言えない恋心や下心の部分を的確にえぐり出し、それを周りの観客皆に爆笑されている状況を作るなんて……。さすがは鬼才・大根仁監督、容赦なき傑作です。(宮)

トーク

ゲスト:上馬場健弘氏(『ダークシ ステム』出演)、新倉健太氏、國武綾氏、後藤ユウミ氏、上田祐輝氏、澤村大輔氏、柴田千紘氏、圓谷健太氏、松澤匠氏、松下貞治氏、若井尚子氏(以上『恋の渦』出演)司会:那須千里氏(ライター)

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