11月23日(金・祝)ベルブホール第2部

SRシリーズ TAMA映画賞特別賞受賞記念
苦境に響け、このライム!栃木×パレスチナのヒップホップ映画

    チケット料金
  • 一般:前売1,200円 当日1,400円
  • 子ども(4歳~小学生):前売800円 当日900円
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  • Lコード:31679

スリングショット・ヒップホップ

Slingshot HipHop

2008年/パレスチナ、アメリカ/1時間23分
  • 監督=ジャッキー・リーム・サッローム

  • 出演=DAM(ターメル・ナッファール、ソヘイル・ナッファール、マフムード・ジャリーリー)
スリングショット・ヒップホップ

ストーリー

 ガザ地区とヨルダン川西岸に住むパレスチナ人の若者たちがヒップホップ音楽をきっかけに占領による分断や貧困と戦う姿を映し出すドキュメンタリー。音楽を通じて検問所や分離壁、ジェンダーや世代間に生じる意識の違いなど、彼らは立ちはだかる数々の壁を乗り越えていく。

コメント

 スリングショットとは、投石機のことである。いわばヒップホップを武器にして、差別や貧困といった閉塞的な状況に抵抗しているパレスチナ人ヒップホップグループを描いたのが本作である。

 1948年のイスラエル建国によって、パレスチナ人の8割が難民となった。その後67年に、イスラエルはエジプト領であったガザ地域とヨルダン川西岸にも侵攻し、その地域の住民は外に出ることができず、占領下の生活を強いられている。外からは許可なしに入ることができない。

 若者は、自らが置かれた状況をヒップホップに乗せて、思いをぶつける。聴衆は、彼らの歌によって自らの状況を改めて理解し共感し、同じリズムを共有する。暴力ではなく音楽/言葉による社会の実現へ。黒人奴隷の痛恨歌をルーツに持つラップが、アメリカからインターネットを通じてパレスチナの若者に降り立ち抵抗の手段となっていることは、大変興味深い。ヒップホップの軽快なリズムに満ちた本作が観客に催すのは、同情や哀れみではなく、共に立ち向かう勇気である。

SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者

2012年/アミューズ・ノライヌフィルム製作/SPOTTED PRODUCTIONS配給/1時間50分
  • 監督・脚本・編集=入江悠

  • 出演=奥野瑛太、駒木根隆介、水澤紳吾、斎藤めぐみ、北村昭博、永澤俊矢、ガンビーノ小林、美保純
SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者

ストーリー

 仲間と別れ東京に出たマイティ(奥野)は、「極悪鳥」というヒップホップグループに入れてもらおうと努めるが、苦渋を味わった挙句に怒りを爆発させてメンバーの1人に大怪我を負わせてしまう。栃木へと逃亡したマイティは、彼が加わった窃盗グループが絡む音楽イベントでかつての仲間のイック(駒木根)とトム(水澤)と再会する。

コメント

 開巻早々、いままでのシリーズにはないハードでバイオレントな世界が描かれる。直接的な過酷さを描かずにはいられないように、現実は変わったのかもしれない。あれから。逃れることのできない現実に我々は立つ。

 1作目の主人公イックとトムたちと別れたマイティを追いつめたのが本作である。夢を追いかけて来たつもりがその夢に潰されて、ロードサイドに転がり落ちた彼の逃避行は、ひたすら底へ底へと進んで行く。

 クライマックスのライブシーンは圧巻だ。シリーズ集大成としての限界に挑み、インディペンデントの意地を押し通した圧倒的な長回しの1ショット。決してカメラはマイティのフレーム外への逃亡を許さない。半径1メートルからスタートしたイックたちと遠くの夢に翻弄されたマイティが交錯し、マイティは底に落ちる。

 どん底から立ち上がる瞬間を切り取る「SR」シリーズは、痛々しくもそこに慎ましい希望がある。大地が揺れ、根拠が崩れたいま、見るべき希望がそこにある。(友)

ゲスト紹介

入江 悠 監督

Irie Yu

 1979年、神奈川県生まれ、埼玉県育ち。日本大学芸術学部映画学科卒業。『SR サイタマノラッパー』(2009年)がゆうばり国際ファンタスティック映画祭グランプリ、韓国プチョン国際ファンタスティック映画祭NETPAC賞、第50回日本映画監督協会新人賞などを受賞。同シリーズ第2弾『SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』(10年)、第3弾『SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』(12年)が劇場公開。『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』(11年)で高崎映画祭若手監督グランプリを受賞している。

佐々木 中 氏

Sasaki Ataru

 1973年生まれ。作家、哲学者。東京大学大学院人文社会研究系基礎文化研究専攻宗教学宗教史学専門分野博士課程修了。博士(文学)。現在、法政大学非常勤講師。専攻は現代思想、理論宗教学。著書に「夜戦と永遠-フーコー・ラカン・ルジャンドル」、「切りとれ、あの祈る手を-〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話」、「九夏前夜」、「足ふみ留めて-アナレクタ1」、「この日々を歌い交わす-アナレクタ2」、「砕かれた大地に、ひとつの場処を-アナレクタ3」、「しあわせだったころしたように」、「Back 2 Back」、「晰子の君の諸問題」、「この熾烈なる無力を-アナレクタ4」がある。

水澤 紳吾 氏

Mizusawa Shingo

 1976年生まれ。水戸短編映画祭グランプリ受賞作・沖田修一監督の『鍋と友達』(2002年)に出演、『SR サイタマノラッパー』『SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』では、シリーズに欠かせないSHO-GUNGの一人、おっぱいパブラッパーを演じる。ほかの出演作は、『ヒーローショー』(10年)、『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』(11年)、『アイドル・イズ・デッド』(12年)など。最新作は、大森立嗣監督作『ぼっちゃん』(12年)。

岩崎 太整 氏

Iwasaki Taisei

 1979年生まれ。映画・ドラマ・CMなどさまざまな音楽を手掛ける作曲家。入江悠監督作品では『JAPONICA VIRUS』(2006年)、『SR サイタマノラッパー』、『SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』などの音楽を担当。09年、音楽ユニット「THE CUBES」を結成。毎日映画コンクール音楽賞に『SR サイタマノラッパー』、『SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』でノミネート。『モテキ』(11年)で日本アカデミー賞優秀音楽賞受賞。

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