11月22日(木)ベルブホール第1部

日本のヌーベルバーグの作家たち―Vol.2―
―大島渚・今村昌平の力感溢れる社会派問題作―

  • チケット料金
  • 当日のみ800円

少年

1969年/創造社製作/ATG配給/1時間37分
  • 監督=大島渚
  • 脚本=田村孟
  • 撮影=吉岡康弘、仙元誠三
  • 音楽=林光
  • 美術=戸田重昌

  • 出演=渡辺文雄、小山明子、阿部哲夫、木下剛志
少年

コメント

 1966年、高知県出身の当たり屋夫婦事件をモデルにした映画。日本中を放浪しながら車にわざとぶつかり、法外な示談金を請求しながら生計を立てている一家のロードムービー。

 少年の家族は、傷痍軍人で仕事の当てがない父親、本当の母ではない母親、宇宙人の話が大好きな弟、の四人家族。「家族」といった共同体のなかでしか生き方を知らない未熟な少年の葛藤を淡々と描くことによって、観ているこちら側は少年の気持ちを共有しながら辺境な各地を共に巡っていく旅。

 空が広く、海が大きく、雪が冷たく、風が強い。オールロケによる映像はリアリズム満載であり、社会から取り残された家族の哀愁が漂っている。「チビ」役の弟の自然な振る舞いが更にこの家族の孤立感を引き立てている。1969年度キネマ旬報ベストテン 日本映画部門第3位。(中)

復讐するは我にあり

1979年/松竹製作/松竹配給/2時間20分
  • 監督=今村昌平
  • 原作=佐木隆三
  • 脚本=馬場当
  • 撮影=姫田真左久
  • 音楽=池辺晋一郎
  • 美術=佐谷晃能

  • 出演=緒形拳、三國連太郎、ミヤコ蝶々、倍賞美津子、小川真由美、清川虹子、北村和夫、根岸とし江

  •    フランキー堺、加藤嘉
復讐するは我にあり

コメント

 実際の連続殺人事件をもとにしたノンフィクション小説の映画化。後に『楢山節考』(83年)や『うなぎ』(97年)でカンヌ映画祭パルムドール賞を受賞することになる今村監督が、殺人と詐欺を繰り返して逃亡し続けた榎津巌(えのきずいわお)の足跡と女性遍歴を、冷酷なまでにリアリスティックなスタイルで表現した。題名は新約聖書から取られており、一般的には「悪人に対する復讐は神様が行う」という意味の言葉として知られている。

 本作では悪の限りを尽くした榎津の生き様をあえて肯定も否定もせずに描ききることで、日常を生きる私たちが普段抑圧している人間の不条理と混沌を照らし出すことに成功した。

 主演の緒方拳は榎津の抱え込んだ闇を(闇は「病み」でもある)をまざまざと見せつけ、不気味なまでに凄みがある。宿屋の女主人・ハル(小川)が榎津に殺害される前に、せっせと白菜のキムチを漬けている場面がある。唐辛子で真っ赤な女の手。優しささえ感じさせるような笑みを浮かべつつそれを見ている榎津。その後の惨劇に響いていく印象的な場面であった。1979年度キネマ旬報ベストテン日本映画部門第1位のほか、数々の賞を受賞。(穂)

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