11月18日(日)ベルブホール第2部

KOTOKOへの軌跡―塚本映画の新しい地平線―

    チケット料金
  • 一般:前売1,200円 当日1,400円
  • 子ども(4歳~小学生):前売800円 当日900円
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  • Lコード:31675

ヴィタール

2004年/海獣シアター製作/マコトヤ配給/1時間26分
  • 監督・脚本・撮影・美術・編集=塚本晋也
  • 音楽=石川忠
  • エンディング曲=Cocco「blue bird」

  • 出演=浅野忠信、柄本奈美、KIKI、串田和美、りりィ、國村隼、岸部一徳
ヴィタール

ストーリー

 交通事故ですべての記憶を失った医学生の博史(浅野)。しかし、なぜか医学書にだけは興味を示し、大学の医学部に入学する。必須科目である解剖実習で、博史の班には若い女性の遺体が割り当てられ、彼は解剖の世界に没頭していく。そのうち博史はふいに現実と異なる世界へと入り込んでいた。それは、彼が涼子(柄本)という女性と2人きりでたたずむ甘く切ない光景だった……。

コメント

 監督自身が出演することの多い塚本作品だが、これは「出てない方」。そのせいか少々シリアスな色合いが強い。塚本ファンの間でも「今までで一番好き」、あるいは「これは理解できない」と意見の分かれる作品である。

 後に塚本監督は『ヴィタール』でCoccoを強く意識したキャラクターを描いたと語っているが、それは回想(あるいは幻覚?)にのみ登場する涼子に他ならない。ラスト近く、細い身体全体を投げ出すように踊る涼子の姿は『KOTOKO』におけるCoccoのそれと重なる。しかし、ここでの涼子の存在は決して手の届かない憧れのような距離感であり、切ない気持ちばかりが伝わってくる。

 そして、ラストにCoccoの歌が流れ、暗闇の中に差し込む光のような余韻を残す。この繊細さは表現方法を変えて『KOTOKO』につながっていく。浅野忠信が素晴らしい演技を見せてくれた1本でもある。(黒)

Cocco 歌のお散歩。

東日本大震災救援企画「Cocco Inspired movies (インスパイアード・ムービーズ)」より
2011年/ 23分
  • 監督・撮影=塚本晋也
  • 協力=大田康一、長岡広太、井筒康仁、沖縄フィルムオフィス

  • 出演=Cocco

解説

 Coccoとゆかりのある8人の映像クリエイターたちによるコラボ企画「Cocco Inspired movies」のなかの1本。Coccoの「十三夜」「spring around」「玻璃の花」が、暗い森林から始まり、無人の広場、黎明の浜辺にかけて、全編1カットで披露される。

KOTOKO

2011年/海獣シアター製作/マコトヤ配給/1時間31分
  • 監督・企画・脚本・撮影・編集=塚本晋也
  • 企画・原案・美術・音楽=Cocco

  • 出演=Cocco、塚本晋也
KOTOKO

ストーリー

 幼い息子の大二郎をひとりで育てる琴子(Cocco)は、世界がふたつに見える現象に悩まされ、歌っているときだけ世界がひとつになる。ふたつの世界から必死に息子を守ろうとするが、精神的な変調をきたして幼児虐待を疑われ、息子と離れて暮らすことになってしまう。そんなある日、琴子のもとに彼女の歌に魅了されたと語る小説家の田中(塚本)が現れるが……。

コメント

 痛くて、辛くて、目を覆いたくなるような本作品を作り上げているのは、ひたすらに大きくて深い愛だ。

 『鉄男』シリーズや『六月の蛇』などで国際的な評価も高い塚本監督の作品は、いつも痛みを伴う。そんな塚本作品のテーマが母性というのは一見新鮮とも思えるが、これは、愛情はともすれば暴力にもなりえるほどの強烈な力を持っていることを知らされる作品で、今回もやっぱりものすごく痛い。映像は鮮やかな色をして視覚に訴え、琴子の孤独と愛情にもがくさまを思うと、心も痛い。

 その強烈な母性を作品のなかで爆発させる琴子を演じるのは、カリスマ的な人気シンガーソングライターのCoccoである。彼女の歌声に託された魂は物語をかき混ぜるようにして、確かに世界に愛があることを感じさせる。Coccoが「人生を注いだ」というこの作品は、他人や自分の心身を傷つけながら、間違いなく観た者の心にも痕をつける痛みと愛情に満ちている。(細)

ゲスト紹介

塚本 晋也 監督

Tsukamoto Shinya

 1960年生まれ、東京都出身。『電柱小僧の冒険』(87年)で、PFFアワードを受賞。初の劇場映画『鉄男』(89年)で、ローマ国際ファンタスティック映画祭グランプリ受賞。主な作品に、『東京フィスト』(95年)『バレット・バレエ』(98年)『双生児』(99年)『六月の蛇』(2002年)『ヴィタール』(04年)『悪夢探偵』(06年)など。国内外で数多くの受賞歴を持つ。個性派俳優としても有名で、世界の名だたる映像作家が「塚本フリーク」を公言している。

松尾 スズキ 氏

Matsuo Suzuki

 1962年生まれ、福岡県出身。「大人計画」主宰。作家、演出家、俳優、映画監督、脚本家。「ファンキー! ~宇宙は見える所までしかない~」で第41回岸田國士戯曲賞他受賞。初監督作『恋の門』(2004年)が、ヴェネツィア国際映画祭に正式出品される。小説「クワイエットルームにようこそ」が、芥川賞候補作となり、07年に自身が監督・脚本を務め映画化。映画『東京タワー オカンとボクと、時々オトン』(07年)の脚本で、第31回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞。著書、連載多数。

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