• パルテノン多摩小ホール
  • パルテノン多摩大ホール
  • ベルブホール
  • ヴィータホール

11月25日(金)小ホール

心の琴線にふれる映画の世界へ


話す言葉、住んでいる場所が違っても、人の心の琴線を震わすものは変わらない。切なさ、愛しさ、喜び――素直に、心のままに感じてみよう。
    チケット料金
  • 一般:前売1,000円 当日1,300円
  • 子ども(4歳~小学生):前売800円 当日900円
  •  
  • Pコード:558-659icon Lコード:36167

蜂蜜

Bal

2010年/トルコ・ドイツ/アルテシネラン配給/1時間43分
  • 監督・脚本=セミフ・カプランオール
  • 脚本=オルチュン・コクサル
  • 撮影=バルス・オズビチェル

  • 出演=ボラ・アルタシュ、エルダル・ベシクチオール、トゥリン・オゼン

ストーリー

手つかずの自然に囲まれた山岳で両親と暮らす6歳の少年ユスフ(B・アルタシュ)。幼いユスフにとって、森は神秘に満ちたおとぎの国で、養蜂家の父(E・ベシクチオール)と森で過ごす時間が大好きだった。ある日、蜂を探しに森へ入った父が帰らなくなり、以来、ユスフの口から言葉が失われてしまう。気丈に振る舞う母(T・オゼン)も、次第に哀しみに包まれてゆく。大嫌いだったミルクを飲んで母を励まそうとするユスフ。やがてユスフは1人幻想的な森の奥へ……。

コメント

本作は第60回ベルリン国際映画祭において、後にヨーロッパの映画賞を総なめにした『ゴーストライター』(ロマン・ポランスキー監督)、昨年の第2回TAMA映画賞でも主演女優賞受賞、ご登壇いただいた寺島しのぶ氏が主演女優賞を受賞した『キャタピラー』(若松孝二監督)という名だたる競合を退け、金熊賞を受賞した作品である。

現代トルコ映画界を代表するセミフ・カプランオール監督が、幻想的な森を舞台に幼い主人公ユスフの成長を通して、父、母との絆、心の機敏を情感豊かに、そしてどのシーンもまるで切り取った絵画を見ているような美しさに満ちた作品として仕上げている。

BGMは一切使われていないのに不自然に感じない。鳥のさえずり、小枝のきしむ音など自然の音が観客の耳に豊潤に流れ込んでくるからだ。

ユスフ・トリロジー(3部作)は監督が思春期のユスフを描いた『ミルク』(第2部・2008年)の脚本を書いているときに、この若者が大人になった未来『卵』(第1部・2007年)と幼い少年だった過去の『蜂蜜』(第3部)に想いをはせたことから誕生したそうだ。第1部と第2部も機会があればぜひご覧いただき、ユスフ・ワールドにしばし浸ってほしい。(ふ)

人生、ここにあり!

Si puo fare

2008年/イタリア/エスパース・サロウ配給/1時間51分
  • 監督・脚本=ジュリオ・マンフレドニア
  • 原案・脚本=ファビオ・ボニファッチ
  • 撮影=ロベルト・フォルツァ

  • 出演=クラウディオ・ビジオ、アニータ・カプリオーリ、アンドレア・ボスカ、ジョヴァンニ・カルカーニョ

ストーリー

1983年のイタリア ― ミラノ。労働組合員のネッロ(C・ビジオ)が左遷された先は、元精神病患者たちの協同組合。彼には病に対する知識はないが、持ち前の熱血感精神で個性が強すぎて社会に馴染めない元患者たちに「シゴトでオカネを稼ぐ」ことを持ちかける。ドタバタなトラブルを巻き起こしながら無謀とも言える事業を進めていくが……。

コメント

1978年、イタリア全土で世界初の精神科病院廃絶法[バザリア法]が制定された。「自由こそ治療だ」という画期的な考え方から、それまで病院に閉じ込められていた患者たちを地域に戻し、一般社会で暮らせるようにするものである。本作品はそんな時代に起こった実話を基に誕生した。

病院が閉鎖されても家に帰れるわけでもない、行き場のない元患者たちは病院付属の協同組合で、単純作業をしながら無気力に過ごしていた。型破りな活動を組合で行ってきたネッロは、元患者たちの個性や感情を尊重しながら新たな取り組みを開始し、彼らは真の仕事と人生に目覚めていく。「仕事をすればお金が入る」という単純な論理と行動が彼らに自信を与え、瞳が生き生きと輝いていくのを目にすると、「人は目的と希望があってこそ生きられる」というシンプルな事実に行き着く。

ともすれば堅くて重い話になりがちなテーマが、愛と笑いに溢れた人間讃歌として描かれ、たとえ今がつらくても前に進んでいこうと思わせる作品である。この作品を観て、笑って、泣いたら、あなたも最高の人生を目指そう。「Si puo fare!(シ プォ ファーレ)やればできるさ」(ふ)